アレルギーについて
日本はアレルギー大国と言われるほど戦後アレルギーの方が多くなりました。現在では日本人口の3分の1が何らかのアレルギー持ちだと言われています。このアレルギーが多くなった原因は二つあると言われており一つは戦後生活環境があまりにも清潔になりすぎて雑菌やバクテリアなどからの免疫力が低下したことがあげられます。もう一つは科学技術が急速に発展し、人体に対する副作用も充分に検討しないままで世の中に化学物質が出回ったことが原因とされています。今回はそんなアレルギーと住宅の関係を解説していきます。
アレルギーの種類
アレルギーの種類はどんなものがあるでしょうか。最もメジャーなアレルギーは花粉症でしょう。その他穀物アレルギー、甲殻類アレルギー、その他の食物アレルギーや自然に吹く風やエアコンの温度差などのアレルギー、ペットアレルギーなど様々なアレルギーが存在します。中でも一番厄介なのが安全なはずの家の中でアレルギー症状が発生することです。せっかくの新築で安全なはずなのになぜアレルギーとして色々な症状が発生するのでしょうか。住宅によるアレルギーの症状を確認していきましょう。
頭痛
家に帰ると頭痛がするというケースがあります。当初「風邪かな」と考えますが数日経っても治らず病院でも原因が分からない事があります。その内症状として家に帰り家の臭いを嗅ぐと側頭部から後頭部にかけて痛みを覚え耐えられなくなります。しかし、家を出て数時間すると頭痛が治るというケースは住宅の中で人体がアレルギー物質反応しているからと言えます。
鼻炎
鼻炎の場合はやはり家に帰ると鼻づまりやくしゃみ、鼻水等が止まらなくなり風邪だと思い寝ようとするが一向に症状が治まらず鼻の皮がむけてきたりくしゃみのし過ぎで横隔膜が筋肉痛を起こしたりします。この場合も家を出て数時間経つと嘘のように症状がピタッとなくなる事があります。こちらも住宅内のアレルギー物質が原因となっていると言えます。
皮膚炎
家に帰りくつろいでいるといつの間にか手や足などを掻いている場合があります。その内全身に痒みが広がり皮膚がただれたりします。水などで洗っても一時的に回復しますがしばらくすると直ぐに痒みが再発します。とりあえず就寝しても次の日にはさらに悪化しているケースがあります。
喘息
一番怖いのがアレルギー喘息と言っても過言ではないでしょう。喘息の場合は呼吸が苦しくなり「ゼーゼー」という音と共に呼吸器官が狭くなり通常の呼吸ができず呼吸困難となり場合によっては数十分から数時間で呼吸停止になる可能性があります。この場合挿管という形で喉に管を入れる必要がありますが早くしないと心臓停止にまで至ってしまう可能性が多くあります。
住宅のシックハウス症候群
そもそも住宅が原因でおきるアレルギーとはどのような物質が影響しているのでしょうか。これは住宅に使用している接着剤などの化学物質が原因でアレルギーを引き起こしているのです。平成15年に法改正でシックハウス対策という事で接着剤などのホルムアルデヒドの制限やクロルピリホスの使用禁止及び住宅内の24時間換気という法律が施工されましたが現在でも多少ホルムアルデヒドは発生しています。よくこの住宅は「F☆☆☆☆」だから安心安全と説明したりしていますがこの「F☆☆☆☆」はホルムアルデヒドの制限をクリアしているだけでゼロではありません。人の体質によって敏感な人は「F☆☆☆☆」住宅でもアレルギーを発生してしまいシックハウス症候群となってしまうのです。
自然素材のメリット
住宅には色々な化学物質を使用しています。この化学物質を自然素材に替える事で嘘のようにアレルギー反応は好転します。住宅の自然素材も色々ありますが接着剤なども自然素材などがあります。この自然素材によって得られるものとしては住宅の見た目の質感、デザイン性、空気の良さ、自然な木の香り、そして何よりも健康が得られるのです。シックハウス症候群やアレルギーで悩んでいる方は新築、リフォームなどにおいて自然素材を検討することは家族の安全を考える上で非常に大事な事と言えるでしょう。
住宅で使える自然素材
住宅で使用できる自然素材とは何でしょうか。これは色々とあります。建築の為の柱を自然乾燥材の無垢にするとこれで自然素材となります。しかし、現在残念ながら構造的な柱などはコストの面から接着剤を使用した集成材という材木が住宅にメインで使用されています。ただ集成材も「F☆☆☆☆」製品がほとんどですし部屋内にむき出しで使用することは少ないので比較的安心と言えます。住宅で使用したい自然素材場所と言えば部屋の内部になると言えるでしょう。
床材・建具
代表的な住宅の自然素材の場所としてはフローリングなどの床材とドアなどの建具です。無垢材にも色々とありますが代表的なものとしてはスギ・ヒノキ・カバ桜(バーチ)・ナラ(オーク)・メープル(カエデの木)などの種類があります。その他にもパイン材などもありますが実際に選ぶ際には各建材メーカーのショールームを見学して選ぶ事をおすすめします。種類によって香や質感、色などが変わってきます。一番相性の良さそうな物を選んでください。
壁紙
壁紙は一般的にビニールクロスが多いでしょう。しかし、ビニールクロスは化学物質を発生したり揮発性有機化合物(VOC)の接着剤などを使用します。そこで自然素材として注目されているのが珪藻土や漆喰などの粘土製の土です。これらの物は純粋な自然素材になりますので接着剤など使用せずに工事できますし塗り方次第で色々な質感が得られます。また吸湿性に優れており湿気から部屋を守ってくれます。アレルギーの方には非常におすすめの自然素材と言えるでしょう。
断熱材
最近注目されているのが新聞紙や古紙などを利用したセルロースファイバーと言われる断熱材です。素材が紙なので純粋に自然素材と言えますし、エコにも貢献できます。従来の断熱材はグラスウールやロックウールなどの化学繊維物質が多く使用されていましたがやはりこちらもホルムアルデヒドなどのアレルギー物質はゼロではありません。アレルギーに敏感な方は検討しても良いと思います。
外壁材
建物の内部ではありませんが外壁を昔ながらの漆喰を使用する方も大勢います。漆喰の特徴としては二酸化炭素や化学物質を吸着させる働きがありメンテナンス次第では100年の耐久性があると言われています。デザインや色も豊富にありますので一般的なサイディング等を避けたい方にはおすすめの施工方法と言えます。
自然素材の注意点
住宅に使用する自然素材は良い点が多いですが注意する点もあります。それは施工に手間や時間がかかる為にコストが上がり易い傾向にあります。コストが上がる分充分に資金計画にも注意して建築計画やリフォーム計画をすすめましょう。また、吸湿性に優れている素材は湿気を貯めやすいので換気にも注意することが大事なこととも言えます。換気性能を無視するとカビの温床となりアレルギーが発生する可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。アレルギーと住宅の自然素材について解説してきましたが最近の建築業界の技術は日進月歩で新しい材料や自然素材が日々開発されています。住宅が原因でアレルギーに悩んでいる方は是非自然素材を色々と検討してみてください。また、検討する前におすすめなのが自分達家族はどんなアレルギーがあるのかを病院などで検査して把握しておくのも良いと言えるでしょう。快適な自然素材住宅ライフを送ってください。