「縁の下の力持ち」ということわざは、「目立たないところで重要な役割を果たす」という意味ですが、住宅において、まさにこの言葉が当てはまるのが「基礎」です。
普段、私たちが新築住宅を見る際に、基礎が目に入ることはほとんどありません。住宅展示場や内覧会などでも見えないため、意識することも少ないかもしれません。
しかし、建物の安全と耐久性を考える上で、基礎は極めて重要な部分です。この記事では、地震に強い家づくりに欠かせない基礎の役割から種類(べた基礎、布基礎、ブロック基礎)、基礎工事、リフォーム時の注意点、費用まで、基礎に関するあらゆる情報を分かりやすく解説します。
基礎の重要な役割とは?知っておきたい基礎知識
基礎の具体的な役割について、改めて確認しましょう。
- 建物の安定性を確保(耐震性・耐久性)
基礎の最も重要な役割は、「建物を安定させる」ことです。柱や梁で頑丈に組まれた建物も、強固な基礎があって初めてその性能を発揮し、耐震性・耐久性を確保できます。
基礎が脆弱だと、建物自体の強度も損なわれてしまいます。例えば、基礎が弱いと建物が傾いたり、最悪の場合は破損する可能性もあります。床が傾けば、日常生活にも支障が出てしまいます。
強固な基礎は建物を安定させ、沈下を防ぎます(不同沈下対策)。その結果、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持することにも繋がります。長期優良住宅の認定にも基礎の強度は関わってきます。
- 地震や台風から建物を守る(耐震・制震)
基礎は、「地震や台風などの自然災害から建物を守る」という重要な役割も担っています。地震対策として耐震構造はもちろん、制震構造の建物でも、基礎の強度が重要です。
基礎には、主に2つの働きがあります。
- 建物の沈下を防ぐ: 建物の重さ(荷重)や外部からの力(地震の揺れ、風圧など)を地面に分散し、沈み込みを防ぎます。
- 建物の浮き上がりを防ぐ: 基礎自体の重量で、建物を地面に固定し、浮き上がりを抑えます。(台風などの強風で「てこの原理」のように働く力が生じ、建物が浮き上がろうとするのを防ぎます。)
地震や台風が発生しても、強固な基礎があれば、建物の沈下や浮き上がりを防ぎ、被害を最小限に抑えることができるのです。
基礎の種類 – 特徴と選び方(べた基礎・布基礎・ブロック基礎)
住宅の基礎には、主に「べた基礎」と「布基礎」の2種類があります。また、布基礎の一種として「ブロック基礎(重量ブロック基礎)」も存在します。それぞれの特徴を見ていきましょう。
- べた基礎(耐震性◎、コスト△)
べた基礎は、建物の床下全体に鉄筋を配し、コンクリートを流し込んで一体化させた基礎です。
特徴:
- 床下全体がコンクリートで覆われているため、建物の重さや地震などの力を分散し、高い耐震性を実現します。(耐震等級の高い家づくりに貢献)
- 基礎自体の重量が増すため、強風による浮き上がりにも強くなります。
- 地面からの湿気やシロアリの侵入を防ぐ効果も期待できます。(防湿対策)
注意点:
- コンクリートの使用量が増えるため、布基礎に比べて費用(基礎工事費用)が高くなる傾向があります。
現在、新築住宅の多くは、このべた基礎を採用しています。**
- 布基礎(コスト◎、防湿対策は必須)布基礎は、柱や壁の下など、建物の主要な構造部分に沿って、逆T字型の鉄筋コンクリートを連続して配置する基礎です。 特徴:
- べた基礎と比較し、コンクリートの使用量が少なく済むため、費用(基礎工事費用)を抑えられます。 注意点:
- 床下は地面が露出した状態になるため、防湿シートを敷くなどの防湿対策、また、シロアリ対策を講じないと湿気による問題が出ることがあります。
- ブロック基礎(重量ブロック基礎)(簡易的、耐震性は△)
ブロック基礎(重量ブロック基礎)は、布基礎の一種で、コンクリートブロックを積み重ねて基礎を形成する方法です。
特徴:
- 比較的簡易な工事で施工できるため、工期が短く、費用も抑えられます。
注意点:
- 鉄筋コンクリート製の基礎に比べて強度が劣るため、耐震性や耐久性を考慮する必要があります。
- ブロックの隙間から湿気やシロアリが侵入しやすいため、適切な対策が必要です。
- 建築基準法上の制限がある場合もあります。
【基礎選びのポイント】
基礎を選ぶ際には、以下の点を考慮しましょう。
- 地盤の状況(地盤調査の結果、地盤改良の必要性)
- 建物の構造(木造、鉄骨造、RC造など)
- 耐震性の要件(耐震等級など)
- 予算(基礎工事費用)
- 工期

布基礎
布基礎とは地面に板状に建てた基礎を指します。
配置は住宅の外周部分や、間仕切り部分の下となります。
べた基礎と違って、家の床下全面がコンクリート敷きでは無いのが特徴です。


重量ブロック基礎
重量ブロック基礎は、布基礎を重量コンクリートブロックで造った基礎です。
今では使われてはおらず、築40~50年クラスの物件で見られます。
今の例としては、住宅では無く、物置やサンルームなどの小規模な建物で見ることが出来ます。

最新の住宅基礎:構造、種類、リフォームの重要性
住宅の基礎は、耐震性や耐風圧を確保する上で非常に重要な役割を果たします。ここでは、現代の住宅における基礎の構造、種類、そしてリフォームの必要性について解説します。
1. 地耐力に応じた基礎設計の重要性
基礎は地震による被害を最小限に抑えるため、耐震性に大きく関わっています。日本の木造住宅では、建築基準法によって「地耐力に応じた基礎構造とする」ことが義務付けられています。そのため、基礎を決定する前に地盤調査が実施され、その結果に基づいて最適な基礎が選定されます。
特に都市部では、狭小地における3階建て住宅が増加しています。これらの建物は、敷地面積が限られている一方で建物重量が大きいため、一般的に「べた基礎」が採用されます。これにより、縦長の建物でも地震や台風に対して高い強度を確保できます。
2. べた基礎と布基礎:どちらを選ぶべきか?
基礎には主に「べた基礎」と「布基礎」の2種類があり、それぞれに特徴があります。都心部で住宅を建てる場合、耐震性やシロアリ対策の観点から、べた基礎が推奨されます。
- べた基礎のメリット
- 建物の床下全面にコンクリートを敷き詰め、鉄筋を配することで、高い耐震性を実現します。
- 地盤のひずみ(長方形が平行四辺形に変形するような現象)が起こりにくく、建物へのダメージを軽減します。
- 地面からのシロアリの侵入を大幅に抑制し、被害の早期発見を容易にします。
- 布基礎の課題
- 地盤が弱い場合、基礎の配置にズレが生じ、建物にひずみが発生する可能性があります。
- 基礎の内側からシロアリが侵入するリスクがあり、被害の発見が遅れることがあります。
3. 基礎リフォームの必要性とポイント
築年数が古い住宅では、現在の耐震基準を満たしていない場合があります。このような場合、基礎のリフォームが必要となることがあります。
- 基礎補強の目的
- 古い建物の多くは布基礎であるため、床下に鉄筋を配置し、コンクリートを打設することで、べた基礎と同等の強度を確保します。
- 基礎自体のひずみを抑制し、建物の安全性を向上させます。
- シロアリ対策としての基礎リフォーム
- 床下全面をコンクリートで覆うことで、シロアリの侵入経路を遮断し、被害を未然に防ぎます。
- シロアリ被害は建物の強度を著しく低下させるため、早期の対策が重要です。
4. 基礎リフォームを成功させるために
基礎リフォームは目に見えない部分の工事であるため、信頼できる業者選びと事前の知識習得が不可欠です。
- 信頼できる業者の選び方
- 詳細な見積書を作成し、施工条件やデメリットまで丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
- 価格だけでなく、業者の評判や口コミ情報も参考にしましょう。
- 価格だけで業者を選ばない
- 極端に安い価格を提示する業者には注意が必要です。
- 複数の業者から見積もりを取り、価格帯を把握した上で業者を選定しましょう。
- 事前の勉強で知識を深める
- 施工の流れや内容を理解しておくことで、業者との打ち合わせがスムーズに進み、適切な質問ができるようになります。
- 基礎に関する知識を深めることで、工事の品質チェックも可能になります。
まとめ
住宅の基礎は、建物の安全性と耐久性を左右する非常に重要な要素です。特に中古住宅を購入する際は、コストメリットを活かしつつ、基礎の状態を確認し、必要に応じてリフォームを検討することが大切です。基礎に関する知識を深め、適切な対策を講じることで、より安全で快適な住まいを実現しましょう。
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