マンションの高層階は展望が良く、目覚めも非常に気分が良いです。ベランダから見える街並みは「絶景」という言葉に要約されることでしょう。しかし、高層階はそれだけに不便な点もあります。例えば取得コストを考えてみれば、高層になるほど高額になり、手が届きにくくなります。
ところで、マンションは高層階では無く、「敢えて1階を選ぶ」という買い方もあります。もしかしたら、マンションの1階部分には魅力を感じない、という人も多いかも知れませんが、実は1階部分はデメリットだけではありません。
そこで、ここではマンション1階に住む場合のメリットを、デメリットと併せて紹介したいと思います。
マンション1階の特徴
まずはマンションの「建物としての1階の特徴」について迫ってみたいと思います。
マンションは規模にもよりますが、大きな物件になると上の階と1階は様相が違います。マンションの生活を考える上では、ビル建築の下知識があった方が有利な場合もあるので、ここで再確認してみましょう。
1階にはエントランスがある
マンションの1階にはエントランスがあります。そして、マンションへの出入りは基本的にエントランスを通らなければなりません。
さて、エントランスが近いと得られるメリットもあります。例えば、荷物を自室まで運びやすい点などです。自分で持ち帰った荷物だけでなく、宅配ボックスに入った荷物を運ぶ時にも便利です。
尚、エントランスから離れたフロアの場合、荷物を自分の部屋まで運び込むのが大変になります。特に重い物の場合は不便です。
エレベーター無しでも出入りしやすい
マンションにはエレベーターが欠かせません。特に上の階の人にとってはエレベーターは重要になるでしょう。1階に行くのには基本的にはエレベーターを経由するからです。
しかし、1階であればエレベーターを経由せずに外に出ることが可能です。ですから、自室から外まで行くのが非常に容易と言えます。
価格が抑えられる
マンションの価格は高層階になるほど高額です。これは上の階の方が展望が良いなどのメリットがあり、しかも人気があることなどが理由です。その点、1階の場合はその様なメリットは薄れてしまいます。
しかし、その分1階の場合は価格が抑えられます。
1階の部屋のメリット
それでは、マンションの1階の部屋での生活にはどの様なメリットがあるのでしょうか。代表的な点について取り上げてみます。
外に出やすい
まず挙げられるのが「外に出やすい」点です。
これは、先に挙げたエントランスが近いからだけの理由ではありません。非常口からも1階は出やすいからです。
ですから、例えば、朝の出勤や通学などの場合には有利です。朝などはエレベーターもラッシュとなりやすいのですが、1階ではその様な事態はありません。
また、仮に停電などでエレベーターが止まった場合にも、1階であれば外出にはあまり困りません。
尚、この様に1階の場合はエレベーターとは関係無しに外出することが可能ですが、これは上の階の生活に比べて大きなメリットとしてカウント出来ます。
例えば、朝の通勤時にエレベーターが混んでいると、なかなか外に出ることが簡単では無くなり、場合によっては電車を逃してしまうこともあり得るからです。しかし、1階であればエレベーター経由では無いので、その様な混雑に巻き込まれることはありません。
専用庭や専用駐車場付き物件もある
物件にもよりますが、1階に専用庭や駐車場が付いているケースもあります。このメリットは大きいです。
専用庭を考える場合、活用の方法がベランダよりも広がります。例えばガーデニングをする際、ベランダの場合は避難の都合から植栽はあまり置けませんが、専用庭の場合はその規制が小さくなり、可能な装飾も増えます。
また、専用駐車場の存在も大きいです。特に都市部では駐車スペースの確保には苦労する物です。ですから、専用の駐車場があることは、その分付加価値が高いとも言えるのです。
ごみ捨てが楽
ごみ捨てが楽なのも1階の部屋のメリットです。
ごみの問題は意外に大きな物で、出しやすさは生活の利便性に直結します。物件にもよりますが、その都度ごみ置き場にごみを運ぶのは結構な労働です。
下の階を気にせず生活出来る
マンションは下の階に騒音が伝わる場合があります。大きな物を床に落とした場合だけでなく、小さな物を落とした時も響く場合もあります。また、生活排水を流す時にも音が伝わる場合があります。
その点、1階の場合には下の階が無いので、騒音の伝わりを気にする必要はありません。
災害時の避難に有利
先にも挙げた様に、1階は外に出やすいメリットがあります。
さて、ここで火災などの災害発生について考えてみましょう。避難のしやすさを考えるならば、1階の方がはるかに便利です。
と言うのも、災害が発生した場合にはエレベーターが止まってしまいますし、避難階段も混む可能性があります。また、ベランダからの避難も意外に手間取ります。
しかし、1階であればダイレクトに外に通じます。決定的に有利となるのです。
バリアフリー化に便利
物件にもよりますが、バリアフリー化を考えると1階の方が便利な場合もあります。
特に差が付くのは、車いすを使った人住む場合、しかもリノベーションでバリアフリー化を検討する時です。と言うのも、マンションのリノベーションは専有部分に限定されるので、バリアフリー化の改造も専有部分のみとなります。
そして、マンションのエレベーターは全部が車いすに優しいという訳ではありません。やはり使いにくケースもあるのです。
その点、1階であればエレベーターを経由せずにバリアフリー化された自室に行けるので、利便性は高いと言えます。
1階の部屋のデメリット
次に、1階の部屋のデメリットについて取り上げてみましょう。
日当たりが良く無い
まず挙げられるのが、日当たりが良く無い点です。特に、周囲に高い建物がある場合や、背の高い植栽が植えられている場合には不利になります。
湿気が多い
また、湿気が多いのも難点です。
湿気は日当たりの状況によっても違って来るのですが、1階の場合は肝心の日当たりが良くありません。そのために湿気が多くなってしまうのです。
また、土地の条件によっては、地面から湿気が上がる場合もあります。そして、日当たりが悪いと、その湿気も逃げなくなり、溜まってしまうのです。
展望が良く無い
マンションは高層階は展望が非常に良いのですが、低層部分はその様には行きません。特に1階の場合は良く無いです。
また、先にも挙げた様に、1階の周囲には高い植栽が植えられている場合もあります。当然ながら、その様な場合はベランダからは植栽しか見えません。
プライバシー保護の上で不利
マンションの1階の場合、外から中が見えやすくなる場合があります。その場合、プライバシー保護の点で不利です。
特に、1階のベランダが隣地境界からあまり離れていない場合には、ベランダが見えてしまうケースが増えてしまいます。
虫が入りやすい
虫が入りやすいのも困った点です。
蚊などは飛べる高さがある程度決まっていて、高い場所までは飛べません。確かに人といっしょにエレベーターに乗って来ることはありますが、数としてはそれほど多くはありません。
しかし、1階であればベランダから入って来てしまいます。特に水たまりなどが出来やすい場所は虫が発生しやすく、良く無いです。
防犯の面で不利
マンションの防犯を考えると、1階は上の階よりも良くはありません。と言うのも、ベランダからの侵入リスクが高くなるからです。
窃盗犯のはじめとする侵入犯罪は窓を破るケースが多いです。マンション1階は窓が手に届く位置にもあるので、それだけ安全性に欠いてしまうのです。
1階の部屋に向く人
ここで、マンション1階の生活にはどんな人が合うかを考えてみましょう。
基本的には前述のメリットに合致する人になるのですが、具体的にはどの様な人となるのでしょうか。
価格を抑えて購入したい人
まず挙げられるが購入金額を抑えたい人です。
先にも挙げた様に、マンション高層階になれば価格を上げ、下の階になると価格が下がります。ですから1階であれば高層部分よりも取得コストが抑えられるのです。
ちなみに、物件にもよりますが、価格の差は数百万円以上にもなり得ます。この金額の差は非常に大きいです。
外出をスムーズにしたい人
マンションの1階はエレベーターが無いので外出がスムーズです。ですから、外出が簡単に出来る人にはおすすめです。
高層階のマンションの場合、出勤だけでなく、日常の買い物にも外出のしにくさは影響し得ます。例えば、「ちょっとコンビニまで」と言う場合にも、1階であれば簡単に行けますが、上の階の場合はそうは行きません。
子供のいる世帯
先にも挙げましたが、上の階と違い、1階であれば下の階を気にする必要はありません。ですから、子供のいる世帯に向いています。
特に小さい子供は室内を走り回り、その音が意外に響きます。そしてその騒音はしばしばトラブルにも発展します。
しかし、その様なリスクが無くなるのなら、子供を室内で安心して遊ばせられるのです。
お年寄りの居る世帯
お年寄りの居る世帯にも1階はおすすめです。と言うのも、1階はバリアフリーに向いているからです。
車いすを考えると、マンションの公共部分は不親切の場合も意外にある物です。エレベーター、階段、いずれも車いすを使う人などには、望ましくはありません。
しかし、1階であれば、そもそも階段やエレベーターを使う機会がグッと減るので、生活が一層安全になります。
まとめ
マンションの1階部分について考えてみました。マンションの1階であっても、意外な点がメリットとなることが把握出来たことと思います。
マンションは確かに高層部分が魅力的ですが、特にバリアフリーの様な点までが1階に利点があるならば、敢えて1階を選ぶのも良案です。マンションの購入においては、あらゆる角度からの検討が必要になりますが、ぜひ1階についても考えに入れておきましょう。もしかしたら、更に良いプランニングが出来るかも知れません。