昔の住宅は畳敷きが多く、フローリングのスペースは狭かったと言えます。例えば、古いアニメを見てみても、食事はキッチンで取るとしても、テレビのある部屋はいわゆる「茶の間」で畳敷きでした。また、テレビのバラエティ番組などでも「お茶の間の皆さん」といった表現が使われていました。
しかし、それは今では次第に少数派になっています。と言うのも、LDKを中心とした住宅が増えているからです。また、リノベーションの施工例を見ても、キッチンと和室を繋げて広いLDKを作ったりするケースが多いです。
ところで、せっかくフロアライフを楽しむならば、フローリング材にこだわってみるのも、面白く、おすすめです。特に、木質系は面白いです。
では、フローリング材にはどの様な物があるのでしょうか。
ここでは、木質系フローリング材を取り上げ、代表格でもある無垢フローリングと複合フローリングに焦点を当てて、それぞれの特性などを紹介します。
フローリング選びの重要性
フローリングの特性の話の前に、その選択の重要性について述べたいと思います。
雰囲気が決まる
フローリングは生活する人の視覚や触覚に直接的に作用するので、その選択によっては感じる雰囲気がずいぶん違います、そして何を選ぶかで住み心地が決まります。
例えば、フロアをクッションフロアで造るならば、人工的な雰囲気となるかもしれません。また、畳を使うならば日本の伝統を感じることでしょう。フローリング材も同様で、無垢の木の物を選ぶか、合板ベースの物を選ぶかで、やはり違って来るのです。
尚、家の内装はカーペットなどのレベルであれば容易に変えられますが、フローリング材までは含めるならば、簡単には変えられません。つまり、最初の選択の時に間違え無いことが、非常に重要になるのです。
メンテナンス性が違う
床材には、それぞれに合ったメンテナンス方法があります。そして、仮にその方法にそぐわないメンテナンスをした場合、更に状況を悪化させてしまうことさえあり得ます。
さて、無垢フローリングと複合フローリングではメンテナンス性も違います。と言うのも、片や天然素材、もう一方は自然素材と人間のテクノロジーとを合わせた素材だからです。
当然ながら、その素材に合わせたメンテナンスが必要です。メンテナンスに要求される労力なども違うのです。そのため、フローリング材の選定にも気を付けるべきです。
経済性が違う
家造りには非常に大きな費用が掛かります。それは仮に経済性に優れるリフォームを選んだとしても同じことで、数百万円単位の費用が発生することには変わりありません。そして、それは場合によってはその後の生活にまで影響し得ます。と言うのも、家を造った後のローンの支払いにも関係して来て、生活費にも影響し得るからです。
そのため、床をどうするかについても無関心であるべきではありません。床材によって費用も違うのです。それを無垢フローリングにするか、複合フローリングにするかで工事費が変わります。ですから、床材の選択で経済性も違って来るのです。
無垢フローリングについて
それでは、無垢フローリングについて紹介します。
無垢フローリングとはどの様な物か
無垢フローリングとは、簡単に言うと「天然木をそのまま使ったフローリング材」と表現出来ます。つまり、山から切って来た木材を切り出し、それで作ったフローリング材なのです。
今の木材を見てみると、家具から住宅の構造材まで人の手を加えた木材が多いです。例えば木製のテーブルであっても集成材が使われていますし、住宅の構造部分にも合板や集成材が多用されています。
天然木そのままのフローリング材は、より自然の味わいと持っていると言えます。そして、その独特の雰囲気は合板をベースとした床材は、数段上の雰囲気を作ります。
尚、無垢フローリングには様々な種類の樹種が揃えられています。ヒノキ、パイン、杉など様々で、好みによって選ぶことが可能です。
無垢フローリングのメリット
無垢フローリングのメリットは様々ですが、主な物としては次の点が挙げられます。
・室内の温度変化を緩和する。
・室内の湿度をコントロールする。
・肌ざわりが良い。
・天然木の持つ本来の香りが楽しめる。
・年数が経つと独特の味わいが出て来る。
第1の温度変化の緩和は、天然木の持つ「温度の伝えにくさ」から出来ている機能と言えます。
木は金属と違い、熱を伝えにくい素材です。そのため、部屋を木で作ると部屋の外の熱を室内に伝えにくくなり、快適になるのです。
第2の湿度調整は天然木の持つ水分を保持する特徴からの物です。天然木は水分を含むことが出来る素材です。そのため、湿度が高くなると空気中の水分を取り込み、空気が乾くと離します。そのため、湿度を適正に保持することが出来るのです。
第3の肌ざわりは、天然木本来の持つ「材料の優しさ」から来る物と言えるでしょう。木は昔から人の生活に溶け込んでいたこともあり、それは人に優しい肌ざわりで応えます。
第4は香りによる物です。天然の木は独特の香りを持ち、しかも、香りは木の種類によっても違います。そのため、天然木を使った無垢フローリングは良い香りが溢れ、部屋の居心地を更に良くします。
そして第5の点ですが、木は年月が経つと独特の風格が出て来ます。それは古い日本の建造物を見ても分かることで、一種の渋みを醸し出します。無垢フローリングもこの特性を持ちます。つまり、年月が経つと部屋全体の雰囲気も違って来るのです。
無垢フローリングのデメリット
一方、無垢フローリングにもデメリットはあります。
・湿度などにより伸縮するので隙間が出来やすい。
・汚れに弱い。
・傷に弱い。
・割れや曲がりの発生もある。
第1に、天然の木は温度や湿度に敏感で、空気の状態で伸縮する物です。そのため、フローリング材そのものも太くなったり細くなったりします。さて、フローリング材は長い板材を並べて施工するイメージになるのですが、この材料が細くなるとフローリング材の間に隙間が発生することがあります。無垢フローリングの弱点とも言うべき点です。
次に、汚れや傷に弱いのも弱点です。例えば、木にコーヒーなどをこぼしてしまうと、染みになる場合もあります。そして、一旦染みになってしまうと落とすことは出来ません。
また、キズが付きやすい欠点もあります。そして、一旦キズが付いてしまうと補修が意外に大変で、削るなどをしなければなりません。
そして、割れや曲がりなどの発生もあり得ます。これも天然木ならではの性質であるので、その特性上、変えることは出来ません。
複合フローリングについて
次に、複合フローリングについて解説します。
複合フローリングとはどの様な物か
木は山から切って来た天然木を使う以外にも使い方があります。一旦工場に運び込んで加工して使う方法です。ですから、「人間の手を加えた木材」のイメージとなります。代表的なのが合板です。
合板は一旦木材で薄い板を作り、それを接着剤で張り合わせて作ります。その際、繊維方向を変えながら作るので、天然木よりも強度が上がります。また、寸法安定性などもアップし、使いやすい素材となります。
複合フローリングは、この様な合板をベースにしたフローリング材です。
合板をベース材にして、表面の部分に天然木の層を作って、自然の風合いを出しているフローリング材…と言えるでしょう。
複合フローリングのメリット
それでは、複合フローリングのメリットにはどの様な点があるのでしょうか。
メリットとして代表的な物を取り上げると以下の様な物が挙げられます。
・コストパフォーマンスが良い。
・品質一定で、反りや曲がりが少ない。
・割れが発生しにくい。
・汚れに強い。
まず第1に挙げられるのがコストパフォーマンスの良さです。基本的に合板が安価なので生まれるメリットと言えるでしょう。無垢フローリングの場合、樹種に凝り、しかも柾目の物を選ぶと非常にコストが上がってしまいます。しかし、複合フローリングの場合には基本的なコストが抑えられるので、経済的には非常に助かります。
次に挙げられるのが品質が一定である点です。この特性も合板ベースである点から得られるメリットです。合板は接着剤で固められているということもあり、品質が一定で反りや曲がりが少ないです。
また、割れが発生しにくいのもメリットの1つです。無垢フローリングの場合には、天然木の特性上、条件によっては割れなども発生します。しかし、複合フローリングであれば固められていることもあり、その様な不具合も発生しにくいです。
そして、汚れに対しても無垢フローリングよりも強いです。無垢フローリングには汚れが付きにくい加工がしている物もあります。そのため、普段のメンテナンスも簡単になります。
複合フローリングのデメリット
次に、複合フローリングのデメリットについて取り上げてみましょう。
主な物としては以下の点が挙げられます。
・木の持つ雰囲気や味わいが乏しい
・安そうな物もある
・キズが付くと合板が見える場合もある
まず挙げられるのが、木の本来持っている雰囲気や味わいに乏しい点です。と言うのも、複合フローリングの部屋に入ると分かるのですが、そこには木が敷かれているのに、木の香りや肌ざわりはあまり感じられません。そして、これは無垢フローリングとは大きく異なる点です。
また、合板ベースの物なので、安そうに見える物もあります。これも無垢フローリングとの大きな違いです。表面の加工によっては合板の雰囲気が強く出てしまうのです。
また、キズが付くと中の合板の層が露出するのも難点と言えます。
まとめ
以上、無垢フローリングと複合フローリングを見て来ました。両者の特徴やメリット・デメリットにいついてイメージ出来たことと思います。
ところで、無垢フローリング材と複合フローリング材、どちらにもメリットとデメリットがあるので、一概に「こちらが良い」と言うことは難しく、最終的には個人の判断で決めることになります。
家造りは自分の判断で出来る点が醍醐味でもありますが、建材のデメリットも把握し、その上で使わなければなりません。
ぜひとも両者を比較・研究して、自分に合った家造りをしましょう。