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建物の耐用年数は2種類ある!耐用年数ハンドブック

建物の耐用年数一覧

住宅ローンは非常に長い期間を掛けて返済します。そして、それは気の遠くなる様な長さです。
…35年と聞くと、人の一生の半分近くにもなるでしょうから、気が遠くなるのも仕方無いとも思われます。

さて、その一方で、もしかしたら「35年も建物は持たない。」などと言う話を耳にした人も多いと思います。
そして、いわゆる「価値が無くなるまで」を調べてみると、住宅ローンの完済以前に来てしまうのが分かって愕然とした人もいるかも知れません。

しかし、その一方で築年数の経った住宅に問題無く住んでいる人も事実です。
それでは、建物の耐用年数は、本当はどうなのでしょうか。

住宅の構造についての復習

まず覚えて起きたいのは、建物の構造についてです。
住宅にはいくつかの構造の種類があり、材料から作り方まで、様々な種類があります。
ここでは、住宅の構造について再確認したいと思います。

木造

木造は木から作る住宅です。
ただ、昔は製材した材木を多用していましたが、今では集成材や合板を多く使っています。
また、外壁材などは別の素材を多用しています。

木造住宅と聞くと、もしかしたら強度がそれほど強く無い住宅と思われているかも知れません。
と言うのも、マンションなどに使われている鉄筋コンクリートなどよりも、素材的に弱いからです。

しかし、今の木造住宅は耐震強度も昔よりもアップし、大きな地震が来たとしても耐えられるだけの強度を実績として持っています。

木造住宅には在来工法とツーバイフォー工法の2種類があります。
特徴としては、在来工法が柱や梁で構造を構成すること、ツーバイフォー工法は合板とツーバイフォー材をベースとして構造を作っている点にあります。

尚、在来工法には木造モルタルの住宅と、サイディング壁の住宅があります。今の木造住宅の主流はサイディングの住宅です。

鉄骨造は構造をスチールで作る住宅です。
木造住宅が柱や梁などを木材で作っているのに対し、鉄骨造は鉄骨で柱や梁を作っているイメージとなります。

ところで、鉄骨造には軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類があります。
双方とも、基本構造をスチールで作るのには変わらないのですが、構造材の肉厚によって、軽量鉄骨と重量鉄骨に分類されます。

鉄骨造の特徴は高い強度にあります。
と言うのも、スチールの強度は非常に高いからです。
また、腐食さえ防止出来れば、耐用年数も非常に長くなります。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートで作る構造です。
RC造とも呼ばれます。
コンクリートの内部に鉄筋を埋設して、柱や梁などの構造部分を造る構造です。

鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造と言うことが出来るのですが、鉄筋とコンクリートの強度特性は違います。

と言うのも、鉄筋は一般には引っ張る力に対して強い一方で、コンクリートは圧縮に治して高い強度を示します。
そのため、鉄筋とコンクリートを組み合わせると、引っ張りにも圧縮にも強い構造を作ることが可能となり、大きな構造も作れる様になるのです。

鉄筋コンクリートは住宅にも使われているのですが、マンションにも使われています。強度と耐久性を備えた素材の構造だからと言うことが出来るでしょう。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄骨鉄筋コンクリートは鉄筋コンクリート造の中に、更に鉄骨が入った構造で、SRC造とも呼ばれる構造です。
イメージとしては、鉄骨で組んだ構造に鉄筋を巻き、その上にコンクリートを流し込んだ形になります。

特徴としては、鉄筋コンクリートの持つ剛性にスチール構造の持つしなやかさを併せて持たせた構造と言うことが出来ます。

尚、この構造はビル建築に使われます。
例えば、大型のマンションなどは、多くの場合がこの構造で造られているのです。

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「2つの耐用年数」とは

次に、タイトルにもあった「2つの耐用年数」について取り上げます。

建物の耐用年数はどの様になっているのでしょうか。

実際の耐用年数と法定耐用年数

建物には「耐用年数が2つ」あります。まず1つ目が、実際に壊れるまでの耐用年数です。
その一方で法的に決められた税務上の耐用年数があります。
これが「法定耐用年数」です。

法定耐用年数は昭和40年に、時の大蔵省によって出されました。
この耐用年数によって建物の減価償却が決められ、固定資産税などの評価が決まっています。

ただし、この耐用年数は、実際の建物の物理的な耐用年数ではありません。
ですから、仮に法定耐用年数をオーバーしてしまったとしても、建物はそのまま使用することが可能で、生活は普通にすることが出来るのです。

法定耐用年数はどれくらいか

次に、法定耐用年数が実際にはどれくらいの期間かについて紹介します。
この期間は建物の構造によって違い、以下の通りとなります。

・木骨モルタル住宅:20年
・木造または合成樹脂造:22年
・鉄骨造(鉄骨肉厚が3㎜以下の物):19年
・鉄骨造(鉄骨肉厚が3㎜を超え、4㎜以下の物):27年
・鉄骨造(鉄骨肉厚が4㎜を超える物):34年
・鉄筋コンクリート造:47年
・鉄骨鉄筋コンクリート造:47年

尚、今の住宅は木造がサイディングの物が多いので、実質的には22年です。
また、住宅を考えるならば、肉厚の厚さで軽量鉄骨と重量鉄骨に分かれますが、軽量鉄骨造の物が27年、重量鉄骨が34年となります。

そして主にマンションなどに使われる鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造が47年となっています。

建物の実際の耐用年数

建物の耐用年数には2つあり、その内の法定耐用年数については構造別に分かったことと思います。
法定耐用年数はあくまでも税務上の耐用年数であり、実力値では無いのです。
それでは、実際の耐用年数についてはどれくらいの実績があるのでしょうか。

木造

木造住宅はモルタル造で20年、サイディングを使った木造で22年とありますが、実際の街中を見てみると、これより更に築年数の経った建物が現役として使われているのが分かります。

更に言うならば、築50年を超える様な建物が「古民家」としてリノベーションを加えられて使われ、人気を集めている状況もあります。
それでは、実際の耐用年数はどれくらいか…と言うと、築80年、あるいはそれ以上利用が可能です。

ただし、この耐用年数は適切なメンテナンスがあってこその年数です。
木造住宅は構造部分が水に強い訳では無いので、外壁塗装などのメンテナンスをしっかりとしなければ、早く傷んでしまいます。

また、シロアリの害にも注意をしなければなりません。
木造住宅の維持には、定期的なメンテナンスが必要であることを覚えましょう。

鉄骨造

鉄骨造は木造よりも耐用年数は長いのですが、法定耐用年数上のリミットは、やはりあります。
しかし、これも木造住宅と同様に、実力値とは違います。

それでは鉄骨造の耐用年数ですが…これも50年、あるいは60年以上の建物であっても使用は可能です。

と言うのも、ハウスメーカーの資料などを見ると、有償のメンテナンスを含むならば60年レベルでの点検にも対応している状況があるからです。
ハウスメーカーのメンテナンス体制を上手に利用すれば、60年を超えても通常使用に困らない生活が可能であると言うことが出来るでしょう。

鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート系の建物も非常に長い耐用年数を持ち、法定耐用年数を超える物であっても、立派に現役で使用されています。

これは、例えば東京のオフィスビルなどを見ると、その耐用年数が分かるかと思います。
と言うのも、築年数の経った高層ビルが今でも多く使われているからです。

一例では、東京の霞が関ビルは、1968年の竣工ですから、築50年を超えています。
尚、鉄筋コンクリート系の建物の耐用年数はメンテナンスや環境によって、やはり変わります。

国外にはなりますが、ニューヨークのエンパイヤーステートビルの竣工が1931年と言いますから、相当に長い期間の使用が可能と言えるでしょう。

材料の耐用年数

ここで、材料の耐用年数について紹介します。
建築部材は様々ありますが、ここでは木材、鉄鋼、鉄筋コンクリートについて見てみましょう。

木材

木材の耐用年数は、京都や奈良の歴史的建造物の例を見ても、非常に長いことが分かります。
ただ、その時代の木材と、今の集成材では物が違います。現在の集成材は接着剤で接合していることもあり、耐用年数が短い様にも思われます。

しかし、林業関係者に言わせると、しっかりとした工程で造られている集成材であるならば、50~70年以上は大丈夫とも言われます。
つまり、建物に使われる場合であっても、法定耐用年数を超えても、十分に使用に耐え得るのです。

鉄鋼

鉄鋼の耐用年数も非常に長いです。
例えば、東京タワーは竣工が1958年なので、60年以上経っていることになります。
しかも、コンクリートに埋設されている訳では無い状態なので、素材自体の耐用年数の長さを物語っていると言えます。

尚、鉄骨の弱点は腐食の問題ですが、これは塗装によってクリアすることが可能です。メンテナンスをしっかりすれば、更に長い期間の使用が可能となるでしょう。

鉄筋コンクリート

鉄筋コンクリートの耐用年数は、埋設されている鉄筋の腐食状況によります。
鉄筋が腐食され無ければ、非常に長い期間の使用が可能なのです。

鉄筋コンクリートの鉄筋の腐食は、環境にもよりますが、60年とも100年とも言われます。
と言うのも、鉄筋コンクリート内のコンクリートの化学変化は外側から進行するのですが、スピードは遅く、腐食が始まるまで相当の時間を要するからです。

まとめ

建物には法定耐用年数と、実際の耐用年数の2つの物があることが分かったと思います。そして、実際の建物は、法定耐用年数を超えてもなお、現役で使用が可能であることも、理解出来たと思います。

建物は仮に古くても、メンテナンスをしっかりするならば、相当に長い期間、利用が可能です。ですから、マイホームを検討する場合は、中古住宅の購入も良策であることも、覚えて欲しく思います。

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