住宅営業マンが最も大切にしているものとは

「営業マンって結局は、自分の営業成績が一番大切じゃないの。多少気に入らない物件でも勧めてくるから、ネットのほうが理想のマイホームが見つかるはず!」

そのように思っている読者の方は多いと思いますが、それは誤解です。

良い営業マンが一番大切にしているもの──それは、自分の営業成績ではありません。

お客様の「喜び」です。

「泉田さんのおかげで、理想の家と巡り会うことができました。

本当にありがとうございます」

成約の際、このように言いながら、笑顔で握手を求めてこられるお客様がいらっしゃいます。

ストレートに感情を表せないお客様でも「泉田さんには、無理も言いましたが、最後まで辛抱強くお付き合いくださったことに感謝しています」と、会社宛にお礼状をくださる方もいらっしゃいます。

お客様に理想のマイホームと出会ってもらい、喜んでもらう──それこそが良い営業マンがもっとも大切にしていることなので、営業成績は二の次なのです。

ところで、初めてお会いしたときから車のローン等の問題が一切無く、親は承諾済みで、十分な資金があり返済計画にも無理がない……そんなお客様は、一人もいません。

お客様はみんな、何か問題を抱えています。

それは絡まり合った糸のようなもので、マイホーム購入のステップをクリアしていくためには、その糸を慎重に解いていかなければなりません。

私はお客様からお話しを聞き、お客様がどうしたいのかを感じ取り、これまでの経験と知識を総動員してさまざまなご提案をします。

そうして一つひとつを順に解決していき、全ての糸がキレイに解けた瞬間が、ご契約の日となり、そこに至るプロセス自体にも大きな魅力を感じているのです。

私がこの業界に入ったのは、26歳のときでした。

それまでは料理人として、和食の料亭に勤めていました。

その仕事に不満があったわけではないのですが、友人から「不動産関係の仕事をやってみないか」と誘われ、気楽な気持ちで飛び込んだのです。

入ってしばらくは、何も分かりませんでした。

あまりに複雑で、書類に書かれていることの意味が分からず、お客様から質問されたり相談されても、まともに答えることができませんでした。

そんな状態で、お客様の問題を解決するなど無理な話でした。

成績は常に最悪で、固定給のみの収入では100円のカップラーメンすら買えず、スーツをクリーニングに出すこともできませんでした。

それでも、この仕事は面白い、と思っていました。

先輩営業マンがお客様にご提案をしたり、手続きを行ったりしているとき、お客様はどことなく不安そうだったり、釈然としないお顔をされていました。

それでも契約というゴールに辿り着くころには、どのお客様も必ず笑顔になっていたのです。

私も自分のお客様をもち、笑顔を見たみたい──そんな強い思いが芽生え、宅建取引士の資格試験の勉強に取り組みました。

ちょうどそのころ子どもが生まれたため「これから父親として、子どもを育てていくのだ」という使命感にさらに背中を押されたこともあり、見事合格。

宅建取引士の資格を取ってからは、世界が変わりました。

仕事のやり方が順序だてて理解できるようになったのです。

さらに、経験からだけでは得られない法律知識、専門知識も学べ、何よりお客様からの質問にも正確に自信をもって答えられるようになったことで、お客様が私を見る目が変わりました。

こうして初めて、私という住宅営業マンが誕生したのです。

ところで、バブル期なら良い物件であれば、どんな営業マンが担当でも売れていたのは事実です。一等地であること、広いこと、大きいこと──そんな単純で分かりやすい要素を、お客様は求めていたような気がします。

しかし今は、どれほど素晴らしい物件であっても、そう簡単には売れません。お客様の希望は、多様化し、細分化されているからです。

お客様がどのような物件を求めているのか理解しようとする努力。

そして、物件に伴う情報を、宅建主任者の資格で得た正しい知識で読み取り、お客様に伝える力。この2つが揃って初めて、お客様に『理想のマイホーム』をご紹介することができるのです。

良い営業マンが、もっとも大切にしていること。

それはお客様の喜びであり、笑顔なのです。

ワンポイントアドバイス

・良い営業マンにとって、営業成績はあくまでも「結果」

・良い営業マンが、もっとも大切にしているのは、お客様の喜びと笑顔