不動産担当営業マンの力 活用しなければもったいない! 

お客様と営業マンが一体になることで起きた「奇跡」とは


私はこれまで、多くのお客様のマイホーム購入をお手伝いさせていただきました。

お客様一人ひとりには、これまで歩んでこられた人生があります。

その上に家を買うという決意があり、私たち営業マンとの出会いがあり、そして理想の物件との出会いがある……。

ふとした瞬間にお客様のお顔を思い出しては、しみじみ感じ入っています。

もちろん、営業マンとは付き合わず、買い物はネットで済ませればそれでよい──という考えをもつことは自由ですが、それでは叶わぬことがあることを知っておいてもらいたいと思い、一つの事例をご紹介させていただきます。

 

K様のお話しです。

K様は、約300棟が立ち並ぶ大きな開発分譲地で生まれ育った女性です。ご結婚をされて一度はその土地を離れたのですが、ご出産を期に戻ってこられました。

「どこで子どもを育てたいかと考え、やっぱり自分が生まれ育った町が一番だと思いました。

小学校も中学校も、楽しい思い出しかありません。だから娘も、同じ学校に通わせたいのです」

なるほどなるほど。

私が頷きながらその区画の地図を出すと、K様は身を乗り出して、1点を指さしました。

「エリアは、ここです」

詳しくお聞きしてみると、土地は60坪以上、6m道路に面した東南の角、窓は全て南向きで玄関は特定の間取り、価格は4500千万円以下等々、ひじょうに細かな条件を提示されました。

その開発地は、分譲から40年ほど経っているので、徐々に世代交代が始まり、売り出されている物件は常にありました。

しかしK様の条件に合致する家は、300棟の中でも、片手で数えるほどしかありません。

せめてもう少しでも条件を絞っていただければ……と思いましたが、K様のお顔を見て、諦めました。

強い決意が感じられたからです。

さて、私のほうは、まずその300棟のエリアの精密地図を用意しました。

そして、蛍光ペンで色分けをし、候補を絞り込む作業をはじめました。

ところが、K様の条件に合う家にかぎって、まだどれも居住中でした。

かなり好条件の立地のため、もし他業者に先をこされ、広告が打ち出されたら瞬時に売れてしまう可能性もあります。

ですから、売り出されるのをただ待っているわけにはいきません。

私は思いきって、候補地を一軒ずつ、ご訪問しました。

「突然ご訪問して、申し訳ございません。実は、この近くの家を購入したいとおっしゃっている方がいます。ぶしつけな質問で恐れ入りますが、こちらの家を売却するご予定はございませんか……」

もちろん、居住者様の反応は散々なものでした。

何とか名刺だけでも受け取っていただきたいと思いつつも、大声で厳しいお言葉をぶつけられたり、塩をまかれることもありました。

そこで、すぐには空きが出ないことをK様にお伝えし、ご希望に近い物件もいくつかご紹介しましたが、K様の希望は揺るぎませんでした。

お互いに長期戦になる覚悟はできていましたが、35年の住宅ローンを組むつもりなら、44歳が限界です。K様はすでに40歳を超えていました。

「ダメだったときのために、別の家も検討はしておきます。

でも、35年の住宅ローンが組めなくなるギリギリまで、わがままを通させて下さい」

これほど決意が固い人は、見たことがありません。

いつもなら条件の緩和をお勧めするのですが、私は「分かりました」とお返事して、現地に足を運びながら、ひたすら情報に目を光らせていました。

もしも売り出されたら、絶対に逃さないように、と。

2年後のある日、奇跡が起こりました。

ご希望の家が1軒、売りに出されたのです。

私はすぐさまK様に連絡を取り、その日の夜にご案内しました。

K様は「ありがとうございます。購入したいと思います」と、その場で即決されました。

理想と寸分たがわぬ奇跡のマイホーム。

手前味噌な話で恐縮ですが、お客様の思いと、その思いに応えたいという営業マンの思いがひとつに重なった結果、おこった奇跡だと思います。

マイホームはネット検索で十分だ──この本の読者には、その考えを改めていただきたいと切に思うのです。

ワンポイントアドバイス



  • ・絞り込み条件の多い物件を、ネットだけで探すのは困難

  • ・お客様と営業マンの気持ちがひとつになったとき、奇跡が起こる

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