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家づくりの知識

建売住宅の悪評は気にするな!

家を買うと決めて、物件もいくつか絞れてきました。
各物件の条件や価格に大きな差がなければ、やはり気になるのは建設業者の情報です。
購入して住み始めてから欠陥が見つかっても、賃貸住宅のように簡単に引き払うことはできません。その業者が建てた家で、過去にトラブルはなかったか、あったとしたらどのようなトラブルで、どれくらいの件数があるのか……

気になるのは当然です。そうした情報はインターネットに溢れています。同じ業者でマイホームを建てた人の声は、何よりも参考になるはず。そう信じて検索をかけて、ページを開きます。

悪評より好評の方が圧倒的に多い

おそらく目にするのは、こんな話ばかりでしょう。
「施工ミスで、入居して3カ月後に外壁再工事に」
「カビの生えた最低ランクの材木を使って家を建てている」
「鉄筋の数が明らかに少ない」
「アフターサービスの悪さは日本一」
こんな体験談ばかり読んでいては、買う気がどんどん削がれてしまいます。
私の知る限り、ネットの評判サイトは基本的に悪いことしか書かれていません。特にパワービルダー(建売を専門にしている大手の業者)の評判は、ひどいものです。たまに「悪くない」「普通」と書いている人もいますが……。

建築、不動産業界はクレーム産業

もともとクレームが出やすい業界で、販売数が多いため、どうしても悪評が目立ってしまうのでしょう。「現場作業員の態度が悪い」「若者ばかりで素人としか思えない」という書き込みを目にすれば、今まさにそのパワービルダーに家を建ててもらっている人は、そこで働く人たちを先入観で見てしまいます。そうして普通なら何とも思わない行為に「あ、本当だ! ひどい!」と反応してしまい、同じようにネットに書き込むかも知れません。

ネットでの評価が嘘や誤解ばかりとは言いませんが、鵜呑みにしない方が良いと思います。
確かにパワービルダーはローコストで建設していますが、国が定めた最低限の安全基準は守っていますし、装備も揃えています。決して違法建造を売っているわけではありません。事実、震災でも倒壊していません。

「最低基準をクリアするのは当たり前。問題は、それで本当に安全と言えるのかどうかでは?」確かに、あくまでも『最低』基準かも知れません。しかしその部分さえ守られていれば、決してひどいことにはならないのです。ネット上の悪評を見て不安になってしまったお客様には、私は次のようなお話しをしています。「パワービルダーの家は、トヨタの車に例えると『カローラ』です。

ハウスメーカーの家は『クラウン』にあたります。エンジンの大きさは当然違いますが、基本的な安全基準(建築基準法)は満たしています。もちろん最低限の装備(住宅設備)も整っています。ただ、布シートと本革シートを比べたら、やはり値段が高いぶん本革シートの方が乗り心地が良いですよね。

でも、布シートのカローラだからといって、高速道路でいきなり部品がバラバラになったりしますか?」
「いや……さすがにそれは」
「ありえませんよね。それと同じです」
10人中8人くらいの方が、これで納得して下さいます。しかし残りの2割の方は頭で理解できても、根付いてしまった不信感を完全にぬぐい去ることができません。

施工検査を数日後に控えたお客様から、こんなメールをいただいたことがあります。「竣工検査のとき、知り合いの建築士に一緒に見てもらいたいのですが、いいですか?」

もちろん構いません。

その家も建築士が設計したものに間違いはないのですが、第三者の建築士に見てもらうことで安心できるなら、そうされた方がいいと思います。

新築に限らず、中古物件を購入される際にも「この物件は本当に安全なのか、専門家の意見を聞いてみたい」という方には、建築士を紹介してもらう、または住宅診断の専門会社に依頼するという方法もあります。現代ではインスペクションという制度があります。

費用がかかりますが、天井から床下、外壁の隅々までチェックしてもらえます。いずれにせよ、不安を残したままの購入はお客様のためになりません。少しでも心に引っかかることがあれば、担当者にご相談下さい。