住宅の購入は非常に大きな費用が掛かる物です。そのため、コスト削減のために新築では無く、敢えて中古住宅を選ぶ人も増えています。今の中古住宅は品質も良く、リフォームさえすれば十分快適に生活出来るからです。
さて、中古をリフォームして購入するのは、確かにコストを抑えられます。ただし、それはあくまでも「新築住宅の購入」としたときとの比較であることを忘れてはいけません。リフォーム物件とは言え、大きな費用が発生するのです。
それでは、リフォームに発生する費用はどの部分で高額になるのでしょうか。
ここではリフォームが高額になりやすい部分を5か所取り上げ、費用と工事の内容などについて紹介したいと思います。
どの様なリフォームが高くなるか
高額リフォームの具体的な箇所の前に、どの様なリフォームが高くなるかについて押さえておきましょう。
工事が大掛かりな物
まず挙げられるのが、工事が大掛かりな物です。
これには2つの例があります。第1に工事規模が大きい物、第2に工事が大変な物です。
まず第1の工事規模が大きい物、これは工事が住宅の広い範囲に及ぶ物を指します。良い例として挙げられるのが、外壁に関するリフォームです。外壁のリフォームは工事の内容としては複雑な物では無いかも知れません。しかし、工事の範囲は家の外まわり全体に及びます。ですから、例えば平米当たりの工事単価が安い様に思えても、家全体にすると高額になってしまうのです。
次、第2の工事そのものが大変な物としては、浴室リフォーム、しかも在来工法の物からユニットバスに変える物などが挙げられます。浴室リフォームもユニットバスを新しいユニットバスに変えるだけならば、あまり費用は掛からないかも知れません。しかし、在来工法の浴室の場合には、コンクリートとタイルで仕上げている場合もあり、この場合は工事が非常に大変になります。そして、その労力の分、工期も伸びますし費用も多く発生するのです。
設備費用が高い物
次に挙げられるのが、新たに設置する設備に高級なタイプを設置する場合です。
住宅設備は高級・中級・普及とグレードが大きく分かれていますが、価格と仕様はリンクしていて、高級グレードになれば仕様が良くなりますが、価格も同時に上がります。高級になるほど高機能になり、しかも高級な素材を使っているので、価格も上がるのです。
尚、設備にもよりますが、グレードの差により100万円レベルの費用が発生する場合もあります。
断熱リフォーム
次に、具体的なリフォーム箇所を取り上げ、概略の費用と工事の内容について解説したいと思います。
まずは断熱リフォームです。
概略の費用
断熱リフォームは壁の工事、天井の工事、床下の工事、屋根の工事、窓の工事などが必要になります。これらはそれぞれ面積や数によっても違って来ますが、一戸建て住宅の場合には、300~500万円の費用を見るべきでしょう。ただし、断熱材の仕様などによっても費用が上がる場合もあるので、あくまでもこの金額は目安です。
工事の内容
断熱の第1は壁の工事です。これは断熱材と交換する方法や、家全体を新たな断熱材でカバーしてしまう方法があります。いずれにしても家全体が工事の範囲となるので、それだけ費用が上がってしまいます。
次に挙げられるのが天井や床、そして屋根です。これも工事の範囲が家全体に及びます。
また、断熱には窓の改善も欠かせません。ただ、窓は交換するのでは無く、内側にもう1枚窓を設置してコストを抑える方法もあります。
耐震リフォーム
次に挙げるのは耐震リフォームです。この工事も大掛かりになるため、工事費用が跳ね上がります。
概略の費用
耐震リフォームにも工法がいくつかあり、簡易的な物から非常に大きな物まであります。そのため、費用は20万円程度の物から200万円を超えるケースまで様々です。
工事の内容
震リフォームの工事の内容にはいくつかの方法があります。簡易的な物としては、構造用合板を設置して横からの力に対して強くする物。或いは木構造の主要構造材の接合部を金具で補強する物。また、古い住宅の場合には基礎の強度が十分で無い場合もあるので、基礎にコンクリートを打つ様な物。そして、屋根材が瓦で葺いている場合には、屋根の仕様を変えて軽量化し、地震に対するダメージを軽減する物があります。
当然ながら、工事の規模が小さければ費用は少なく、基礎や屋根を含む様な大掛かりな物の場合は非常に高額になります。
外壁リフォーム
外壁のリフォームもいくつかの種類があります。比較的簡易的な物としては外壁部分の再塗装。大掛かりな物としてはサイディングに至る工事が挙げられます。
概略の費用
外壁リフォームにもいくつかの種類がありますが、基本的には家全体に工事の範囲が及ぶため、価格的には高いです。また、リフォームをどの様にするかによっても費用は違います。ですから価格的には幅が出来てしまい、100万円のレベルから500万円のレベルまでにもなります。
工事の内容
工事の内容としては、外壁の塗装、そして外壁材の設置、或いは交換などとなります。
ただし、外壁の塗装に関しても塗料のグレードによって費用が異なりますし、外壁材を既存の壁に着ける場合、そして外壁材を全部交換してしまう場合もあります。
いずれにしろ、家の周囲に足場を組み立てて行う工事なので、工事規模も大きくなりますし、工期も長くなります。
キッチンリフォーム
キッチンリフォームも多額の費用の発生する工事の1つです。
ただ、キッチンの場合は工事の規模を小さくすることが出来るので、費用を抑えることも可能です。
概略の費用
キッチンのリフォームも内容によって相当に変わります。と言うのも、今のキッチンは昔と違って様々なバリエーションがあるからです。また、キッチンもグレードによって価格帯そのものも変わります。
価格の目安としては、50万円程度で済む物から500万円を超えるケースまで、実に様々です。
工事の内容
キッチンのリフォームが仮に設備の交換だけであれば、費用的にはそれほど多額にはならないかも知れません。昔の家のキッチンは壁付けのタイプが主流で、それほどに飾った物では無かったからです。
しかし、今の家のキッチンはLDKが中心になっていることもあり、形態が様々です。今の家のキッチンは昔の物とは違い、対面式の物が増えていますし、ペニンシュラ型やアイランド型など、昔の家には見られなかった物が多くなっているのです。
そして、昔の壁付けのキッチンを変えるためには配置変えも必要となるために、水道工事も発生しますし、換気扇の位置も変わるのでダクト工事も必要となります。また、LDKとする場合はリビングとのデザインのコーディネートから、内装の変更なども発生します。
この様に挙げると、キッチンの変更がリビングを含めた変更にまで繋がり得ます。そのため、費用は上がってしまうのです。
浴室リフォーム
浴室のリフォームも意外に費用が発生します。と言うのも、浴室の工事も多岐に及ぶからです。
概略の費用
浴室のリフォームは、ユニットバスを古い物から新しい物に換えるといった比較的単純な物、そして在来工法の風呂場からユニットバスに変える物などがあります。そして、これには浴室まわりの構造を変更しなければならない物もあります。
さて、費用ですが、目安としては100万円から300万円程度が見込まれます。
工事の内容
浴室の場合は前述の通り、単純な浴室の入れ替えで済む場合もありますし、既存の物を壊さなければならない場合があります。単純な入れ替えで済むのであれば工事もそれほど難しくは無く、工期も短いです。しかし、在来の風呂をユニットバスに変える場合には、在来の浴室の解体などの工事も発生しますので、費用がそれだけ上がってしまうのです。
また、浴室は湿気がこもってしまう部分ですので、浴室まわりの部材がダメージを受けている場合もあります。その場合はその部材の処置も必要です。費用もそれだけ発生します。
リフォーム費用を抑えるコツ
高額リフォームの代表例について取り上げてみました。しかし、これらのリフォームにおいても価格を抑える手段はいくつかあります。ここでは、その様な手段を挙げてみましょう。
業者選びを入念にする
まず挙げられるのが、業者選びを入念にする点です。と言うのも、業者によって得意分野が異なり、見積もりが業者ごとに違う場合もあるからです。
例えば、外壁のリフォームの得意の業者にキッチンの工事を依頼したとしても、良い工事にはなりにくいです。確かにその業者が多くの職人を抱えていたとしても、製品の商流などの都合から製品代が違う場合もあり、価格差として現れ得るのです。
設備や材料の選定に注意する
先にも挙げた様に、住宅設備には高級から普及までのグレードがあります。そして、高級のタイプを使えば費用は掛かります。
しかし、そこで普及タイプを敢えて選べば、それだけ費用を抑えることが可能です。
利用するローン選びに気を付ける
リフォームにローンを利用する場合、金融機関を変えることにより、トータルの支払額を抑えることも可能です。リフォームローンにおいても金利が違う場合もあり、それだけに返済額が違うからです。
リフォームの金利が違うと、特に高額リフォームの場合には差が発生しやすいです。
補助金や税金の優遇措置の利用
リフォームにおいては様々な補助金や税金の優遇が行われています。その制度を利用するならば、費用的にもずいぶん違って来ます。
この代表的な例は断熱リフォームなどが挙げられます。自治体にもよりますが、独自の支援制度を持っていたり、税金の減免を持っていたりするのです。
まとめ
高額リフォームについて取り上げて来ました。高額のリフォーム例だけでなく、どの様な原因で費用が膨らむかについても、イメージが出来たことと思います。
リフォームは非常に魅力的ですが、あまりに高くなり過ぎると、中古住宅を購入するメリットが薄くなってしまいます。ですから、発生する費用に十分に気を付けて計画を立てるのが、非常に大切になります。