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家づくりの知識

これだけあったドアの性能!強度から耐環境性能まで一挙公開

住宅に設置する部材・部品はあらゆる角度から研究と開発が進められていて、まさにテクノロジーの結晶と言うことが出来ます。住宅の建材のカタログを見ても、時として驚く様な記事を見つけることも多いです。例えば宇宙開発から応用した塗料なども出回っています。実に驚くべきと言えます。

さて、それでは、なぜこの様な性能を持たせなければならないのでしょうか。これは、住宅が心地良い生活空間でなければならないからです。住宅部品は過酷な環境に長期間耐えなければなりませんし、使い勝手を落としてもならないからです。

例えば、ここで取り上げるドアの場合など、老朽化したからと言っても簡単に破壊してしまう物では非常にマズいです。また、開閉に支障が出るのも良くありません。

そのため、住宅部品には規格があり、一定以上の品質が保たれる様に出来ています。

それでは、具体的にはどの様な規格があるのでしょうか。

ここでは、住宅などに使われるドアについて、どの様な性能があるのかを紹介したいと思います。

ドアの規格

工業製品には様々な性能があると言えます。それは強度であったり耐久性であったり、あるいは環境に関する性能であるかも知れません。

しかし、その様な様々な性能があったとしても、規格化されていなかったら比較が出来ませんし、どれくらいの性能を持っているかもハッキリとは分かりません。

そのため、工業製品には製品の性能について規格が定められています。代表的なのはJIS(日本産業規格)です。

<h3>住宅部品の性能とJIS規格(日本産業規格)</h3>

住宅部品のメーカーは様々ありますが、製品の性能がバラバラでは比較が出来ないですし、どれが良いのかが分かりにくいです。そのため、住宅部品にはJIS(日本産業規格)があり、性能のベースとしています。

例えば、ドアの場合だと、JISには「ドアセット」という規格があり、性能について整理してあり、それぞれの要求水準を規定しています。

また、ドアを構成する部材や部品に関しても、素材単位にJIS規格が制定されてあり、安定した性能が出せる様に作ってあります。

各社の持つ製品規格

住宅部品のメーカーには、JIS以外にも規格を持っていることがあります。多くの場合にはJISよりも厳しい規格を独自に設けていて、他社との差別化などに使われています。

例えば、後述しますが、ドアのJIS上での開閉繰り返しは10万回となっていますが、製品によっては20万回を謳っている物もあります。

強度に関する性能

建物は屋外から様々な外力を受けます。例えば台風が来た場合には風圧力が掛かりますし、風で物が飛んできてぶつかるならば、ぶつかった物で衝撃を受けます。そして、ドアはそれらの外力を受けたとしても、簡単に壊れてはいけません。

そのため、ドアにおいても発生が考えられる外力に対しての規準が設けられています。

尚、これらの性能は主に試験を通して性能が確認されます。

ねじり強さ

ドアはスムーズに開閉されなくてはならず、外力によって簡単に変形してはいけません。そして、仮にドアがねじれてしまうと、閉めた時に上手く閉まらないこともあり得ます。そのためドアには「ねじり強さ」に関しての規定があります。

具体的な性能としては、ドアを枠に設置した状態でドアに一定の「ねじる力」が加わった場合においても、ドアに破壊や有害な変形が発生しないこと、そして開閉に支障が無いことを規定しています。

尚、この性能は試験を通しての確認がメインとなります。試験の方法としては、ドアをドア枠に設置した上で、ドアの一方に力を加え、もう一方の歪みがどれくらいであるかを測定して判定します。

鉛直荷重強さ

ドアは単なる平板の様に思えるかも知れませんが、金属をベースとしていることも多く、結構な重量物です。そして、ケースにもよりますが、上から強い外力が掛かる場合もあります。そのため、ドアは鉛直方向からの荷重に関しても、強度を持たなければいけません。そのため、ドアには鉛直荷重強さの規格があります。

ドアの鉛直荷重強さも試験によって判定されます。具体的には、ドアの上から力を掛け、それによる変形が有害かどうか、そして開閉に支障が無いかどうかを確認します。

耐衝撃性

ドアには時として、物がぶつかることがあります。それは台風などで風に飛ばされた物であるかも知れませんし、子供が走って来る場合かも知れません。そして、ドアはその様な衝撃を受けたとしても破壊してはならず、開閉に支障があっていは行けないのです。

そこで規格化されたのは耐衝撃性です。

具体的な性能確認方法としては、ドアに砂袋を実際に衝突させた場合の状態によって判断します。

耐風圧性

台風は自然災害の中でもトップクラスの危険性を持つと言っても過言ではありません。特に近年は非常に大きな台風に襲われて、多くの家屋が著しい被害を受けました。

ところで、住宅に風圧力が掛かるのであれば、ドアにも同様に風圧力が掛かります。そのため、ドアには耐風圧の強度性能が規定されていて、強度基準が定まっています。

具体的には、ドアの強度は7段階の強度区分があり、地域の風の状況によって使い分けられます。

尚、強度の確認はドアに実際に気圧を掛けて、破損の有無やどの様な変形が見られるかについて確認がされます。

操作に関する性能

ドアは手で開閉させて使う物です。そのため、開閉に支障を来すとドアとしての役割を果たさなくなってしまいます。そのため、ドアは操作に関しても性能が規定されています。

操作力

ドアを扱う人は大人だけでなく、小さい子供もお年寄りもいます。運動能力の落ちてしまった人もいるので、スムーズに開閉しなければなりません。そのため、ドアには操作力の規定があります。

規定の中身としては、約5kgの重りを使ってドアを引っ張り、支障無く開閉が出来ることとなっています。

開閉繰返し

ドアは長期に渡って使われる物です。しかも、1日に何回も開閉しなければなりませんので、耐久性が非常に大切になります。そのため、ドアの開閉繰り返しの耐久回数は規格化されています。

JISにおける開閉耐久回数は10万回の開閉操作をしても、支障なく操作が可能なこと、と定められています。

因みに、ドアの開閉繰り返しに関しては、10万回以上の耐久回数をセールスポイントにしている商品もあります。例えば、製品によっては20万回の耐久回数で大丈夫である製品もあり、目的や用途によって使い分けられる様になっています。

面内変形追随性

ドアは非常時にも開閉しなければなりません。例えば地震が発生して建物にダメージがあった場合にも支障無く操作が出来なくてはならないのです。

さて、ドアには面内変形追随性という性能があります。これは建物に異常が起こり、仮にドア枠が変形した場合にでも安全に脱出可能かどうか、という性能項目です。

例えば、大きな地震が発生して建物そのものに異常があった場合には、ドア枠が変形してドアの開閉に支障が出るケースがあります。しかし、この性能が十分にあれば、地震でドア枠が変形したとしても、中にいる人はスムーズな避難が可能となるのです。

尚、この性能は具体的には、通常は長方形のドア枠を平行四辺形に歪ませて、それでもドアの開閉が出来るかについて試験をして確認します。

住環境確保に関する性能

次に住環境確保に関する性能について取り上げます。

ドアは出入り口としての役目もありますが、屋外と居室内を隔てる役割もあります。そのため、屋外の環境の影響を抑え無ければなりません。そのため、様々な性能の規格があります。

気密性

まず挙げられるのが気密性です。

ドアの気密性が十分に無いと、夏場は隙間から暖気が入り込むことがありますし、冬には隙間から寒くなってしまいます。また、音に関してもドアの隙間は大きく関係しています。気密性が良くなると音の漏れが小さくなるからです。

ドアの気密性の判定は、ドアの内外に気圧差を発生させ、どれくらい空気が漏れるかを測定して判定します。

尚、気密性は4つの等級に性能で分けられて、ドアの目的などによって使い分けられます。

水密性

次に挙げられるのが水密性です。これは単に水を掛けて漏れるかどうかの判定では無く、水を掛けながら変則的な風圧力を掛けた場合をシミュレートして判断します。

と言うのも、ドアの水密性が問題になる代表的な場面は台風の様な暴風雨の時だからです。台風が襲って来た時、ドアの隙間からの水の侵入があり得ますが、どれだけ漏れるかで水密性は判定されます。

尚、水密性に関しては性能において5つの等級に分けられていて、用途に応じて使い分けられます。

遮音性

ドアの遮音性は意外に大切です。と言うのも、ドアの遮音性が無い場合には、屋外の騒音が室内に入って来ますし、玄関での会話が外に聞こえてしまうからです。室内を静かに保つために、そしてプライバシー保護のために、ドアの遮音性は重要なのです。

ドアの遮音性は、高い音から低い音までの、音の漏れ方を測定して判定します。

尚、遮音性に関しては4段階の等級付けがされていて、ドアの用途によって使い分けられます。

断熱性

建材の断熱性は重要な要素と言えます。仮に断熱性が確保されていない場合には、冬の寒さは室内に容赦無く入って来ますし、夏場の暑さの影響も受けてしまうからです。

そのため、住宅には壁に断熱材を入れて室内の環境を守るのですが、ドアにおいても断熱性を持たせて、室内の温度環境を守ります。

さて、ドアの断熱性ですが、どれくらいの熱の量をドアが逃がしてしまうかを測定して性能を判定します。

性能は6つの等級に分けられて、目的毎に使い分けられます。

まとめ

ドアの性能の規格を見て来ましたが、実に様々な角度から性能チェックがされていることが分かったことと思います。そして、ドアを通して室内環境が守られていることもイメージ出来たことと思います。

住宅は様々なテクノロジーを駆使して作られていますが、ドアにおいても同じことが言えます。そして、これだけの確認がされていますので、安心して生活できることを覚えて欲しく思います。