Column家づくりの知識

バランス釜の浴室をユニットバスに変えたいときに問題となる点

バランス釜の浴室

家造りを考える上で浴室は重要な位置にあります。入浴は一日の疲れを癒すのに効果的だからです。特に、冬場の寒い時期などは重要性を増すことでしょう。
さて、今の住宅の浴室の主流はユニットバスです。マンションの広告などを見ても、浴室はユニットバスが標準装備されています。ユニットバスは使い勝手が良く、メンテナンスも容易であるなど、メリットも多いです。

ところで、ユニットバスが普及する前の風呂についてご存知でしょうか。その答えの1つに「バランス釜」という浴室があります。
これは比較的古い不動産に設置されていて、まだ現役として使われてはいるのですが、ユニットバスの利便性から、多くのユニットバスへのリフォーム例があります。
それでは、このリフォームには問題は無いのでしょうか。
ここでは、バランス釜からユニットバスへのリフォーム時に発生する問題について、バランス釜の特徴を併せて紹介します。

バランス釜登場の背景

バランス釜は新しい不動産にはあまり着いていません。見かけるのは古い物件が多いです。では、バランス釜はどの様に登場したのでしょうか。

登場した時期

バランス釜の登場した時期は1960年代の半ばです。公団住宅をはじめとした集合住宅を中心に広まりました。この頃は多くの団地の建設時期と重なっています。

今でも使われている

前述の通り、今の不動産を見るならばユニットバスが多いです。バランス釜はやはり少なくなっています。しかし、完全に無くなった訳では無く、今でも使われている物件はあります。

バランス釜の特徴

次に、バランス釜の特徴について紹介します。

バランス釜の構造

バランス釜はガスを使った設備です。ガスで水を加熱して循環させて使用します。
バランス釜には上下の2ヵ所に加熱のための穴が開いており、この部分を経由して加熱されます。
水を温めると比重が軽くなって上がります。その一方で、冷たい水は下に沈みます。そして、冷たい水は更に加熱され上がります。この様に、水を加熱するとまわりながら温かくなります。この現象は「対流」と呼ばれますが、バランス釜は対流を上手に利用した釜と言うことが出来るでしょう。

バランス釜のメリット

バランス釜にもメリットはあります。最大のメリットはガスだけで稼働出来る点です。
今のユニットバスの多くはガスを燃料にしてはいますが、それは基本的には給湯の熱源としてです。しかし、給湯器は熱源のみで動くのでは無く、制御装置が必要となります。そして、今のユニットバスはコンピューターでの制御をしているので、稼働には電気が必要です。ですから、ユニットバスを設置するためには電気を持って来なければなりません。
その点、バランス釜の場合は制御に外部の電源を必要としません。そのため、設置においても電気工事までは必要無くなります。

バランス釜のデメリット

それでは、バランス釜のデメリットにはどの様な点が挙げられるのでしょうか。代表的な物を挙げてみましょう。

・釜が浴室内に設置されるため浴槽が小さくなる
・ガス代が掛かる、冷めやすい
・シャワーが弱い
・掃除がしにくい

まず第1に挙げられるのが、浴槽が小さくなってしまう点です。バランス釜は浴槽とセットで付いています。そのため、釜の入る分浴槽が小さくなり、狭くなります。
第2の点はガス代の掛かる点です。バランス釜はガスで稼働します。当然ながらガス代は掛かってしまいます。

ただし、この問題は浴槽の冷めやすさなども関係して来ると言えます。と言うのも、今のユニットバスの浴槽には冷めにくい工夫がされていて、省エネ性が高まっているからです。しかし、バランス釜は古いまま使われていることもあり、省エネ性が良く無いままで使われています。そのため、ガス代が掛かってしまうのです。
また、第3として、バランス釜はシャワーの給湯が弱いのも欠点です。今のユニットバスと比較すると、シャワーのヘッドも小さく、出るお湯の量も多くはありません。
そして、掃除がしにくいのも難点です。特に、バランス釜の下には床面との隙間が空いていて、この部分が汚れやすいです。しかし、狭い部分のために掃除が難しいのです。

ユニットバスへのリフォームのメリット

この様に、バランス釜は今から考えるとデメリットが目立ちます。そのためにユニットバスへのリフォームが多く行われます。ここではバランス釜からユニットバスに変えることのメリットについて、改めて挙げてみましょう。

美しさが違って来る

これは総じて言えることなのですが、昔の住宅設と今の物を比較してみると、デザイン性も非常に向上しています。グレードにもよりますが、高級感の溢れる素材を使ったり、フォルムなども計算されていたりと、デザインにおいても様々な点で計算されています。
浴室もその通りで、色にしろフォルムにしろ、バランス釜よりも洗練されています。そして、これは入浴時の快適性にもダイレクトに関係します。そのため、浴室をユニットバスに変えることにより、入浴時の気分までが変わって来るのです。

広々とする

バランス釜は浴室内に釜が設置されるため、その分浴槽が狭くなってしまいます。しかし、ユニットバスは浴室内に釜は無いので、その分浴槽が広く取れ、ゆったりと入浴出来ます。
多くの人にとって、入浴は1日の疲労を癒す貴重なひと時ですが、この入浴をゆったりと過ごすことは、家の快適性に直結します。バランス釜からユニットバスに変えれば、入浴時のゆったり感がより良くなり、快適になるのです。

掃除が簡単になる

バランス釜は意外に隙間が多く、掃除が大変です。特に浴槽の下の隙間は掃除がしにくいです。
その点、ユニットバスにはその様な隙間はありませんし、掃除のしやすさに関しても考えられた形になっています。
この様に、バランス釜とユニットバスは掃除のしやすさでも違います。つまり、ユニットバスに変えることにより、掃除が簡単になり、手間も減るのです。

高性能

今のユニットバスは非常に高性能です。
例えば、操作の面においては、ユニットバスの場合は離れた場所からもコントロールが可能です。コントローラーは浴室内だけでなく、キッチンなどの様な離れた部屋にも設置が可能なため、点火のために浴室まで行く必要もありません。
また、浴槽の素材なども研究がされていて、冷めにくい物が開発されています。そのため、追い炊きの回数も減らすことが可能となり、省エネ性が上がり、光熱費も削減されます。
その他にも床面が滑りにくくなっている物や、屋内乾燥に使えるタイプもあります。
これらの機能はバランス釜にはありません。そのため、ユニットバスにリフォームすることにより、それだけ便利になるのです。

リフォーム時に問題となる点

この様に、バランス釜からユニットバスに変えるリフォームは非常に便利になるのでおすすめなのですが、問題が無い訳ではありません。ここでは、ユニットバスに変える上で問題になる点について紹介します。

工事が大掛かり

まず挙げられるのが、工事が大掛かりになる点です。
バランス釜の浴室への設置は、基本的には給気と排気の部分がメインとなります。ですから、撤去はあまり難しくはありません。
しかし、ユニットバスを設置する場合には、浴室そのものを改造しなければならなくなります。
特に、浴室がタイル張りの様な場合、床面を壊すだけで非常な手間が掛かります。そして、状況にもよりますが、ダクトなどの工事も必要です。また、電気工事、給湯器の交換なども必要です。
この様に、バランス釜からユニットバスへのリフォーム工事は、非常に大掛かりになるのです。

費用が高い

バランス釜からユニットバスへのリフォーム工事は大掛かりです。そのため、工事費用が掛かります。ただし、リフォーム工事は工事費用だけが掛かるのではありません。ユニットバスの製品代も多く発生するのです。
ユニットバスの製品代はグレードにもより、85万円程度の物からありますが、工事が大変なので、トータルのリフォーム費用は150万円のレベルにまで上がります。
そして、仮にハイグレードの物を設置するならば、更に価格は上がってしまいます。
そのため、ユニットバスへのリフォームを考える場合には予算をしっかりと考える必要が出るのです。

工期が掛かる

バランス釜からユニットバスへの工事は大掛かりです。そのため、工期が必要となります。
そのため、その期間の間は銭湯などに行く必要が出て来ます。毎日の銭湯通いは大変で、費用も多く掛かってしまいます。

投資用物件の場合

ところで、バランス釜からユニットバスへの交換は自宅だけの問題ではありません。例えば不動産投資をしている場合などは、バランス釜からユニットバスへの変更が必要となる場合が出て来るのです。
特に、不動産投資の場合は利回りの点で有利のため、中古の物件が狙われます。そして、古い不動産の場合はバランス釜設置の確率も高くなるため、その対処をどうするかが問題となるのです。
では、投資用物件の場合には、バランス釜からユニットバスへの変更はどの様な意味を持つのでしょうか。

客付け力ではユニットバスが有利

ユニットバスは利便性、デザイン性の点でバランス釜よりもメリットがあります。そのため、物件がユニットバスである方が入居希望者には魅力的に映り、契約まで漕ぎつけ易くなります。
また、生活が快適であれば退去リスクも減ることでしょう。
この様に、ユニットバスの方が客付け力もアップし、空室リスクも減ります。利回り確保のためには、このメリットは大きいです。

リフォーム費用が高いので注意する

この様に、ユニットバスへの変更は大きなメリットがあるのですが、注意点もあります。リフォーム費用が高くなるのが問題なのです。
リフォーム費用が高額になると、それだけ投資費用が膨らんでしまい、利回りが落ちてしまいます。ですから、リフォームの際には機種選定や予算管理に注意をしなければならないのです。

まとめ

バランス釜からユニットバスへの変更について考えてみました。メリットが多い一方で、コストなどの注意点があることが分かったことと思います。
そうは言っても、ユニットバスへの変更は住み心地の向上に大きく関係します。より良い家造りのために、おすすめのリフォームと言えるでしょう。

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