高齢者になったらどうする?賃貸に住み続けられるのか?

日本人の平均寿命は昔と比べて非常に長くなりました。昔は100歳を迎えるお年寄りはあまりいませんでしたが、今ではそれほど珍しくはありません。これはまさに「長寿命化」の実証とも言える状況でしょう。

さて、それでは、その状況の全部が問題が無いかと言うと、必ずしもそうとは限りません。介護の問題は慢性的になってますし、老人ホームなどの施設も満杯です。
それでは、住宅事情…それも賃貸住宅の事情はどうなのでしょうか。お年寄りにとって優しい住宅なのでしょうか。
ここでは賃貸住宅の現状を振り返り、高齢者に対しての現状について考えてみたいと思います。

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身体が老いるとどうなるか


まずは「老い」について考えてみましょう。
住生活を考える上で、どの様な人がその場で生活するかを確認することは非常に大切です。そして、これを逆から言うならば、物件を借りる人の身体条件について知ることも重要であると言えるでしょう。
では、高齢者の身体はどの様な状況になっているのでしょうか。ここでは代表的な現象を取り上げて考えたいと思います。

運動機能が落ちる


まず挙げられるのが「運動機能が落ちる」点です。人間は年齢を重ねると身体が動きにくくなってしまいます。特に顕著に見られるのが、「しゃがむ」「かがむ」といった動作が苦手になります。
これを住宅設備に当てはめて考えると、いくつかの問題点が浮き上がります。
例えば電気のコンセントなど。これらは床面近くにあるので、差し込む際にはしゃがむ動作が必要です。運動機能の低下した人に対して、「あまり優しく無い状況」と言えます。

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反応速度が落ちる


人間は年を経ると、反射神経が鈍ってしまい、反応速度が遅くなってしまいます。ですから、仮に何かのアクシデントを目や耳で察知したとしても、回避行動まで時間が掛かってしまい、大きな事故に繋がりやすいのです。
例えば、玄関アプローチなどが雨天で滑りやすくなった場合、足元が滑ったことに気が付いて、何かを掴んで転倒を防ごうとするかも知れませんが、反射神経が鈍った人の場合、何も掴むことが出来なくなり、そのまま転倒してしまうこともあり得ます。

視力が落ちる


年齢を重ねると視力も落ちてしまいます。お年寄りの目…というと老眼を思い出すかも知れませんが、その他にも白内障や緑内障などもあるのです。
そして、視力が落ちてしまうと足元の様子なども見えなくなりますし、何かに衝突しそうになったとしても、気が付かない事態も多いです。

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段差やツルツルした床が危険になる


お年寄りは段差が特に危険になります。まずは、つまずきやすくなりますし、転倒した場合においても、骨折などの大ケガに繋がりやすいです。
また、ツルツルした床面も危険です。この様な場所はスリップのリスクが高くなります。そのため、例えば浴室ドアなどに段差があると、つまずく、滑る、と言った危険要因が重なるので、非常に危険…と言えるのです。

賃貸で生活するメリット


次に、賃貸物件で生活するメリットを、お年寄りからの観点で考えてみましょう。

メンテナンスを貸主に任せられる


持ち家の場合、自宅周囲を自治会などで掃除している場合も多いです。そのため、その様なメンテナンスの負担が増えます。特にお年寄りの場合、階段などの掃除をする場合には、転倒や転落の危険性が増すので、あまり良い物とは言えません。
しかし、賃貸物件であれば、基本的には共有部分は貸主、あるいは管理会社に任せることが可能です。そのため、わざわざ危険な仕事に出ることは無くなります。

また、設備に何等かの不具合が発生した場合、そのメンテナンスも貸主負担になるところもメリットとして挙げられます。
例えば、浴室やトイレなどで故障が発生したとしても、賃貸物件であればオーナーが修理することになります。借主にとっては嬉しい条件と言えるでしょう。

不動産の買取

借地借家法で守られる


不動産を所有している場合、立ち退きを迫られるリスクはほとんどありません。あったとしても、物件に法的瑕疵があった場合など、狭い範囲に絞られるので、まず心配は無いと言えます。

さて、それでは賃貸は危険か…と言うと、決して危険ではありません。法律によって守られているからです。これは借地借家法という法律で、非常に強い公職力を持ちます。この法律は特別法と呼ばれる法律で、他の民法などと干渉する場合には、優先して守られるのです。
そして、借地借家法においては、家主は一旦契約をしてしまうと、家賃の滞納などの正当な理由の無い限り、住人を追い出すことは、まず不可能です。
そのため、この法律はお年寄りにとって、心強い味方になります。

賃貸で生活するデメリット


次に、賃貸物件で生活するデメリットについて解説します。賃貸物件での生活は、メンテナンスをはじめとした様々な仕事を貸主に任せられるので、楽ではあるのですが、やはりデメリットは存在します。
ここでは、賃貸物件での生活のデメリットを挙げてみます。

物件を改造出来ない


賃貸物件は基本的には改造出来ません。ですから、仮にスロープを付ける必要性を感じたとしても、勝手に造り付けることは出来ないのです。
この点、持ち家の場合であれば、構造的な制限と法律の範囲内であれば、かなり自由に造り込めます。しかし、賃貸物件はあくまでも「借りている」ので、勝手には変えられないのです。

原状回復の必要性


賃貸物件は退去するときには原状回復をしなければなりません。
原状回復に関しては、通常の使用による痛みに関しては問題はありませんが、過失で汚した部分などは修繕しなければなりません。
そのため、仮に別な物件や施設に移る場合、予定していたよりも多くの費用が掛かる場合もあります。

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相続の問題


不動産は資産を次世代に遺すのに向いています。不動産で資産を持っていると評価が低くなり、相続税が安くなるからです。ですから物件を購入して住み続けるならば、相続の際にも有利な条件にすることが出来ます。
しかし、賃貸を選ぶならば、そもそもの財産が残りません。
そして、仮に家賃となるお金を銀行などにストックしていたとしても、相続税はその金額に掛かり、不動産で持っているよりも税額が多くなります。

車いす対応に課題がある


不動産の広告を見てみると「バリアフリー賃貸」という物件を見つけることが出来ます。これは、文字通りバリアフリーに特化した賃貸物件なのですが、全部が高いレベルであるか…と言うと、必ずしもそうではありません。特に車いすへの対応に課題が見られます。

車いすを操作するためには、十分な幅の通路が必要ですし、カーブを曲がったり、Uターンをする場合には、ある程度の広いスペースが必要です。また、スロープにおいても、勾配が適切で無いと、上がれなくなる場合もあります。
また、車いすは段差や溝に弱いです。車いすを見ると、後輪を押すだけの様に見えるので、操作は難しく無い様にも思えるかも知れませんが、前輪が段差に弱く、溝などがあるとハマってしまう場合もあります。
そのため、不動産としても設備に対応が求められますが、…その対応が十分で無いのが現実なのです。

賃貸での生活は大丈夫?


それでは、高齢者の賃貸物件での生活はどの様に考えるべきでしょうか。

基本的には人それぞれ


先にも挙げた通り、賃貸にはメリットもデメリットも両方あります。どの点を重視するかは人それぞれなので、どれがおすすめであるかは一概には言えません。そして、賃貸にするか取得するかについても、これもまた一概には言えません。文字通り「人それぞれ」なのです。

そのため、「自分の番」が来る前に、自分に合う物件がどの様な条件の物であるかを、ある程度にしろ考えておく必要があります。…これは、「人生設計」と言うまでの大きな計画では無いかも知れませんが、検討しておくのは有益なことだと思います。

便利過ぎる物件も問題がある


運動能力の落ちた人にとって、利便性の高い物件は非常に魅力的です。生活動線が身体に優しいと、メンタル的にも良い効果が期待出来ます。
しかし、利便性が高すぎるのも問題です。
先に挙げた様に、運動能力が落ちると、しゃがむ、かがむといった動作が難しくなります。そのために住宅設備に工夫を凝らすのですが、この時に身体に優し過ぎると、今まで動けていた部分も動けなくなってしまい、運動能力が更に低下する事態も考えられます。
ですから、身体に適度に負荷を掛けることの出来る家造りが望まれるのです。

どの様な物件が向いているか


ここで、お年寄りに向いている条件について考えてみましょう。

エレベーターのある物件


まず挙げられるのがエレベーターのある物件です。エレベーターがあれば、仮に脚の状態が悪くなったとしても、自室に行くのに困りません。
特に、杖を突く様になった場合には、階段は危険性が増します。エレベーターのある物件がおすすめです。

1階が望ましい


エレベーターのある物件も魅力的なのですが、状況によっては1階を選ぶ方がいい場合もあります。
1階は敷地の外から見える危険性があり、プライバシー確保の点で難がありますが、例えば災害時の場合は避難しやすいメリットがあります。そして、エレベーターは災害時には止まってしまいます。避難を優先させるならば、やはり1階です。

丘の上などは要注意


丘の上の物件は展望が良い点がメリットです。しかし、丘陵の物件は自宅に着くまでに坂道を登らなければならないため、大変です。脚に自信の無い人は避けるのが無難です。

まとめ


高齢になると、身体的にも様々な変化が出て、今まで容易に出来ていた動作が難しくなります。その対応をするために物件の仕様を検討するのですが、その点は人によることがイメージ出来たことと思います。
高齢化は避けて通れない問題ですので、不動産においても何等かの対策が必要なのですが、万人に対して有効な決定打が無い状況です。ですから、自分に合う物件はどの様な物なのかを改めて考えることが非常に大切になるでしょう。

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