2017年の九州北部豪雨、2018年の広島、岡山を中心とした豪雨被害、そして2019年は関東地方を襲った台風被害(台風15号、台風19号)など大きな被害をもたらしました。
たくさんの家屋が床上浸水の被害にあっています。
床上浸水してしまうと床や床下の木材に大きなダメージを与えてしまいます。
はたして、床上浸水で被害を負ってしまった建物はリフォームした方がいいのでしょうか。
それとも建て替えした方がいいのでしょうか。
詳しく解説していきます。
まさか、私の実家の話をすることになるとは思いませんでしたが・・・
1.床上浸水の定義
床上浸水はその名の通り、床の上まで水が浸水することを指します。
浸水深で0.5m以上の浸水で、かつ床上まで浸水した場合に床上浸水と呼びます。
床上浸水の被害額は床下浸水の約7倍前後になると言われております。
2.床上浸水時の戸建はどうなるか
床上浸水した場合に被害
床上浸水は建物に大きなダメージを与えてしまうのですが、特に木造住宅の被害が鉄筋よりも大きいといえます。
木材が長時間水につかってしまうと、その後、乾いてしまっても内部の水分が完全に乾燥してしまうのに時間がかかりカビが発生する原因となるのです。
特に台所やお風呂など、その後に水を使う場所は、完全に乾ききらない状況が続きます。
カビが発生してしまうと、ゴキブリやネズミといった害虫が発生する原因にもなるのです。
害虫が発生してしまう点は大きなデメリットとなるでしょう。
乾いた木材の二次被害
次に木材が乾いてしまっても影響が出てしまう点について述べてみましょう。
木材は一旦水分を含んだ場合、乾いていく過程において、木材が変形してしまうことが多くあります。
つまり、床を支えている木材が変形して、床がデコボコになってしまったり、襖やドアが変形してしまって開閉ができなくなってしまったりとさまざまな影響が出てしまいます。
基本的に、家が水につかるという想定はされていませんので、水につかってしまうと以前の生活まで戻すのには大きな費用と時間がかかってしまうことが考えられます。
3.床上浸水時にやらなければいけないこと
床上浸水が起こった家、水が引いてしまってやることはなんでしょう。
保険の確認や役所へ行って罹災証明の発行などを行いましょう。
今後、発生する被害復旧の金額に対して保険で対応できるのとできないのでは大きく異なります。
火災保険に入っていると、多くの場合は床上浸水被害に対応できる保険が多いので、保険の範囲や出る金額などについて調査しておきましょう。
多くの床上浸水被害は、近隣も多くの被害を起こしています。
すぐに手配しても他にも多くの世帯が依頼していることも考えられるので、数日後の訪問ということもよくあります。
どちらにしてもすばやく手配をすることが大切です。
4.床上浸水の実例
東京都八王子市で床上浸水50㎝被害にあった事例
この話は、私の実家で起こった実話です。今も復旧工事中です。
八王子市は南浅川や多摩川などいくつかの川があり、台風や豪雨などによって川が氾濫してしまい床上浸水などを起こしてしまうケースが考えられます。
八王子市で50㎝の床上浸水が発生した事例について検証してみましょう。
豪雨によって成人男性のひざの上あたりまで、浸水してしまったのですが、まず水が引いて一番に感じるのが強烈な悪臭です。
下水も氾濫しており、下水や汚水も溢れてしまっているのでとても不衛生で、病原菌が発生してしまう可能性も考えられます。
水が引いてしまうと先にやることは消毒です。
地方自治体が無料でおこなうケースが多いので浸水地域には担当者が巡回して作業を行います。
その後、荷物の撤去や罹災証明の発行などおこないますが、多くの家屋が被害にあっており、復旧作業に時間を要します。
最終的に、私の実家は復旧まで2か月はかかる予定ですが、リフォームで修理を行うことが出来そうです。
実際、リフォームで行うことは以下の3つです。
・水に浸かったものを処分する
(くつや、カーペット、たたみ、たくさんのものを処分しなければなりません。処分費用ってこんなに高いのか!と改めて気が付きます。八王子市民ならゴミはごみ袋に入れればもっていってくれますが、業者に依頼すると、八王子市民でもごみ代がかかります。なんとごみの処分費用が40万円でした。)
・汚泥を掻き出して水洗いをする
(きれいな水で洗わないといけません。水害の後なのに、家の中に水をかけないといけません。そうしないと洗えないからです。なんだか、やるせない気持ちになります。)
・ひたすら乾かす
(水が引いたら、薬剤を散布し、業務用の扇風機などで乾かします。実際、これが一番時間がかかります。生臭い匂いが充満しています。)
そのあとは、解体作業です。ある程度解体されると、匂いが取れてくるのが感じられます。
5.リフォームと建て替えのどちらが良いか
床上浸水が起こった場合、あなたの不安は、その後、以前のように生活できるのかという点ではないでしょうか。
床上浸水したからといって必ずしも建物が使えなくなるというわけではありません。
まずは加入している保険でどこまでの対応ができるのかといった点を確認しておかなければいけません。
(人によっては水災は保険適用されない方がおります。ご自分の火災保険の内容をご確認ください。)
その上で、復旧にどれだけの費用がかかるかをきちんと確認してからでも建て替えにするかリフォームにするのかを判断しても遅くはありません。
人によってですが、仮に水災で火災保険が下りたとしても建て替えができるくらいまで下りるかどうかはわかりません。
基本的には傷み具合にもよりますがリフォームを前提として考えることをおすすめします。
住居の土台部分はコンクリートでつくられているものがほとんどなので、浸水後も十分利用できる状態であることが多いからです。
そうはいっても、床や床を支えている木材は新しくしなければなりません。
私の実家の場合は、約600万円の保険が認定されました。
金額についてはご加入の火災保険によります。
建て替えとリフォームでは金額に大きな開きがあります。
火災保険を使うのでほとんどの方が金銭的な自己負担はないはずです。
予算の許す限りたくさんの項目のリフォームを行うことをお勧めいたします。
十分リフォームで対応できる場合が多いのが、床上浸水被害にあった家の特徴だともいえます。
ちなみに、私の両親は何をしているかと申しますと、今週は北海道、来週は愛媛だそうです。工事中家にいても何もできないし、家は住める状態ではないし、工事は息子がやってくれるからと、のんびり温泉とおいしいものを食べに行っています。
意外とあっけらかんとしていて、のん気な両親でよかったのかもしれません。
今回の工事で、床やクロス、クッションフロアーは勿論、キッチンも新しくなるので、両親はむしろ喜んでおります。
鉄骨の家ではなく木造の家でよかったのかもしれません。
私も両親のように前向きに考えることにしました。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。