古民家物件の価値が再確認され始め、古民家として、自分で住んだり、賃貸に出したりと色々な活用がなされています。
古民家が注目され始めた背景にインバウンド需要の増加が挙げられます。
外国人観光客が増え、日本古来の建物に住みたいとの要望から、古民家物件を旅館や民泊物件へと活用する方法です。
また、都会から地方への移住を希望する人も多く、田舎の古民家を住みやすいようにリフォームして居住する人も増えています。
実際に古民家を利用することによるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
また、実際に古民家は購入した方が良いのでしょうか?
古民家について解説していきましょう。
古民家ってどんな建物?
そもそも、古民家とはどのような建物のことを指すのでしょうか?
実は古民家には、明確な定義はありません。
目安としては50年以上建築された建物のことを指すのですが、50年以上でも西洋風の建物もあるので一概には定義づけできないのです。
そこで、一般社団法人古民家再生協会が定義づけしている昭和25年の建築基準法の制定時には既に建てられている家屋で「伝統的建造物の住宅」という基準をひとつの目安としています。
伝統的建造物の住宅とは伝統構法が用いられた建物のことです。
現在の住宅は、西洋建築学の影響を受けた建物が建てられています。
伝統構法は、西洋建築学以前に日本古来の工法で建てられた建物を指します。
木材をふんだんに使用し、木と木を組み合わせることでできていることが特徴です。
古民家を購入するメリット
築年数が古く、伝統工法を用いた和風の建物である古民家ですが、古民家を購入するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここからは古民家を購入することによるメリットを紹介していきましょう。
間取りが広く一部屋が広い
古民家は間取りが広い点が特徴として挙げられます。
昔は、大家族でひとつの家に住むのが普通だったので、間取りが広い古民家が多いのです。
しかも昔の造りは、一部屋一部屋が現在の間取りと比較しても広く造られている物件のほうが多く、非常にゆったりとした生活を楽しむことができます。
居間が非常に広い建物などは、古民家風のカフェとして経営されているなど、古民家の広いという特徴を生かして、さまざまな運用がされています。
古い物件のため安い
安く購入できる点も古民家のメリットとして挙げられます。
中古の住宅を購入する際に、土地の価格と建物の価格を合算した金額で不動産を購入します。
古民家物件があるような土地は、多くは、市街地から少し離れている、いわゆる田舎の物件が多いですね。
すると、土地の価格も安い物件が多く、さらに建物の価格にもメリットがあります。
古くなればなるほど、建物の資産価値は下がります。
20年程度経過している物件は、ほとんど資産価値はありません。
つまり建物分の費用は掛からないということになります。
土地の価格は安く、建物の価格はほとんど0なので、古民家物件は安く購入できるのです。
夏場は涼しい
夏場が非常に涼しい点も古民家の特徴です。
古民家は、昔の人の知恵とも思える暑さ対策がとられている建物が見受けられます。
暑さの中で一番厄介なのが陽射しですよね。
古民家には陽射しに対応するつくりをしているものがあります。
茅葺屋根は熱の侵入を防ぐ大きな役割を果たしています。
そして長いひさしや、すだれなどを利用して窓から入る陽射しも防いでいるのです。
また、木造建築は風の通りもよいので、風が入りやすく夏場は快適に生活しやすいといえます。
固定資産税が安い
固定資産税が安いこともメリットとして挙げられます。
古民家は、築年数が古いので建物の価値が低くなっていると評価されます。
固定資産税は、固定資産税評価額の1.4%です。
しかし、この固定資産税評価額には築年数に応じた減額を行っています。
経年減価補正といわれるものです。
築年数が古ければ古いほど減額されて一番の減額幅で0.2まで下がります。
築25年以上古い物件は、0.2まで減額されるため、古民家と呼ばれるものはほぼすべてが0.2でしょう。
材質が強い
古民家に使われる材質は非常に強度が強いものが多いです。
とうのも樹齢が長い木材を使っているものが多いためといわれます。
現在、建築されている住宅は、古民家といわれる築年数まではとても持たないといわれますが、それは、材質の違いによるところが非常に大きいのです。
それだけ古民家には樹齢が長く、太い材質の木材が使われています。
非常に耐久性が高く、年世代にわたっても使用できるように建築されているので、古民家の材質は非常に強いのです。
古民家を購入するデメリット
このように、古民家を購入するにあたりたくさんのメリットがあります。
しかし、反面にあるデメリットもしっかりと考慮して購入を決めなければいけないでしょう。
ここからは、購入したときに生じるデメリットをメリットと同じ数の5点ほど紹介していきます。
耐震性の心配
日本は地震の多い国で、近年でもいくつかの大地震を経験しています。
そのため住宅にも耐震の建物であることを求められます。
日本では1981年に旧耐震基準が改正され、現在の耐震基準になりました。
しかし、当然ながら古民家の建物は、旧耐震のときに建てられているので、現在の新耐震基準を満たしていない物件が多いのです。
そのため、万が一に起こる大地震のときに、新耐震基準で建てられた住宅よりも耐震性は劣ります。
もしかすると倒壊というリスクまで考えておかなければいけません。
古民家の場合は耐震性に対して不安があるといえるでしょう。
木造なので火災が怖い
古民家物件は、伝統構法で建てられているため、ほとんどの材質が木材でできています。
そのため、火災には非常に弱い点がデメリットといえるでしょう。
古民家と呼ばれる家は、一般的に部屋が広い物件が多いため、火事に気付いたときには既にかなりの部分に延焼しているケースも考えられます。
更に、屋根が茅葺屋根などを使用していると、火事になった場合は燃えやすいので、ほぼ全焼してしまうリスクを負います。
古民家購入のときには住宅用火災報知機の設置など火災に対する備えをしっかりと行わなければいけないでしょう。
冬場は寒い
メリットにおいて、夏が涼しいということを述べましたが、夏場は涼しくなる古民家の特徴が冬にはデメリットとなってしまいます。
古民家には断熱に関した対応がありません。
風が入りやすいつくりということは、部屋内を温かくしても密閉性が弱いので外から冷たい風が入ってきます。
そのために、冬場は寒くなってしまう点がデメリットとして挙げられるのです。
虫が多い
古民家には虫が多いという点も見逃せません。
古民家には基本的に網戸がついていない物件が多いです。
しかも古民家は田舎に多いことから、虫が入ってきやすいという難点があります。
加えて注意しなければいけないポイントが白アリです。
古民家は木造が多いためシロアリが好む傾向にあります。
しかも、築年数が古いので、今では当たり前となっている防蟻処理という蟻が近寄らないような処理もなされていません
田舎にある虫の多さやシロアリの恐れも考えられるデメリットです。
防犯面が不安
古民家は防犯面でも不安があります。
近年は防犯面に特化した住宅も増えています。
モニター付きのインターホンやホームセキュリティを導入している住宅など、防犯面を非常に重視しています。
しかし古民家においては、窓が多く、出入りが比較的入りやすいことから防犯面に不安が残ります。
しかも、周りには住宅が密集しておらず、比較的ゆったりとした生活することを目的として古民家に住んでいる人が多い人には大きなメリットです。
しかし、防犯の観点から見てみると、リスクが高いといえます。
古民家は購入した方がいいのか?
ここまでは古民家におけるメリットやデメリットを5点ずつ説明しました。
結局のところ古民家は購入した方がいいのでしょうか。
一概にはどちらも言い難いといえます。
それぞれの、古民家を購入するさいに感じるメリットやデメリットに対してどの点に重きを置くのかについて全く異なるからです。
例えば、どうしても虫が苦手だという人には、古民家は難しいでしょうし、逆に、安くて、広い物件を探している人には最適かもしれません。
では、どのような人が古民家を購入するとメリットを感じるのでしょうか?
主にあげると以下のような人たちが挙げられます。
- 田舎で趣のある生活がしたい人
- ゆったりとのんびりした生活をしたい人
- こまめに働くことができる人
このような人であれば古民家を購入して居住するのを大きなメリットと感じるでしょう。
田舎暮らしで趣のある生活にはまさしく日本古来の古民家での生活が最適です。
また、田舎に多い古民家は、都会と比べあわただしさを感じにくくゆったりとした時間の流れを感じることができるでしょう。
しかし、実は古民家での生活は、色々と動かなければいけないことが多いのです。
部屋の掃除も部屋が多い分、大変です。
また、古民家ですので、あちこちが痛んでいる場合もあり、そのたびに必要な、こまめなメンテナンスを苦としない、まめに働くことができる人にはおススメといえるでしょう。
自分が古民家に住むにあたり、メリットを十分に受けることができてデメリットを苦としないかどうかをしっかりと理解しておく必要があります。
まとめ
古民家は日本古来の伝統構法でつくられた純和風の住居です。
最近は、色々な活用により、価値が再認識されています。
しかし、メリットもあればデメリットもあるので、しっかりと自分なりのメリットやデメリットを理解して購入を検討しましょう。
古民家は、田舎で趣のある生活をしたい人やのんびりした時間の流れを感じながら生活をしたい人には非常におすすめできる住まいです。
この記事が、古民家の購入に対する参考になれば幸いです。