心理的瑕疵の告知問題 いよいよ国土交通省がガイドラインを作成

通信販売のサイトなどを見てみると「訳アリ」の商品を見つけることがしばしばあります。例としては、梱包箱が壊れているとか、一部にキズが付いているとかの物です。
それらの商品は確かに何等かのダメージを受けていますが、実使用上にはあまり影響がありません。
そして、それらの商品は値引きされて売られているので、意外に多くの需要があります。

ところで、不動産にもその様な「訳アリ」の物件があるのはご存知でしょうか。
実は、不動産にも実使用上には問題が無い…はずの物件があります。
あくまでも「問題が無い物件」では無く、「問題が無いはずの物件」です。
…代表的なのは、心理的瑕疵のある物件で、事故物件とも言われている不動産です。

この問題は問題の範囲から告知義務についてまで、大きな議論が発生していました。しかし、この問題についてのガイドラインが作成されようとしています。
そこで、ここでは、心理的瑕疵の復習からはじめて、ガイドラインの動きについて解説をしたいと思います。


心理的瑕疵とは


まずは心理的瑕疵とはどの様な物かについて復習したいと思います。

瑕疵について


まず、「瑕疵」という用語の意味ですが、不動産の不具合を示します。
良い例は建物の外壁に大きな亀裂が走っていたり、金属部分が錆びていたりする不具合です。
これらは場合によっては建物の耐用年数や耐久性に影響もし得るので、不具合として数えられます。

また、環境的な要因も瑕疵として数えられます。
環境的な側面の瑕疵の例と言えば、幹線道路が近い場合などに受ける振動の害、或いは近くに下水処理場などがある場合の悪臭の害などです。

さて、これらの共通しているのは、瑕疵のある不動産を実際に利用する人、あるいは所有する人に不利益をもたらす点です。
振動が寝室に響くならば安眠の妨害にもなり得ますし、悪臭が漂って来る場合には気持ちの良い日常生活を送ることも危うくなります。

不動産の買取

心理的瑕疵とは


ところで、瑕疵は部材の腐食などの物理的要因による物や、振動などの様な環境的な要因ばかりではありません。
住んでいて気分が悪くなる物も瑕疵として数えられます。
代表的なのが、その物件で自殺などがあった物件です。

確かにその物件は実使用上の問題は無いことでしょう。
設備にも問題は発生しないでしょうし、外観も立派なままかも知れません。
しかし、生活する上では気分の良い物ではありません。人によっては吐き気のするくらいの嫌悪感を持つかも知れないからです。

ただし、心理的瑕疵の場合には、どこまでが瑕疵でどこからが瑕疵で無いかを判断するのは、明確な判断基準が無いため、白黒付けるのは非常に難しくなります。
判断はケースバイケースで、過去の判例などによる場合が多いです。

増築専門店 MyDesignリノベstudio

不動産の告知について


さて、不動産を借りる場合、あるいは買う場合には業者から物件についての説明を受けます。
この説明は聞き流されてしまう場合が結構見られますが、実は聞き流して良い物ではありません。
と言うのも、物件に関する重要な事項を説明するからです。
では、この説明はなぜ行われるのでしょうか。

告知義務について


不動産の取引は非常に大きな費用が動くので、取引の各段階において必要なアクションが決められています。
仮に不動産が日常生活用品の様に扱われた場合、何等かの故障が後で見つかった場合には問題が発生した場合には対策の取り様が無くなる場合もあります。
また、賃貸の場合、レンタルビデオと同レベルに扱われた場合、不具合発生時の取り扱いには非常に困ることになります。

その様なアクシデント発生を避けるためにも、不動産取引には告知義務があります。
これは、不動産業者が負う義務で、契約する人に説明しなければならない義務です。

告知義務を怠った場合


不動産の瑕疵は売る側にとってはマイナス要因となるため、あまり言いたくないのが本音でしょう。
しかし、仮に借主や買主に告知しなかった場合には、法的な違反とされ、契約解除などがされる場合が出て来ます。

ですから、例えば、物件の外回りの見えにくい場所にヒビや腐食が発生していた場合には、その状況を説明しなければなりませんし、悪臭が漂うならば、その旨も教えなければなりません。

しかし、心理的な瑕疵は少し具合が違って来ます。
と言うのも、人によって不快と感じるかどうかは、各人によって違うからです。
つまり、どこまでが心理的瑕疵と考えられて、どこからが瑕疵では無いとされるかがグレーなのです。
ですから、心理的瑕疵については告知義務がどこまでかがハッキリとしなくなります。

MyDesignリノベstudio株式会社Izumida

心理的瑕疵の例


それでは、心理的瑕疵にはどの様な物があるのでしょうか。
具体例を挙げてみましょう。

孤独死


不動産契約の際に、「実はこの部屋、過去に孤独死した人がいたんですよ」と言われた場合、多くの人が気分を害すると思います。
ある人は過去を想像したり、またある人は「…出るんじゃないか?」と心配することでしょう。

そのため、過去に孤独死が起こった場合には、心理的瑕疵として数えられます。
ただし、実際には、孤独死の場合であっても全部が事故として認められるとは限りません。

例えば、孤独死が発見されるまで日数が経っていない状態で、しかも事件性の無い病死などの場合には事故とは数えられない場合が多い様です。
しかし、日数が経って、部屋の外にまで死臭が漂った場合などは状況が変わる場合が出て来ます。

焼死


例えば、マンションなどの火災の場合には、中の人が逃げ遅れて死亡する場合もゼロではありません。
最悪の場合には焼死の事態にまで陥ります。

さて、この様なアクシデントによる死亡も、インパクトの強烈な物は心理的瑕疵に数えられる場合が多いです。
焼死はその中の代表とも言えます。

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自殺


自殺のあった物件も生活するのにイヤな物です。
そして、これも心理的瑕疵となります。
例えば、マンションなどで飛び降り自殺があった場合、そしてそのフロア面がコンクリート舗装などであった場合には、ケースによっては血の跡が残る場合が考えられます。

また、物件の敷地内などで焼身自殺などがあった場合、そしてその焼け跡が取れずに残っている場合など、物件の与える心理的インパクトは大きくなります。
そして、これらは瑕疵として数えられます。

殺人事件


殺人事件も強烈です。瑕疵となります。
例えば、室内で誰かが刺殺された過去がある場合、入居するのはイヤな物です。
更には、仮にその死体がバラバラに切断された様な、残忍極まりない状況が発生した場合には、話を聞いただけで背筋が凍る人も居ることでしょう。
瑕疵になるのは当然…とも言えそうです。

MyDesignリノベstudio株式会社Izumida

心理的瑕疵は消滅するか


それでは、この様な瑕疵は消滅するのでしょうか。
いくつかの対策の例と、それの効果について考察してみましょう。

建物を取り壊した場合には瑕疵は消えるか


まずは建物を取り壊した場合はどうなるのでしょうか。
これは物件としてはクリアになるとも考えられますが、全部がそうとは限りません。
と言うのも、痕跡が残ってしまう場合もあるからです。

例えば、物件の敷地内で焼身自殺が発生した場合、火だるまになった人がそのまま敷地の外に出て行き、ちょうどエントランスの外で息絶えたとします。
その場合、敷地外に痕跡が残る可能性も無い訳ではありません。
この様に、痕跡が付いてしまうと、いくら建物を取り壊した場合でも、それが全部クリアされるとは言い切れないのです。

宗教的儀式を行った場合


次に、宗教的儀式…地鎮祭などを行った場合についてです。
これも非常に判断が難しいです。
と言うのも、「地鎮祭を行ったから大丈夫」で納得する人が全員とは限らないからです。

地鎮祭を行ったとしても、過去にバラバラ事件のあった家に住むのはイヤな物だ…と思う人は多いことでしょう。

時効について


殺人事件には時効があり、犯人が逃げ切れば追われることは無くなるかも知れませんが、物件に残った痕跡は時効が成立することは無く、いつまでもシミになって残っているケースも考えられます。
この様に考えると、心理的瑕疵には、「時が経っても過去の事件は消滅しないから」と言う理由で瑕疵としては成立しない様にも思えますが、実際には時が経つと告知義務を免れる場合が多く見られます。

ただし、事件の内容と時間は関係があります。
例えば、孤独死の場合には数年後に告知されなくなるかも知れませんが、例えば先に挙げた様な残忍な殺人事件の場合には、数十年単位で告知されます。

心理的瑕疵のガイドラインについて


ところで、この様な心理的瑕疵に関しては今まで明確な判断基準がありませんでしたが、最近になって国土交通省がガイドラインの検討に入りました。

会議は2月に始まった


このガイドラインの作成は2020年の2月5日に国土交通省で第一回の会議で始まりました。
この会議は、検討会という位置づけではありますが、宅建業者、消費者団体、弁護士などによって構成されています。
ただし、会議に関しては非公開で行われたため、現段階においては詳細がベールに包まれています。

業界に与える波紋は大きい


それでは、このガイドラインは不動産取引にどの様な波紋を起こすのでしょうか。
これは、マイナスになるのかプラスになるのかは不明ですが、「非常に大きい」ことが予測されます。
と言うのも、心理的瑕疵のある物件は、その瑕疵で敬遠される場合が多かったですし、過去の事件が見つかった場合の裁判も難しかったからです。

しかし、ガイドラインが出来れば、この様な裁判などに関してもスピードが出て来る物と思われます。
また、このガイドラインが出来たなら、告知義務などに関してもハッキリとして来るため、取引後のトラブルが少なくなるとも考えられます。

まとめ


心理的瑕疵について見て来ました。これによって、問題の難しさとデリケートさについてイメージが出来たことと思います。
また、ガイドラインが出来れば、取引の際の問題発生も少なくなる点についても分かったことと思います。
しかし、ガイドラインは現段階ではハッキリしてません。策定の完了を待ちましょう。
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