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建替えによる立ち退き 貸主が準備する立ち退き費用や期間は?

古いアパート、ビルの立ち退きについて MyDesignリノベstudio 株式会社Izumida

不動産の仕事の中で、あまり気が進まない仕事のひとつが立ち退きです。
所有しているマンションやアパートが老朽化して、立て替えたいと思っても、まだ入居者がいる場合は、立ち退きを行わなければいけません。
スムーズに立ち退きができるに越したことはありません。
しかし、こじれるケースも複数あります。

高額な費用を請求され、裁判になり、時間がかかってしまった
立ち退き交渉を長引かせたくないから、高額の立ち退き費用で立ち退いてもらった
などのケースが一般的に考えられます。

本当に立ち退きに関しては悩みが尽きません。
では、貸主が立ち退きを検討したときに、準備する立ち退き費用はどのくらい見ておけばいいのでしょうか?
また、立ち退きまでの期間はどの程度、考えていたらいいのでしょうか?
この記事では、建替えによる場合、立ち退きの流れや費用、期間などについて詳しく解説していきましょう。

立ち退きのスケジュールは計画的におこなう

立ち退きにおいて、大きなポイントのひとつに「スケジュールをきちんと計画して立ち退きを行う」ことが挙げられます。
自分で、スケジュール立てて計画的に行うこと。
もしもの事態に備え少し余裕のあるスケジュールにしておくこと。
を心がけて立ち退きに臨まなければいけません。
立ち退きのスケジュールについて解説していきましょう。

入居者へ更新止めの通知を行う

まず行うことは入居者に対して、建替えを行うので、これ以上契約は更新できませんとの通知を出さなければいけません。
ここで一つ注意しておくポイントが、賃貸借契約書に記載している貸主の解約予告が何か月前までと記載されているのかという点を踏まえて、解約通知をおくるということです。
一般的に多いのは、貸主は6ヶ月前までに解約通知を出さなければいけないとなっています。
賃貸借契約書の貸主の解約予告に沿って解約通知を送付します。
また、口頭だけで行ってはいけません。
必ず書面で行うことが原則です。

しかし、普通郵便だと相手方が見たという証明がありません。
本来ならば内容通知の書面で解約通知を行わなければいけませんが、借主の立場を考えると何の予告もなく、解約の内容証明郵便が届くと、感情を害する入居者も出てくる可能性があります。
今後の立ち退き交渉のことを思うと、入居者にはあまり悪い感情を持ってほしくはありません。
では、どのように解約通知を行えばいいのでしょうか?
まずは、電話や訪問などで、解約したい旨を告げ、その後、書面が届くことを伝えた上で、解釈通知書を内容正面付き郵便で送ってはいかがでしょうか?
電話や訪問で、入居者の感情も推し量れ、今後の交渉に役立つかもしれません。
なにより大きなメリットは、入居者の感情に配慮して行動しているので、悪い感情を残しにくいといった点です。
悪い感情はなるべく出させない方法を考える必要があります。

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立ち退き交渉開始

解約通知を送ると全てが終わるというわけではありません。
ここからが、いよいよ立ち退き交渉スタートです。
ここからの働きが一番大変な項目となります。
建替えしないといけない状況をきちんと説明し、理解を得る努力を惜しみなく行いましょう。
また、最初の交渉において、借主からの要望が出る可能性がありますが、基本的には即答してはいけません。

どんな簡単で解決できそうな問題でも、いったん持ち帰り、全入居者の意向を聞きながら決定することをおすすめします。
入居者同士の繋がりがあり、早い段階から、入居者の条件をのんでしまうと、他の入居者からは、それ以上の要求をされる可能性があるからです。
まずは、入居者全てに呼びかけ、何か条件を出された場合は即答しないことを心がけましょう。

そして、入居者側の立場を理解するような交渉を心がけることも忘れてはいけないポイントです。
貸主都合を押し付けると、入居者の気分を害し、立ち退き交渉がうまく進みません。
一方的な要望があったとしても、決して感情的にならずに、丁寧で細かな気遣いを行いながら交渉していく必要があります。

引っ越し先を見つける

入居者が心配する立ち退き問題のひとつとして、希望通りの住まいが見つかるかの不安を持っているという点が考えられます。
できれば、転居先を見つけてやることで、予定通りに立ち退き交渉が進む可能性が高まるでしょう。
入居者に任せていたら、いつまでたっても引っ越し先を見つけずに、立ち退き日が迫ってしまい、退去しないといったケースも考えられるのです。

入居者の引っ越し先を探すまでもないと思っている人も多いでしょうが、引っ越し先を見つければ入居者の悩みのひとつが改善されます。

引っ越し先を見つけるときに活用するのが不動産会社です。
個人の力での部屋探しには、複数の部屋を探す場合は、どうしても限界があります。
信頼のおける不動産会社に依頼して、条件の良い引っ越し先が見つかると、入居者も安心しますので、スムーズに立ち退きができるでしょう。
貸主が、色々と、入居者のために動いていることがアピールできれば、精神的な面で入居者の心をつかむことができます。

立ち退き完了

お互いの条件が折り合い、引っ越し先が決まると立ち退きは完了です。
あらかじめ、入居者との間に立ち退きの同意書を締結しておきます。
立ち退き同意書の内容は、立ち退きに伴う貸主の支払額や支払いの日にち、立ち退き日などを明確に記載しておきましょう。
また、立ち退き後には一切の金銭の支払いはないことや、次の引っ越し先において、問題が起こった場合に、責任は問わないなども明記しておくと、万が一のトラブルが起こった際に、効果的です。
ここまで行い立ち退きは完了します。

立ち退きの期間はどの程度かかるのか?

以上が大まかな立ち退きまでの流れとなります。
スムーズにいく場合とこじれる場合では、立ち退きまでの期間が大きく異なるといえるでしょう。
では、スムーズに立ち退き交渉が行われた場合において、どのくらいの期間を見ておいたらいいのでしょうか?
そして、もっとも貸主が気になる点が、立ち退き料です。
立ち退き料の金額はどの程度見ておいたらいいのでしょうか?
立ち退き料の相場や決め方、交渉のやり方などについて解説していきましょう。

半年以上は当然、1年程度を立ち退き期間にあてましょう

賃貸借契約書の中身にもよりますが、一般的な貸主都合により退去予告は6カ月前までとなっています。
つまり、最低でも6か月間は必要です。
賃貸借契約を更新しない旨の通知が、半年前までには送る必要がありますので、半年以上は取っておきましょう。

1年以内には立ち退き交渉を済ませることとなりますが、実際、立ち退き交渉にあたる人数によっても大きく異なります。
また、貸主側が、立ち退き交渉にどの程度の人数をあてることができるのかによっても期間には若干の違いが出てくるでしょう。
しかし、立ち退きの意思が固まっている入居者に関しては、早めに立ち退きして心変わりが起きないようにすることもポイントとして挙げられます。
では、半年間で立ち退きを完了させるケースにおいて、スケジューリングを考えてみましょう。

最低でも立ち退き日2カ月前までには交渉を完了させる

立ち退き交渉のリミットは、立ち退き日の2カ月前までです。
引っ越し先の手配まで行っている場合は、3カ月前までには完了させる必要があります。
ここで、大切なポイントは、立ち退き

日には必ず退去してもらわなければいけないということです。
2カ月前までに交渉が終わらなければ、立ち退きが遅れてしまう場合があります。
そうなると、解体工事などの工事日程に大きな後れをとり、余計な費用が出てしまう可能性があるわけです。
早め早めの対応を心がけ、最悪の事態を起こさないようにすることが最も重要といえるでしょう。

裁判による立ち退き料を参考にすると?

立ち退き交渉がこじれて、裁判になってしまった場合、裁判所は立ち退き料をどのように設定しているのでしょうか?
裁判になった場合の立ち退き料の計算方法を見てみましょう。
裁判所で、立ち退き料を計算する場合に、賃借権の価格を算定し立ち退き料の目安としています。
土地の価格×借地権割合(70%)×借家権割合(総戸数の1戸)
例を出して説明しましょう。
土地価格2,000万円、戸数10戸のアパートにおける賃借権の計算式です。
2,000万円×70%×1/10=140万円
つまりこのアパートの場合の立ち退き料は140万円が妥当とみなされます。
立ち退き料の設定は貸主の一番の悩みどころです。

少なすぎると、立ち退きに時間がかかって、逆に建替えができなくなってしまいます。
高すぎると大きな費用を支出することになってしまい、資金が足りなくなってしまうかもしれません。
賃借権を基準にした立ち退き料は、ひとつの目安として見ることができます。

引っ越し費用と心づけ程度が一般的

しかし、賃借権を使った立ち退き料の算出は、高額になってしまい、現実的ではありません。
一般的には、立ち退き料として、引っ越し代+心づけ程度の費用で折り合うことが多いようです。
しかし、一旦こじれてしまい、裁判となってしまうと、賃借権を目安とした立ち退き料になってしまう可能性があります。
心づけは、貸主の気持ちとなりますが、一般的には、家賃の1か月分や10万円程度が多いようです。
また、賃貸借契約時に敷金を預かっている場合、敷金は全額返還しなければいけません。
敷金の返還は、立ち退き料とは全くの別物ですので、立ち退き料+敷金を支出費用として考えておきましょう。

まとめ

立ち退き交渉は建替えにおいて最も困難な作業のひとつといえるでしょう。
立ち退き日までのスケジュールを逆算して、計画的な交渉を行う必要があります。
立ち退き交渉がうまくいかないと、工事自体が大幅にずれ込み、大きな損失を被ってしまう可能性がでてくるのです。
また、貸主の大きな悩みのためは、立ち退き料です。
立ち退き料が安いと、納得しない退去者との間で裁判になってしまい、時間と費用が大きくロスしてしまいます。

立ち退き交渉において大切なポイントは2つ
 1)入居者に寄り添った対応を心がける
 2)引っ越し先の手配など、入居者のために汗をかく
このような点に留意して、誠意を持った対応と、スケジューリング通りの交渉を心がけましょう。

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