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【必読】打ち放しコンクリートのメンテナンスについて

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打ち放しコンクリートは、コンクリートの表面に塗装などを施さず、型枠を外した状態のままコンクリートの地肌が出ているものを言います。
打ち放しコンクリートの住宅は、重厚な質感やデザイン性があり、オシャレな建築が多いことで人気があります。

一方、打ち放しコンクリートは素材の性質上、雨だれによる染みやカビなどによる経年劣化が出てきてしまいます。

また、打ち放しコンクリートの外壁は装飾が少なくシンプルなデザインのものが多いため、ひび割れや雨染みなどが目立ちやすいといったデメリットもあります。

そのため、美しさを維持するためには、定期的なメンテナンスが必要になってきます。

この記事では、打ち放しコンクリートのメンテナンス方法や頻度などについて解説していきます。

打ち放しコンクリートのメンテナンスが必要な理由

一般的に鉄筋コンクリートの表面の仕上げは、型枠にコンクリートを打設して型枠を外し、塗装やタイル・石材などで表面を覆い仕上げます。

打ち放しコンクリートは、「表面仕上げ」というコンクリートを保護する層がない為、風雨などによって経年劣化の進行が比較的早くなります。

また、デザインとしてシンプルなものが多いため、ひび割れや雨染みが目立ちやすいといったデメリットもあります。

そのため、打ち放しコンクリート表面に対する塗装などによるメンテナンスが必要になってきます。

定期的にメンテナンスを行うことで、長く美しい外観を保つことができるのです。

■主な劣化症状

①ひび割れ

劣化症状の代表的な例は、ひび割れです。
要因としては、一般的に多いのは「乾燥収縮ひび割れ」です。
乾燥収縮ひび割れは、ひび割れに雨水が浸透して雨染みになると美観が損な割れてしまいます。

②カビ

打ち放しコンクリートは、「表面仕上げ」というコンクリートを保護する層が無い為、日当たりが悪い場所や風通しの悪い場所では、コンクリート表面が乾燥しにくくカビが繁殖しやすくなってしまいます。
また、コンクリートが建物が古くなることで中性化し、ph(ペーハー)が下がりアルカリ性が弱くなると、カビが生えやすい状態になります。

③経年劣化による表面の荒れ

打ち放しコンクリートは、表面仕上げをしていない分、長い期間風雨にさらされていると、外部からの衝撃により欠けや傷が付きやすくなります。
さらにコンクリートは、長期的に外気に触れていると、空気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応して「炭酸化」という現象が起こり、アルカリ性が弱まるため、中性化が進んでしまいます。
そして、鉄筋コンクリートの中性化が進むと、内部の鉄筋が錆びて膨張し、その影響によりコンクリート表面にひび割れが発生してしまいます。

その状態が悪化すると、コンクリート表面のはく離やはく落といったダメージの大きい症状に繋がる可能性があります。

打ち放しコンクリートのメンテナンス方法

打ち放しコンクリートのメンテナンス方法には、以下のようなものがあります。

■撥水剤の再塗装

汚れや劣化が少ない場合は、「撥水剤」を再塗装するだけのシンプルな塗装で良いでしょう。

撥水剤はコンクリート内部に水が浸透するのを防ぎ寿命を延ばすことができる上に、汚れをつきにくくする効果があります。

この工法は、表面の汚れを高圧洗浄で除去した後、撥水剤を再び塗装するというやり方です。

工程が非常に少ないため、メンテナンスの費用は比較的安くなります。

しかし、撥水剤は透明な液体のため、下地の色の違いや下地補修を行った箇所などを隠す効果はないので、下地の状態がそのまま表面に表れてしまうといったデメリットもあります。

■カラークリヤー塗装

打ち放しコンクリートは、コンクリートを打設したときの状態がそのまま表面に出てくるため、ムラや不均一な部分が出てきてしまいます。

そのようなケースには再塗装では、カラークリヤー塗装をすると良いでしょう。

カラークリヤー塗装とは、表面の汚れを高圧洗浄で除去した後、撥水剤を塗布し、その上から表面を保護するための「クリヤー」を塗装する方法です。

カラークリヤー塗装は、色ムラ部分のタッチアップ補修をしてくれるので、打ち放しコンクリートの色調を整えてくれます。

一方、経年劣化によるコンクリート表面の荒れなどは隠すことはできないといったデメリットもあります。

また、補修箇所などを目立たなくしたい場合は、数回に渡りカラークリヤを塗り重ねる必要があります。

しかし、補修箇所を目立たなくするために塗り重ねる回数を増やすほど、コンクリート本来の素材感が損なわれてしまうため、通常の塗装のような仕上がりになってしまいます。

コスト的には、撥水剤の塗装と比較すると少々割高にはなりますが、コンクリートの表面に新たに保護層を設けることができます。

また、カラークリヤー塗料には、アクリルシリコン系またはフッ素系があります。

アクリル系は12年程度、フッ素系は15年程度と、フッ素系のほうが耐久性に優れていますが、価格は高くなります。

■打放しコンクリート風の塗装

全体的にコンクリートの状態が劣化していたり、汚れがひどい場合には、打ち放しコンクリート風の塗装を施します。これをアート処理と呼びます。

打ち放しコンクリート風の塗装は、表面の汚れを高圧洗浄で除去した後、撥水剤を塗布し、表面が荒れた状態を全面的に補修した後にクリヤーを塗装する方法です。

特殊な道具を用いてコンクリート風の模様を描く(アート処理)ため、下地の状態に左右されることなく、均等な打ち放しコンクリートの風合いを再現することができるといったメリットがあります。

他の工法に比べると作業工程が非常に増えるため、コストは掛かりますが、最も綺麗に打ち放しコンクリートの表面を再現することが可能です。

打ち放しコンクリートのメンテナンス頻度

打ち放しコンクリートの塗り替え時期の目安は、塗料にもよりますが、一般的には6〜7年程度といわれています。

また、仮にクリヤー塗料を使う場合でも、耐用年数が短いものから長いものまであるため、塗装業者と相談しながら決めることがおすすめです。

主な耐用年数は、アクリル系<ウレタン系<シリコン系<フッ素系の順に長くなり、一般的には、アクリル系が5~8年、フッ素系では12~15年ほど持つといわれています。

打ち放しコンクリートのメンテナンス費用

打ち放しコンクリートのメンテナンス費用については、作業工程や使う塗料、施工面積によって上下します。
補修方法は様々ですが、打ち放しコンクリートの塗装は、全体的に5〜10年に1度の周期でリフォーム会社に見てもらうことをおすすめします。
劣化の状態などを見極めながら、定期的に塗装の計画を立てることが大切です。

■撥水剤を使用した工法

撥水剤は防水性を高め、雨染みなどを防ぐ効果があります。
無色透明のため、コンクリートの質感をそのまま残すことができるといったメリットがありますが、耐久性がやや低く塗り替えの周期が早くなるといったデメリットもあります。

・メンテナンス費用:1,000〜2,000円/㎡
・メンテナンス周期:2〜7年

■カラークリヤー工法

「カラーニス」とも呼ばれている透明な塗料に着色剤を混ぜた物です。
仕上がりが美しく、コンクリートの劣化原因である「中性化」を防止します。
また、コンクリート内に使用している鉄筋の錆びを防ぐ効果もあります。

・メンテナンス費用:2,000〜4,000円/㎡
・メンテナンス周期:5〜15年

■再現工法(G-PF工法)

塗装技術によって、打ち放しコンクリートの質感を再現します。
光触媒コーティングやフッ素系塗料と組み合わせたりすることで、保護力を更に高めることもできます。
ただし、高い技術が必要なので、施工できる業者が限られてしまいます。

・メンテナンス費用:4,500〜6,500円/㎡
・メンテナンス周期:10〜20年

まとめ

打ち放しコンクリート住宅は、劣化の損傷が目立ちやすいため、コンクリートの状態をよく観察し、劣化に沿った下地補修でカバーすることが大切です。

そして、メンテナンス時期をあらかじめ考慮した塗装を選ぶことで、定期的なメンテナンスをすることができます。
長期的に美しい外観を保ち続けたいとお考えの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。