マイホームの取得は簡単ではありません。多くの費用が掛かり、その費用のために長年働かなければならないのが現実です。そのため、少しでも良好な生活空間が求められる必要があります。
室内の内装もその通りで、直接的に生活と接するため、少しでも良い物が求められます。それはデザインであったり、コストであったり、素材であったりと、いくつかの項目が挙げられることでしょう。
しかし、室内の内装材…特に壁紙においては、別の観点から考えることが可能です。
それが「機能」となります。
壁紙の機能は現代のテクノロジーの生んだ物と言うことが可能で、それは多岐に及びます。そして、それを知ることは、良い家を造る上で有用な知識にもなります。
そこで、ここでは壁紙に持たせている機能を取り上げて解説して行きたいと思います。
室内環境を改めて考えてみると
壁紙の機能について取り上げる前に、居室内の普段の状況について確認して行きたいと思います。
空気はきれいな訳では無い
まず挙げられる点は「空気はきれいな訳では無い」という点です。
室内の空気を考えてみると、様々な汚染物質を挙げることが出来ます。例えば、タバコの煙などもあるでしょうし、屋外から持ち込まれた汚れた空気、空気中を浮遊する細菌などの微生物、アレルゲン物質など様々です。
これらは生活している人の健康状態を害したり、不快な物にします。ですから、生活空間を良好にするためには、これらの物質に対して、何等かの作用を室内の素材に持たせる必要があるのです。
壁は汚れやすい
壁は汚れやすい環境にあります。
原因はいくつかありますが、まず挙げられるのが手垢などによる物や、空気中の汚染物質によるもの、或いは食べ物などによる汚れなどもあるでしょう。
いずれにしても、壁が汚れると、せっかくの室内の雰囲気が害されてしまいます。ですから、汚れに対しても何等かの作用のある物が望ましいと言えるのです。
壁はキズつきやすい
壁はキズつきやすい環境にもあります。
例えば、室内にペットを飼っているとキズ付けられることが多々あります。また、子供のイタズラなどもあることでしょう。いずれにせよ、壁にキズが付いてしまうと、せっかくのきれいな室内の雰囲気が落ちてしまいます。ですから、キズに対しても効果を持たせるのが有効と言えるのです。
機能性壁紙とは
次に、機能性壁紙のアウトラインについて取り上げたいと思います。機能性壁紙の一般的な物との違い、あるいは効果には、どの様な物があるのでしょうか。
一般的な壁紙との違い
まず、一般的な壁紙について思い出してみましょう。
壁紙には様々な種類があります。ビニールクロス、布クロス、紙クロス…等々。実に多彩です。
しかし、これらの壁紙は基本的には「機能性」と呼ばれるだけの機能はほとんど無く、「室内の雰囲気作り」が主な物となってしまいます。
その点、機能性壁紙は完全に異なります。
機能性壁紙の機能を挙げてみるならば、キズや汚れがつきにくかったり、消臭効果のある物、抗菌の物など様々です。そして、それらの機能は生活環境を改善します。
生活環境を改善する
前述の通り、一般の壁紙の効果は室内の雰囲気作りまででした。しかし、機能性壁紙は、その効果で生活環境を改善します。その例についていくつか取り上げてみると、空気環境であったり、メンテナンスの手間を減らしたりと、様々です。
例えば、空気環境を考えるならば、消臭などは嫌なニオイを軽減させます。これによって室内の生活環境が変わります。と言うのも、芳香剤などの出番が減って、余計な化学物質の放散を減らすことが出来るからです。
また、メンテナンスの手間が少なく出来るのであれば、掃除なども容易になり、必要な頻度も減ることでしょう。これは室内管理の手間を減らすことに繋がります。
いずれの効果も、生活環境を改善する要因です。そのため、そこに住む人は、より良い居住空間に居ることが可能となります。
機能性壁紙の種類と効果
それでは、機能性壁紙の種類と効果について主な物を取り上げてみましょう。
キズつきにくい
先にも挙げた様に、壁はキズつきやすい環境にあります。そして、一旦キズが付いてしまうと、美観を損ねてしまい、せっかくの雰囲気も台無しにしてしまう物です。
そこで登場するのがキズつきにくい壁紙です。
これは壁紙の表面に特殊な加工を施して、表面の強度をアップさせています。その結果、何かで引っ掻いたとしてもキズの入ることが減り、美観を損ねる事態に陥ることも少なくなります。また、壁に何かが衝突した時にも、キズが入ることがあるのですが、この事態も回避することが可能となります。
さて、この効果は、特にペットを飼育している人におすすめの機能と言えるでしょう。と言うのも、ペットの教育は難しいからです。
汚れが付きにくい
これも先に挙げたことですが、壁は汚れが付きやすいです。それは食べ物をこぼしたりする過失による物だけではありません。手垢などの様に、避けられない物もあります。
その点で、汚れが付きにくい壁紙は有効と言えます。
この壁紙は、表面に特殊なフィルムを張り付けてある物で、そのフィルムによって汚れから壁を保護します。
汚れは様々であり、一般の壁紙のメンテナンス性を考えるならば、一旦汚れが付いてしまうと簡単には落とせません。汚れを落とすのは大変ですし、それこそ張り換えなども検討しなければならなくなるでしょう。
しかし、このタイプであれば、その様な心配も減ります。汚れは落ちやすくなり、一般の壁紙よりも長い期間きれいなままで保持することが可能だからです。
消臭
ニオイの元となるのは空気中を浮遊する微粒子が原因で、これが鼻に入るとニオイとして感じられます。そして、この原因物質は炭素をベースとする有機物である場合が多いです。
さて、消臭壁紙は、この空気中に浮遊する原因物質を吸着して分解します。有機物は炭素をベースとした物質なので、水と二酸化炭素などに分解が可能なのです。そして、分解された水や二酸化炭素はニオイがありません。つまり、ニオイの物質がニオイの無い物質に変えられ、消臭効果が発揮されるのです。
尚、この壁紙はトイレなどに向いています。
抗菌
これは表面に抗菌剤を添加して抗菌効果を持たせた壁紙です。抗菌剤には、細菌を破壊したり、増えるのを阻害する機能があります。そして、この抗菌剤は大腸菌をはじめとする、有害な細菌に対して効果を発揮します。
この壁紙は食品を多く扱う場所、例えばキッチン向けと言えるでしょう。また、最近の住宅はLDKが中心になっているケースが多くなっていますし、中古住宅のリノベーションでもLDKを造る例が増えています。LDK全体に張ればより良い空間にすることが可能です。
抗ウィルス
ウィルスの表面を観察すると、それがタンパク質で出来ていることが分かります。そのため、ウィルスのたんぱく質を攻撃することが可能であれば、ウィルスの不活性化の可能となります。
さて、抗ウィルス壁紙の表面には、ウィルスの持つタンパク質を変質させる成分が添加してあります。そのため、この壁紙の表面にウィルスが付着するとウィルス表面が変質してしまい、不活性になるのです。
この効果は居室内のウィルス対策に効果的です。例えば赤ちゃんの居る空間に使えば、より健康的な部屋にすることが出来ます。
抗アレルゲン
アレルギーは現代病として数えられ、様々な厄介な症状を発生させます。そして、この症状に悩む人は非常に多いです。この原因は花粉やダニなどです。
さて、壁紙には抗アレルゲン機能を持たせたタイプがあります。この壁紙は表面に特殊なシートが張られていて、アレルゲン物質を不活性にします。
アレルギー物質はアトピーや喘息原因ともなるので、特に小さい子供やお年寄りの居るスペースに使うのがおすすめです。
調湿
調湿、つまり湿度を調整する機能は、意外な程に居住性に関係しています。
例えば、湿度が高過ぎる場合には、カビなどが繁殖しやすい環境となってしまいます。また、逆に湿度が低すぎる場合には、ウィルスが増えやすくなってしまいます。
さて、調湿壁紙は湿度を調整することが可能です。これは壁紙は水分を吸収・放出可能な特殊なポリマーが添加してあるからです。このポリマーは余計な水分がある時…つまり湿度が高すぎる時には、ポリマーが水分を吸い込みます。また、湿度が低い時には、中に持っていた水分を空気中に放散し、湿度を上げます。
湿度は快適性にも影響します。ジメジメも嫌な物ですし、カラカラな空気も肌がガサガサになったりする物です。ですから、例えばこの壁紙をリビングなどに使うのであれば、そこでの居心地を更に良くすることが可能です。
省エネ性アップ
省エネと聞くと、光熱費の削減に効果的であることを思い出します。しかし、省エネの効果はそれだけではありません。例えば環境問題対策など、大きな規模の問題にも効果が期待出来るのです。…確かに1軒の持つ効果は非常に小さい物でしょう。しかし、それが街全体で成功するならば、発電所の稼働を抑えることにも繫がり、化石燃料の使用量も減らすことが出来るのです。
さて、壁紙には表面に特殊なコーティングを施し、光を反射させやすくしてある物があります。そして、これを使うならば、仮に照明器の光を弱くしたとしても、室内は十分に明るくさせることが可能となります。
最近のLED照明には、昔の蛍光灯を使ったシーリングライトと違い、明るさを調整出来るタイプが増えています。そして、この機能を活用するならば、光を10%弱くしたり、15%低くしたりも可能です。そして、これがエネルギー量の削減につなり、家計的にも環境的にも良い効果をもたらすのです。
まとめ
機能性壁紙について取り上げましたが、それが非常に多彩な機能を持ち、しかも居住空間をより良くする上で効果的であることが分かったことと思います。
冒頭にも取り上げた様に、これらの機能は、より良い家造りに非常に有効です。ぜひ機能を活用し、より良い居住空間を造りましょう。