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防犯対策は【窓】と【玄関】侵入者から住まいを守る方法!

防犯対策は【窓】と【玄関】

昨今の窃盗をはじめとする侵入犯罪は悪質さを増し、その侵入手口は更に巧妙になっています。
そのため、市民生活は危険性を増し、私たちは枕を高くして寝てもいられません。

しかし、建築関連の技術のレベルも上がり、侵入犯罪の対策も向上しました。窓や玄関の防犯性は上がり、窃盗犯も簡単には侵入が出来ないレベルになっています。

それでは、具体的な防犯手段はどの様な物なのでしょうか。
そこで、ここでは侵入犯罪に対する防犯手段を、侵入経路となる「窓」と「玄関」を取り上げて解説したいと思います。

防犯について

建材の防犯性能を上げる手段について紹介する前に、「防犯の方法」に対する考え方について紹介します。

防犯の方法

単純に防犯と言っても、実際にはいくつかの手段があり、その手段によって建材を作り分ける必要があります。たとえば、侵入者を「威嚇」するのが手段であればセンサーライトなどが有効です。

ただ、窓や玄関の防犯は威嚇の面もありますが、スタンスが少し違います。
「工具などを使って無理やり開けようとしても、一定以上の時間壊れなければ防犯性が高い」…としているからです。
そして、この「一定以上の時間」は「5分」が基本とされています。
この「5分」という時間は、元泥棒のアンケートからの集計結果から検討された基準です。

と言うのも、元泥棒によれば、侵入のために「5分掛かったら7割の窃盗犯があきらめる」といった調査結果があるからなのです。
ですから、建材メーカーでは防犯性の高い製品を出していますが、これらは5分の攻撃に耐えたかどうかで判断がされています。

窓の防犯の考え方

窓はガラスを使っていることもあり、窃盗犯が最も狙う部分でした。
また、敷地の外から見通せない部分にも窓はあるため、侵入者にとっては攻撃しやすい部分であったとも言えます。

さて、窓の防犯ですが、これも外部からの攻撃に5分耐えられるかによって決まります。
基本的には前述の「5分掛かったら7割の窃盗犯はあきらめる」に基づいているのです。

ところで、窓の破り方としては、ガラスの錠まわりを破壊して、外からサッシの錠を開ける方法と、窓ガラス全体を破壊する方法がありますが、これについても、5分で錠が開けられるか、あるいは破壊されないかで決まります。

防犯窓(面格子)

玄関の防犯の考え方

玄関はドアを破るための所要時間が5分を超えたらば、防犯性が高いとしています。
この点は窓と同じです。窃盗犯がドアを開けるためのアクションをはじめて、5分で開けることが出来なければ、解錠を諦めてしまう、という考え方から構造が造られています。

ただ、窓と違う点は侵入犯の破り方です。玄関の破り方は、バールなどの工具で強引にドアをこじ開ける方法と、ドア錠を特殊な工具で攻撃して開ける方法となります。
どちらにしても、5分の攻撃を耐えれば、防犯性の高い物として認められます。

窓の防犯

それでは、実際的な構造は、どの様な形になっているのでしょうか。
まずは窓まわりの防犯のための構造や装置について紹介します。

戸先錠

戸先錠は、窓サッシの戸先部分に設置する錠です。
戸先部分に開閉のための引手があり、引手にロック機構が付いている物です。

サッシは引手を使って開閉させますが、引手で開けようとすると、鍵が開き、窓を開けることが出来ます。
反対に、窓を閉めると、完全に閉まった状態で引手の錠が施錠され、窓が開かなくなります。

特徴としては、通常のクレセント錠と違って、外から窓ガラスに穴を開けられたとしても、手で開けにくい点です。
また、一般の錠は閉め忘れることがありがちですが、戸先錠の場合は自動的に施錠されるので、閉め忘れることリスクが低い点がメリットです。

戸先錠 防犯リフォーム

ロック付きクレセント錠

通常のクレセント錠は、窓の中央に設置して、回転させて窓をロックします。
ただ、このクレセント錠の場合には、仮に錠まわりのガラスに穴が開けられた場合、簡単に外から回されて、窓を開けられてしまう危険性があります。

しかし、ロック付きクレセント錠の場合には、クレセント錠そのものにロック機構がついていて、このロックを外さないと回すことが出来ません。
ですから、外から窓に穴が開けられたとしても、クレセント錠を開ける時間を稼ぐことが出来て、窃盗犯を諦めさせる点で有効なのです。

ロック付きクレセント錠 防犯リフォーム

補助錠

補助錠はサッシの下についている錠です。
これはクレセント錠と離れた位置に設置されているので、窓を攻撃する場合には、中央と下に穴を開けなければなりません。
そのため、開けるだけの工程を2度踏まなければならず、時間を稼ぐことが出来ます。

そして、穴を開ける時間を稼ぐことが出来れば、5分間耐えることも可能となるため、窃盗犯の侵入を阻止することが出来ます。

補助錠 防犯リフォーム

防犯ガラス

防犯ガラスは、ガラスの中に特殊なシートを仕込んだ物です。ガラスを攻撃されて、仮に割れたとしても、内部のシートが破れない構造となっています。
そのため、窓の外から穴を開けてクレセント錠を開けることが出来ず、窃盗犯の侵入を阻止出来ます。

防犯ガラス 防犯リフォーム

面格子

面格子は、窓の外に設置する金属製の格子です。
アルミの物が多く、バールなどで攻撃しても破壊が容易では無く、簡単に人が入られるだけの穴を開けられない様に出来ています。

面格子 防犯リフォーム

シャッター

窓にシャッターを設置するのも効果的です。
窓のシャッターは、それだけで窃盗犯の攻撃に耐えることが可能です。
そのため、窃盗犯に対する威嚇効果も高く、寄せ付けません。
ちなみに、窓シャッターは衝撃にも強く、台風などの強風で物が飛んで来たとしても、窓ガラスを守ります。

シャッター付き窓 防犯リフォーム

内窓

内窓は既存の窓の内側に、更にもう一枚窓を設ける物で、防音や断熱に効果があるだけでなく、防犯性も大きく向上させます。
防犯性は、窓を突破する時間を掛けさせれば、それだけ窃盗犯を諦めさせやすくなるために向上します。

内窓を設置して二重にするならば、窓の突破の時間が長く掛かり、防犯性が上がるのです。
また、内窓は窓の外から見ても張ってあるのが分かりやすく、威嚇効果も期待出来ます。

内窓(インプラス)防犯・湿気対策リフォーム

玄関の防犯

次に玄関部分の防犯について取り上げます。
玄関の防犯も、基本的には窓の防犯と同じで、「5分」攻撃から耐えることが出来れば、防犯性の高いとされます。

防犯錠(ディンプルキー)

窃盗犯の侵入犯罪の手段として、ピッキングが多発していた時代がありました。防犯上(ディンプルキー)は、その様な背景から開発された新しい錠です。
錠の構造が特殊で、ピッキングをしにくくしている点が特徴です。

ディンプルキー 防犯リフォーム

2ロック

2ロックとは、ドア1枚に対して錠を2箇所設置する物です。
窃盗犯はドア錠を2つ突破しなければならないので、それだけ時間を稼ぐことが出来て、防犯性を向上させます。

尚、これも外観から見て2ロックであることを容易に分かります。
それにより、簡単には開かないことを分からせ、窃盗犯を寄せ付けない効果を持たせられます。

補助錠

ドアに錠を新たに設置すると、それだけ突破するのに時間を要すので防犯効果が上がります。
ドア用補助錠も、それを狙った防犯錠と言うことが出来ます。
補助錠には様々なタイプがあり、賃貸物件の様な、ドアに加工が出来ない場合にも対応出来る物もあります。

スマートドア

スマートドアは、設置されている錠をスマートフォンなどでコントロールすることが可能なドアです。
多くの場合には自動施錠の機能が付いていて、錠の閉め忘れなどが無い様に出来ています。
また、タイプによっては、錠のコントロール履歴を残すことも可能で、防犯効果を上げるための多彩な機能をもっています。

スマートドア

自動施錠

自動施錠は電気錠をはじめとする錠に搭載されている機能で、自動的に施錠をしてくれる物です。
錠の閉め忘れ防止に役に立ちます。

着脱式サムターン

ピッキング以外にもドアを破る方法があります。「サムターン回し」も、その代表的な手段の1つです。
具体的には、ドアの錠部分にドリルなどで穴を開け、特殊な工具で鍵の内側(サムターン)を回して開ける方法です。しかし、着脱式サムターンを使えば外から回すことが出来なくなるため、ドアを破れなくなります。

サムターンキー

古い住宅と新しい住宅

窓と玄関の防犯性について見て来ましたが、今挙がった防犯設備は、近年登場した物が多いです。
と言うのも、これらの装置類は、昨今の侵入犯罪の悪質化を背景として開発された経緯があるからです。

それでは、防犯性の観点から、古い住宅と新しい住宅を比較すると、どの様な違いがあるのでしょうか。

古い家は新しい建材を使っているとは限らない

日本の住宅は高性能であり、仮に古い建物であったとしても、長く使用することが可能です。
耐用年数から考えるならば、構造によっては40年を超えても現役で利用出来るのもあるので、非常に素晴らしいと言えるでしょう。

しかし、住宅を防犯性の面から考えるならば、中古住宅よりも新築の方が、断然高性能です。
と言うのも、新しい防犯建材は昨今の侵入犯罪の悪質化を受けての発展でもあるからです。

つまり、中古住宅が建てられた時期においては、この様な防犯建材は開発されていなかった、と言えるからなのです。

防犯リフォームの必要性

この様に、防犯の観点から考えるならば、新築の方が圧倒的に有利となります。
しかし、中古住宅であったとしても、防犯はリフォームでの向上も可能です。
安全な生活と大切な家財を守るために、防犯リフォームが必要であることを覚えたい物です。

尚、防犯リフォームは、他のリフォームと併せて行う方が、より上質な家づくりが可能となります。
また、防犯に詳しいプロの仕事が必要です。実績のある技術レベルの高いリフォーム業者を起用しましょう。

まとめ

窓と玄関の防犯について、防犯に対する考え方から見て来ました。窓やドアの防犯手段がなぜ有効であるかについても分かったことと思います。

また、防犯性能を上げることが、特に中古住宅で必要であることも分かったことと思います。
良い家は、安全性が高いことが大切です。窓や玄関に留意して、より安全な住宅を造りましょう。