ここまでチェックしている!外装建材の製品試験!

住宅の外壁
今の住宅の性能は非常に長く、40年を超えても利用可能な物が少なくありません。
ところで、この建物の長寿命化は様々なテクノロジーの恩恵と言えます。

それは材料の化学であったり、構造部分の計算精度であったり、実に様々な技術からの結実とも言えるのです。

それらの建材は単に「作りっぱなし」なのか…と言うと、決してそんなことはありません。
厳しい品質チェックがあるのです。

それでは、その品質チェックはどの様に行われているのでしょうか。
ここでは、その様な品質チェックの工程の1つ、「製品試験」について取り上げたいと思います。

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試験が必要な背景


建材をはじめとする工業製品は工場などで作られますが、温度などの管理が適切に保たれていることは少なくありません。
その建材が実際に使用される環境とは違います。

そのため、製品を設置した場合を考えて、あらかじめチェックをしておく必要があるのです。
そのチェックが「試験」であると言えます。

例えば、塗料であれば塗った後の状態はどうか…、コーキングであれば温度による不具合は起きないか…などです。
それでは、試験における環境条件や耐用年数はどの様に考えられるのでしょうか。


環境について


建材に使われる場合、塗料にしろコーキングにしろ、想定される条件は悪く設定されます。
例えば、日光であれば強い場合を考えますし、塩害であれば長い時間、塩を被る条件を考えます。

それによって、仮に最悪の条件であったとしても、その製品の持つ性能を保てるかのチェックを行っているのです。


耐用年数について


製品にもよりますが、試験によって耐用年数も測られます。
方法としては例えば、人工的に強い光を照射する試験がありますが、それは試験による負荷の度合いと実際の耐用年数の関係の概略が計算されています。

太陽光の100倍強い光を当てて一定の期間に不具合が発生しなければ、通常の状態の場合には100倍長持ちする…といったイメージです。

逆に言うならば、製品寿命を10年持たせたい…と言うならば、100倍の負荷を与える試験を1年弱の期間行えば、その試験をクリアするならば10年持つ…と結論づけることが出来るのです。


塩水噴霧試験


次に、試験の代表的な例について紹介したいと思います。
まずは、塩水噴霧試験です。これは主に金属製品について行われる試験です。


金属の腐食


金属の腐食は、主に空気中の酸素と金属素地が反応して起こります。
そして、水が付着すると、腐食が進みやすくなります。
例えば、鉄の部材に雨が当たるとサビが発生する…と言った具合です。

ところで、この付着する水に塩分が溶け込んでいる場合、腐食は更に進みやすくなります。
海の近い地域であれば、一般の地域よりも金属が腐食しやすいことは周知の通りと思いますが、これは海水に含まれる塩の影響です。

そのため、金属の腐食の具合の試験を考えるならば、敢えて環境条件を悪くすることが必要です。そして、この場合を考えるならば、塩水を製品に掛けることが有効と思われます。


試験の方法


塩水噴霧試験はその名の通り、塩水を噴霧させる試験です。
試験装置に試験体を設置して、その試験体に霧状にした塩水を噴霧し、腐食の状況を調べます。

この試験の特徴は「噴霧」にあると言えるでしょう。と言うのは、塩水の中に試験体を沈めるよりも、潮風などにより塩水が付着する環境に近いからです。

尚、試験は500時間、1000時間…といった様な非常に長い時間、連続的に行われます。そして、試験体のチェックは300時間スパンで試験装置から取り出してチェックをする…と言った具合で行われます。


評価について


試験が終わったら、その試験成績を評価しなければなりません。
その評価が製品化の判断材料となるからです。

この試験の評価は金属であれば、その腐食の状況によってチェックされますが、部品が塗装されている物であれば、塗装品について試験されて評価されます。

ただし、塗装品の場合には実使用状態でキズなどが入る可能性もあるため、塗装部分の表面にカッターナイフでキズを敢えて付けた物に関しても、試験評価が行われる場合もあります。


複合サイクル試験


塩水での金属腐食試験は塩水噴霧試験の他にも試験方法があります。
代表的と言える試験には、複合サイクル試験が挙げられます。
この試験は、塩水噴霧試験と塩水を使う点では同じなのですが、試験工程が全く違います。


塩水噴霧試験と実際の環境条件


さて、塩水噴霧試験は常時塩水を噴霧し続ける試験ですが、実際に環境を考える場合、塩水が24時間掛かり続ける状況は基本的にはありません。
と言うのも、実際には晴れの日もあり、塩水が掛からない時があるからです。

ただ、ここで注意しなければならない点があります。
と言うのは、塩水が掛かった状態で晴れたからと言っても、塩水は確かに乾きますが、塩は残り続けます。
そして、この塩が製品に悪さをする可能性があるのです。

そのため、常時塩水を掛け続ける試験とは別の環境試験が必要です。
そして、複合サイクル試験は、この様な背景を元に考えられた試験なのです。


試験の方法


複合サイクル試験は、塩水噴霧を常時行うのでは無く、塩水噴霧の時間に乾燥と湿潤の時間を組み合わせて行います。
これにより、塩を被る時間に晴れた時間を組み合わせるシミュレーションが可能になるのです。

また、金属は塩水の濃度などによって腐食環境も変わるので、乾燥の工程の入る複合サイクル試験は、より過酷な条件を作ることが可能です。


評価について


評価は基本的には塩水噴霧試験と変わらず、腐食の具合や不具合について確認されます。
また、塗装品に関しては、通常の塗装をされた物や、キズを付けられた物について確認されます。


促進対候性試験


建材には樹脂も多く使われています。
代表的なのは塗料とコーキングです。
これらは雨水などによっても影響を受けますが、それ以上に日光によって大きなダメージを受けます。
そのため、日光のシミュレーションの試験が必要です。


日光による劣化について


建材の置かれる環境は様々な悪条件が揃っていますが、日光はその中の代表的な悪条件と言えます。
日光によって、気温が保たれるのは確かなのですが、時によっては猛暑になる場合もあるからです。
また、日光は紫外線も含みます。
紫外線は人体に悪影響を及ぼすことは知られていますが、それと同様に塗料やコーキングをはじめとする樹脂に対しても悪影響を及ぼし、劣化させます。


試験方法


促進対候性試験は機械により、日光よりも非常に強い出力の光を照射して、樹脂部分の劣化具合を見ます。

この光は通常の蛍光灯の光とは異なり、単なる明るくするのでは無く、特に紫外線部分に工夫をした光が照射されます。
これによって、試験体の劣化を促進させ、劣化の具合を見るのです。


評価について


促進耐候性試験の評価は、劣化の状況を基本的に観察します。
例えば、塗装の場合には変色や剥がれなどが無いかを、コーキングなどに関しては割れなどの発生が無いかについてチェックされます。


屋外暴露試験


塩水噴霧試験をはじめとした環境試験は、単一の悪条件の再現が基本的な方法となっていました。
しかし、実際の屋外を考えると、塩害、日射、高温、粉じんなど、様々な悪条件が複合的に襲い掛かって来ます。
そこで必要となるのが、屋外暴露試験です。


複合的な試験


実際の建物は温度や化学物質、あるいは経過時間など、様々な劣化要因があり、それらが複雑に絡み合っていると言えます。
これらの悪条件を単一的に現したのが、前述の塩水噴霧試験をはじめとする環境試験です。

しかし、これらの試験は促進的に化学変化を起こさせても、複合的な試験にはなりません。
屋外暴露試験は、実際に屋外に暴露させることにより、この様な環境的悪条件を複合的に掛け、実際に近い状態で状況変化を見る試験と言うことが出来ます。
ただ、この試験は他の試験と異なり、「時間を短縮させること」は不可能です。


試験方法


屋外暴露試験は屋外に試験体を暴露させ、状況を観察するのですが、多くの場合は暴露させる地域を複数にします。
例えば、北海道の寒い地域と、沖縄などの日射の厳しい地域に同様の試験体を暴露させ、地域による状況変化を調べます。

また、色なども変えて観察する場合も多いです。
と言うのも、試験体の色によっては退色しやすい色や、温度の上がりやすい色もあるからです。


評価について


屋外暴露試験の評価は、試験体の受けた化学的変化全般に及びます。
例えば、塗料であれば、退色やひび割れ、剥がれなどがチェック対象になりますし、金属部品であれば腐食なども確認されます。


リフォームのタイミングを改めて考える


建築部材の試験の代表的な物について見て来ました。
これによって、建材が厳しい基準で品質チェックが行われていることが分かったことと思います。
ところで、ここでリフォームのタイミングについて考えてみましょう。

リフォームは老朽化した段階で行うのが良いと思われますが、実際に状況が悪化した段階では、思わぬトラブルが発生しているケースがあります。

例えば、コーキングの割れが目立って来た段階で外装リフォームを掛けようとした場合、既に水が壁の内部に入っていて、部材を腐らせていた…などの事態もあり得るのです。

しかし、部材の耐用年数を…つまり試験によって得られた性能値から得られた耐用年数を元にリフォームのタイミングを考えるならば、この様な「思わぬトラブル」に巻き込まれる確率は低いです。

ですから、例えば外壁用塗料の耐用年数の値は、各種の試験を経て得られた結果です。まさに「リフォームを検討するべきタイミング」とも言えるのです。


まとめ


建材の進化は「日進月歩」という表現が、まさに当てはまるのですが、この進化の裏には、この様な試験が隠れています。
試験は製品の開発の際に何回も行われ、より良い製品が生み出されているのです。

また、試験によって、製品の耐用年数も伺うことも出来るため、リフォームのタイミングも検討が可能となります。

製品仕様書などに書いている建材の耐用年数は、試験などによって得られた数値です。リフォームのタイミングを決める際に、ぜひとも検討材料に加えましょう。
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