Column家づくりの知識

日本一わかりやすい!斜線制限の考え方と計算方法

斜線制限 日本一わかりやすい MyDesignリノベstudio株式会社Izumida

「きたがわしゃせん」という言葉は建築業界で働き出したら必ずぶつかる壁のひとつと言えるでしょう。どんなに一生懸命考えた間取りでも会社の先輩や設計事務所から「北側斜線が当たるから無理」と一蹴されてせつない思いをしている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では「日本一わかりやすい!」という事で北側斜線を解説していきたいと思います。

筆者自身現在は不動産会社兼設計事務所を経営していますが、住宅業界に就職した頃は建築については全くの素人でした。このような経験もあり北側斜線で苦労している人の気持ちがよく分かります。北側斜線は理屈を理解すれば難しいことはありません。数学は使いません。「さんすう」だけで充分計算できますので計算方法は小学校に戻った気持ちで考えてください。

住宅設計に必要な法律

北側斜線を語る上ではまず住宅設計に係る法律を理解しておきましょう。といっても難しい建築基準法の本を用意する必要はありません。住宅設計で必ず必要となる法律は基本的に4つです。まずはこの4つを役所などで確認することから始めてください。

① 用途地域・・・各市町村の都市計画課で確認
② 建ぺい率・・・各市町村の都市計画課で確認
③ 容積率・・・・各市町村の都市計画課で確認
④ 接道部分・・・各市町村の道路課で道路番号幅員を確認の上建築指導課で確認

まずはこの4つさえ押さえれば大体の建築設計ができます。
この中の①用途地域の部分が北側斜線と密接に関係してきますので次項より分かり易く解説していきます。

用途地域とは

用途地域とは勝手に色々な建物が建てられて生活環境が乱れないための法律です。工場用の地域や商業、住宅系と分かれてきます。用途地域の分け方は各市町村で昭和40年代に決められました。

よく「線引き前」や「線引き後」などの用語が出てくるかと思いますがこれは用途地域を決めた時期のことを指します。この用途地域の中に北側斜線の規制が入ってきます。用途地域によって北側斜線の高さ関係も変わってきますので用途地域の概要だけでも理解しておきましょう。

北側斜線の考え方

用途地域規制の中にある北側斜線という法律は簡単に言うと「日影の制限」の事です。北側の住宅や建物ができるだけ日影にならないようにするために考えられた法律になります。

しかしあまりにも制限を設けてしまうと3階建・4階建てなどは建築できなくなってしまいますのである程度用途地域によって妥協する建物の高さが決められているのです。「よく北側斜線の制限がきびしい」という話を聞きますがこれは北側の人にも配慮した住宅系の地域になりますので住宅を持つ人にとっては最高の環境であると言えます。

考え方・・・「北側斜線が厳しい=日当たりの良い地域」

北側斜線の計算ポイント

北側斜線の計算のポイントとしては3つです。ひとつは「北側斜線の高さ」でもうひとつは「建物の高さ」になります。そして最後に「北側斜線を超える高さの建物は建築できない」この3つのポイントを押さえておきましょう。このポイントを理解していれば北側斜線を考慮した間取りや配置計画がキチントできます。慣れてくれば敷地の図面を見ただけで配置計画やある程度の間取りが頭にすぐに浮かぶようになります。