日本一わかりやすい空家対策特別措置法

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空家対策特別措置法ってなんだ?

あなたは、空家対策特別措置法がどういった内容か理解していますか?
テレビや新聞などで騒がれておりますが、いったい何なんだろう・・・
よく調べてみると、この法律は空家を持つ所有者にとって、知らなかったでは済まされないほど重要でした。今回の調査でわかったことを記事にし、広くたくさんの方に読んで頂きたいと考えこのサイトを作成しました。

空家の所有者は、『よくわからないからそのままにしておこう』などが通用しない時代であることくらいは自覚しておく必要がありそうです。

法律は難しい言葉が出てくるので、どうしてもわかりにくいものですが、できるだけ理解できるように空き家対策特別措置法を解説します。




この法律の目的は?

空家対策特別措置法は、そもそも何の目的で制定されたのか?
なぜ特別措置法を作ってまで、空家対策を進めなければならなかったのか、そのあたりの理解が必要です。




空家による悪影響の懸念

近年のニュースで、古いビルの看板が落下し、実際に大ケガに繋がった事件も起こったように、建物は必ず朽ちていきます。
他にも外壁が歩道に落ちて、危うく通行人が被害に遭いそうなケースもありました。空家に浮浪者が住み着いていた例もあります。例を挙げるとキリがありません。

個人の持つ空家が、大きなビルと同じ被害をもたらすとは言えないですが、それでも老朽化の結果、付近や周辺に悪影響をもたらす可能性は十分にあります。
たとえば次のような点で、空家がもたらす悪影響が懸念されています。




空き家の特徴と懸念される悪影響
全体の傾き、主要構造の腐食(シロアリやネズミの住処)
倒壊による被害
屋根・外壁の剥離
飛散による被害
設備、門・塀の老朽化
脱落や倒壊による被害
浄化槽の破損、汚水の流出
衛生上の影響
ごみ等の放置、不法投棄
衛生上の影響、害獣・害虫の増殖
景観計画に不適合
景観上の影響
窓ガラスの破損、門扉の破損
不法侵入の危険
植栽の不整備
害獣・害虫の増殖、道路通行上の影響

放火の懸念

『うちに限って!そんなことはないだろう』と思うかもしれませんが、起こってからでは遅いのです。




空家放置で起こりうる問題やトラブル
空家を放置するとどうなるのか、噂には聞いても詳しくは知らないものです。空家対策特別措置法による固定資産税の実質増額や強制解体はよく聞くところですが、所有者が直面しうる5つのリスクを、根拠と合わせて紹介します。
①まだまだ増える空家
現状でも空き家問題は重要視されていますが、今後はより一層の対策強化を求められており、空き家の増加が予測されていることが背景にあります。
その理由は少子高齢化だけではなく、税制など多方面に関係しています。
人口減少・世帯数が2019年でピーク
既に人口減少は始まっていますが、国立社会保障・人口問題研究所の推計で、世帯数においても2019年にピークを迎え、徐々に世帯数が減ると見込まれています。
世帯が減っても同時に家が解体されるとは限らず、空家が残るケースもあるでしょう。
②高齢化が空家を後押ししている
親が高齢になっても子供と同居する世帯は少なく、離れて暮らす子供が心配になって、または親が自ら子供に負担をかけないように、介護施設を利用する例がみられます。
高齢者比率が高まるにつれ、親が介護施設に入って実家が空き家になっていきます。
建物があると固定資産税が優遇
建物がある土地は、土地の固定資産税が最大で1/6まで優遇される特例があります。
逆に考えると、解体するだけで土地の固定資産税が最大4.2倍に増えるのですから、空家が古くなっても誰も解体しようとしません。
※6倍という話もありますが、更地の固定資産税は評価額の70%が課税標準額となるため、6倍×70%で4.2倍です。
新築物件を買う人の方が多いのも原因
予算が許せば、新しくきれいな家に住みたいのはみんな同じで、売買でも賃貸でも築年数の浅い物件の方がニーズは高くなります。
古くなった空き家ほど需要が小さく、活用が限られてしまうので残っていきます。
④解体費用を負担しなければならない
空家を解体したからといって、すぐに土地が活用できるはずもなく、解体するとすれば建て替えか、土地を売買・貸借するタイミングが普通です。
費用をかけてまで解体しないのと、固定資産税の関係もあって空家が減りません。
⑤中古物件の価値が低い
木造なら20年もすれば建物の市場価値はなくなり、土地だけの価値になります。
しかも田舎は土地が安いので、田舎の空家が持つ市場価値は低く、投資目的の資金が流入しにくいこともあって、空家が残りやすいと言えるでしょう。
法律で地方の空き家対策をバックアップ
空き家には悪影響があり、さらに空き家が増えることを考慮すると、国策として空き家対策を進める必要性が高まってきました。
そこで、特別措置法を制定して、市町村の空き家対策に法的根拠を与えたのです。
空き家対策特別措置法では、具体的に市町村が行う施策までは定めておらず、基本方針を示したに過ぎませんが、法律の制定で対策しやすくなったのは確かでしょう。
また、空家の放置を抑制する効果(後述する税制上の措置)が見込まれています。
『空家対策特別措置法』

地域住民の生命、身体又は財産を保護する

(地域住民の)生活環境の保全を図る
空家等の活用を促進する
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進する
公共の福祉の増進と地域の振興に寄与する
これらの目的を達成するため、国が基本方針を策定し、市町村が空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めるとされました

具体的に何が変わるのかは、これから詳しく説明するので確認していきましょう。
空家対策特別措置法の内容と与える影響
空家対策特別措置法が施行されたからといって、すぐに全国の空き家を一斉に強制撤去する強行策がとられるようなことはないでしょう。
空家も所有者の財産であり、勝手に撤去することは財産権の侵害になるからです。
では、市町村は空き家対策として一体何を始めるのでしょうか?




空家の調査と現況の把握
市町村が何をするにしても、まずは行政区域における空き家の現況を確認しなければ、対策や措置を講じることもできないのは言うまでもありません。
(逆に言えば把握しきれていないということです。。)
そのため、市町村が最初に行うのは空き家の所在と所有者の把握で、そのために必要な調査や情報の提供を求めることができると規定されています。
その上で、市町村は対策が必要な空き家を選別することになり、所有者に対して適切な管理を促進するため、情報の提供や助言その他必要な援助 を行います。
そして、特に対策が必要な「特定空家等」にみなされると措置が講じられます。

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措置1:解体の通告や強制対処が可能に
空き家対策特別措置法では、著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家について、強制的に対処できる規定が設けられました。
しかし、強制対処はいきなり行われるのではなく、段階的な手順を踏みます。
改善への助言と指導
最初に行われるのは、除却(解体)、修繕、立木竹の伐採等の助言又は指導です。
助言や指導を受けても改善しなければ、猶予期限を付けて改善するように勧告します。
改善がなければ勧告
助言や指導、勧告ならば、まだ何もしなくて大丈夫だと思うでしょうか?
ところが、勧告の対象になると、後述する固定資産税の特例対象から除外されます 。
つまり、助言や指導の時点でイエローカードが出されていると思わなくてはなりません。
勧告でも改善されなければ命令
勧告にも従わないと徐々に重くなり、猶予期限を付けて改善命令が出されます。
このとき、対象者には意見を述べる機会(意見書や意見聴取)が与えられるので、どうしても改善できない理由があるなら、この機会を利用して陳述できます。
命令の次は強制対処
命令の猶予期限を過ぎても改善を完了できないと、いよいよ強制対処の対象になります。
ここで気を付けなくてはならないのは、命令を受けて改善に着手すれば良いのではなく、猶予期限までに改善を“完了”しなくてはならない点です。
改善命令を無視した場合、改善に着手しても不十分な場合、改善が猶予期限までに完了の見込みがない場合のいずれでも、市町村は強制対処が可能です。
つまり、「改善しているフリ」は許されない厳しい規定になっています。
ちなみに、強制対処の内容は必要な改善なので、倒壊の危険がない空き家まで強制撤去するようなことはないですが、改善の費用は所有者負担です。
所有者が負担できなくても、市町村が負担してその費用を所有者に請求します。
ただ、所有者が分からなくなる経緯は、相続時に登記変更の手続きが行われていないことも関係しています。
相続の手続きを行わなくても、自動的に法廷相続人が次の所有者になるため、戸籍からそれを特定することはできますが、支払いに応じなかった場合はどうするのか?という問題は残ります。
措置2:固定資産税の特例対象からの除外
特定空家等に対する市町村の改善勧告があると、土地に対する固定資産税の特例(優遇措置)から除外され、土地の固定資産税が最大で4.2倍にも増額されます。
・住宅用地における固定資産税の特例
住宅の敷地
固定資産税
都市計画税
200㎡までの部分
1/6に軽減
1/3に軽減
200㎡を超える部分
1/3に軽減
2/3に軽減
※200㎡を超える部分は床面積の10倍が上限
ただし、土地の固定資産税が上がっても、家の固定資産税が相当に高ければ、使わない空き家を解体した方が、トータルの固定資産税が安くなる場合もあります。

 




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空家対策が世の中にどんな影響を与えるのか?
市町村の空家対策が進むと、所有者は何らかの対策を考えなくてはなりません。
すべての空家が対策の対象ではないですが、売買や賃貸を目的として、空家や解体後の土地が、不動産市場に流れると十分に予想できます。
全体的な経済では、いわゆる塩漬けになった不動産が流動性を持ちますし、解体・修繕等も費用が発生するのでお金が動き、活性化に繋がります。
また、空家の活用事例が増えれば、地域にとっても有効に作用するでしょう。
その反面、空き家物件が不動産市場に増えても、不動産の買い手が増えるわけではなく、市場原理を考えると、供給が過剰になって価格が下がるとも言われています。
どれほどの影響があるかは分かりませんが、需給バランスが崩れる可能性はあります。
空家の所有者にとって、売却価格や賃貸価格の低下はマイナスでしかなく、しかも人の少ない地域で同時期に流通すれば、周辺相場への影響は大きいでしょう。
そうなると、空家ではない所有者も、間接的に資産価値が下がる影響を受けます。
地域によって対象になる空家の数は違うとはいえ、対策前に先手を打って売り抜けるつもりでいないと、価格が下がって売るに売れないかもしれません。
土地価格はいくつかの方法で知ることができるので、こちらの記事もどうぞ。
上記は空家を所有する人が受ける影響やその内容でしたが、間接的な影響も考えられます。
固定資産税というのは地方税という分類になり、つまりは各自治体の税収となります。
その税収を使って、道路整備や公営の交通事業の運営、福祉・消防事業の提供、ゴミや下水処理などが行われています。
固定資産税が4.2倍になっても、全員がそれを納めれば問題ありませんが、使い道もなければ活用もできない不動産に高い税金を払うことに納得できない人もいるはずです。
ましてや売って手放すことも難しいとなれば、相続放棄という形を取る人が増えるかもしれませんし、実際今も年々増えており、その一部は固定資産税の負担が影響していると考えられます。
空き家の管理を厳しくすることは、この放棄の動きも加速させることにつながる可能性があり、地方自治体の税収がますます減ります。
そうなれば適切なサービスを提供でなくなり、そこに住む人全員が影響を受けてしまうのです。
措置の対象になる特定空家等とは?
空家対策特別措置法には、「空家等」の定義 を「居住その他の使用がなされていないことが状態である建築物とその敷地」としています。
しかし、この表現は基準になっていないことから、概ね年間を通じて使用されていないことが、指針として打ち出されました。
また、特別措置法はすべての空き家を措置の対象にしておらず、次のように周辺への影響が大きい空き家を「特定空家等」と定義しています。
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家等に該当するかどうかがカギ
明らかに特定空家等に該当する空き家を除くと、特定空家等の判断は市町村(実際には市町村に設置された協議会)がするので、所有者は判断を待つことになります。
基本的には、単に長期間住んでいないだけで管理された空家は措置の対象外です。
ただし、市町村が空き家の現況を調査する際、問題がない空き家でも確認の連絡が来ることは考えられますし、特定空家等の予備軍だとみなされることも考えられます。
そうなると、空き家の管理について、何らかの回答を示さなければならないでしょう。
また、売却や賃貸を予定している空き家でも、売主や借主に引き渡すからには、管理されていて当然なので、売却や賃貸予定が管理責任を免れる理由にはなりません 。
もっとも、対策の一環に売却や賃貸を含める余地はあるので、自治体の対応次第です。
特定空家等を売却中のときは?
買主に解体してもらう予定で、廃屋化した建物を放置して売りに出すことはよくあります。
この場合、やがて解体されるのですから、措置が講じられることはないように思えます。
しかし、現に売買契約が済んでいるならともかく、売れるかどうか不明な特定空家等を市町村が見逃してくれるとは考えにくいので、何か対策を求められるでしょう。
それでも、特定空家等の措置は一刀両断的ではなく、意見の聴取や措置までの猶予期間があるので、事情によって柔軟に対処してもらえる可能性はあります。
考え方によっては、解体費用の補助を受けて、実費負担以上の価格を更地に上乗せすれば、もしかすると解体した方がお得?かもしれません。
行政指導を避けるには管理・活用する
現在は問題ない空き家でも、やがては特定空家等に分類され、いずれ行政指導や命令の対象になることは避けられない問題です。
そして、人が住まない家は劣化が進みやすく、定期的な管理を必要とします。

賃貸や売却も視野に入れて総合的な判断を
まだ使える家が残っているなら、賃貸することで借主が管理してくれますし、価格が下がる前に売却してしまうのも手です。
賃貸を得意としている不動産会社は、管理代行サービスなどを進めてくるでしょうが、、一時的な引き延ばしにしかならないので、将来も見据えて空家をどうするか考えるのは、所有者に突き付けられた課題です。
田舎では買主がなかなか見つからない点から、

①利益を出すつもりで売却を考えないこと、土地として売れるならそれはそれで良かったと考えること。

②売れない場所なら賃貸でも維持費をカバーできる程度の家賃で十分でしょう。
いずれにしても、現状を放置して事態が改善することだけはありません。
家には思い出が残っているので、なかなか思い切れませんが、残しておいても税負担が増える上に、強制対処となっては結局自己負担です。
早く手放すことで、周辺の同じような空家との競合を避けられるメリットもあります。




まとめ
空家対策特別措置法について、理解できたでしょうか。
世間で誤解されているような、空家対策特別措置法=強制撤去ではありません。
特定空家等の判断やその措置は、市町村がどのような基準で判断するかに依存します。所有者としては、売るのか、貸すのかの判断をしなければならないのです。しかし、貸すよりは売る方がメリットがあるエリアもあると思います。

 

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