Column家づくりの知識

加湿のし過ぎは実は危険?あなたの家の対策は万全ですか?

冬になると空気が乾燥し、身の回りの様々な状況が変わります。
例を挙げれば、ドアなどで静電気が起きやすくなったりする困った現象が起きてしまったり、洗濯物も乾きやすくなったりもする嬉しい現象も発生します。

ところで、空気の乾燥は時として様々な弊害を生みます。
例えば、空気が乾燥すると肌がガサガサになったりしますし、指先はひび割れなども起こり得ます。

この様に、空気の乾燥は不快な環境をも作るのです。
そこで行われるのが加湿です。
しかし、加湿は闇雲に行われるべきではありません。仮に加湿をし過ぎると。実は危険な面が出て来てしまいます。
それでは、加湿の危険な理由には、どの様な物があるのでしょうか。

加湿の有効性について

加湿の危険性について解説する前に、加湿の有効性について復習してみましょう。

健康維持

まず挙げられるのが健康の維持です。湿度が適正に保たれていない場合、状況が悪いと健康被害を受けることにも繫がり得ます。
後述しますが、湿度はカビやダニの発生と深く関係があり、それによる害があり得るからです。
また、湿気が適正でない場合には、不快指数のアップにもなり、心理的にも良くありません。

当然ながら、メンタル面の状況が悪化すれば、身体の調子も崩れかねません。

指先のひびやあかぎれの緩和

空気が乾燥すると、手がガサガサする人も多いことと思います。
そして、人によっては指先のひびやあかぎれに悩むこともあるでしょう。
さて、これらの現象は湿度を上げれば状態を緩和させることが可能です。
空気の状態を適正にすることによって、対処することが出来るのです。

ひびやあかぎれは痛い物ですが、加湿によって、この痛みを抑えることが出来ます。
この痛みに悩む人にとって、加湿は大きな意味を持つと言えるでしょう。

暖房効果を上げる

意外かも知れませんが、気温が同じ状態であっても、湿度が異なると体感温度が変わります。
湿度が低いと寒く感じ、反対に高いと温かく感じるのです。

さて、冬場は空気が乾燥し、しかも気温が低いので寒く感じるのですが、湿度を上げれば体感温度が上がり、寒さが緩和されます。気温が変わらなくても寒さが弱まるのです。

このことは、暖房を強くしなくても加湿をすれば、温かくすることが出来ることを意味します。
そして、これは省エネの効果、光熱費の削減にまで繋がります。

加湿し過ぎが危険な理由

この様に、加湿には良い効果が多くあります。
しかし、冒頭にも述べた様に、加湿もし過ぎでは良く無く、むしろ「危険」とさえ言えます。
それでは、加湿のし過ぎが良くない原因には、どの様な物があるのでしょうか。

カビの繁殖

まず挙げられるのがカビの繁殖です。
カビは湿度が高くなると活発になり、繁殖力が強くなります。
その結果、様々なところにカビが生えることとなります。
カビは至るところで活発になります。
それも、室内だけでなく、天井裏や壁の内部といった手の届かない部分まで侵されるので、非常に厄介な問題と言えます。

また、カビは空気中に胞子を撒き散らします。
そして、カビの胞子はアレルギーの原因ともなります。

当然ながら、アレルゲンの多い家では健康的な生活は難しいです。
加湿のし過ぎはカビの繁殖にダイレクトに繋がります。
湿度を管理せず、闇雲に加湿するとカビの繁殖条件を整えることとなり、住環境を悪くしてしまうのです。

ダニの害

次に挙げられるのがダニの害です。
ダニはアレルゲン物質を撒き散らすので、住む人の健康状態を損なうこともあり得ます。
ダニの繁殖する家では、快適な生活が難しくなるのです。

そして、ダニは高温多湿を好むので、仮に加湿をし過ぎると生育条件を整えてしまい、繁殖してしまいます。その結果、アレルゲン物質が撒き散らされたりして、家の快適性が損なわれてしまうのです。

加湿のし過ぎはダニの好む環境を作ります。
ダニの問題に関しても、加湿のし過ぎは良く無いのです。

結露の発生によって家が傷む

湿度が高くなり過ぎると結露のリスクが高くなります。
そうすると、発生した水滴が家の様々な部分を痛めてしまいます。

例えば、木部材の場合、結露は腐食を招き得ます。
木部材に木を腐食させる微生物が付き、そこに結露水が付くと微生物を活発にしてしまい、木を腐らせてしまうのです。

そして、木が腐食してしまうと、部材の強度まで落ちてしまいます。
そうすると、家を構成する各部分が弱くなってしまい、家の強度まで落としかねないのです。

当然ながら、その様な状態を放置するならば、住宅の基本性能である耐震性や耐風圧力なども低下してしまいます。
そして、地震や台風などに襲われた時、倒壊などのリスクが上がってしまうのです。

湿度についての知識

ここで、湿度に関係する知識をいくつか挙げてみましょう。

最適な湿度

まず知っておきたいのが「快適な湿度がどれくらいか」という点です。
この答えですが…快適な湿度は40~60%とされています。

ただし、この湿度は体感では、どのくらいのレベルであるかは分かりません。
ですから、湿度計などを使ってチェックすることが重要となります。

湿度が低すぎる場合、湿度が高すぎる場合

次に、湿度が低すぎる場合と高すぎる場合を挙げてみましょう。
まず低すぎる場合ですが、インフルエンザなどのウィルスが活性化し、健康被害を受けるリスクが上がります。

また、先にも述べた様に、指先のひびやあかぎれが起こりやすくなります。
逆に湿度が高いと、カビやダニの発育条件に近づいてしまい、住環境を悪化させてしまいます。
この様に、湿度は低すぎても高すぎてもいけません。適正に保たれなければならないのです。

加湿する暖房機と加湿しない暖房機

ところで、暖房機に「加湿する物」と「加湿しない物」があるのはご存知でしょうか。
実は、石油やガスなどを燃焼させる暖房機は水を発生し、エアコンなどの電気エネルギーを使う物は加湿しないのです。
なぜでしょうか。

まず石油やガスの暖房ですが、燃料に秘密があります。

ガスも石油も炭素と水素から出来ている物質だからです。
そのため、これらが燃焼すると、二酸化炭素と水が発生します。
そして、ここで発生する水に加湿の効果があるのです。

次にエアコンですが、こちらは物を燃焼させるのではありません。ですから、水を発生することも無く、加湿もしないのです。

しかし、エアコンは加湿しないだけではありません。むしろ空気を乾燥させてしまうのです。
空気は温度が上がると含むことが出来る水の量も多くなります。
そのため、仮に水を与えずに温度を上げてしまうと、それだけ温度に対する水の量も減ってしまうため、湿度を下げてしまうのです。

調湿する内装材について

湿度を適正に保つのは加湿器の様な家電製品だけではありません。
住宅に使用する内装材によっても調湿することは可能なのです。
ここでは調湿に効果のある素材を挙げてみましょう。

漆喰

漆喰は調湿機能があることで知られています
。漆喰で仕上げた壁は、まさに「呼吸する壁」とも言え、湿度を調整し、室内の空気環境を整えるのです。
漆喰は多孔質素材で、細かい孔に水を取り込むことが可能で、湿度が高い場合には水分を取り込み、反対に湿度が低くなると水を放散します。

尚、漆喰には調湿の他にも、アレルゲンやホルムアルデヒドの吸着や、カビの生えにくさ、静電気が起こりにくいなど、優れたメリットがあります。
ただし、漆喰にこれらの機能を持たせるには、一定以上のノウハウが必要ともなるので、プロの業者との相談が大切になります。また、コストは通常の壁紙などの施工よりも高めになってしまいます。

珪藻土

珪藻土も漆喰と同じく、湿度を調整することが可能です。
この壁も呼吸すると言え、室内の空気環境を良好にします。

珪藻土は漆喰と似ていますが、出来方が違います。
漆喰は石灰石を由来とするのに対して、珪藻土は大昔の微生物の遺骸が堆積した物から出来ています。
性質としては漆喰と似て、調湿の他にも、ホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着し、室内の空気環境を清浄にします。

尚、珪藻土も漆喰と同様、コスト的には一般の壁紙よりも高めです。

調湿壁材

内装用の壁材にも多孔質で調湿機能を持たせている物があります。
これも、湿度が高い時は水分を孔の中に取り込み、空気が乾燥すると孔の水を吐き出し、湿度を保ちます。

調湿壁紙

壁紙に調湿機能を持たせている物もあります。
代表的なのは、壁紙に吸水性ポリマーを含有させているタイプです。
吸水性ポリマーはオムツなどに使われる吸水素材で、水分を含ませることが可能な材料です。
この素材を壁紙の中に仕込むと、壁紙そのものに吸水性を持たせることが可能となります。
そして、この構造が室内の湿度を調整して、空気の状態を良くするのです。

調湿タイル

調湿機能を持たせたタイルもあります。
タイルを内装材に使う場合には、壁のデザインのアクセント目的が多いです。
その部分にこの調湿タイルを使うならば、単なるデザイン目的では無く、室内の湿度を調整させることが出来るのです。

無垢の天然木フローリング材

天然木も調湿の効果があります。
ですから、天然木のフローリング材は、それだけで調湿に有効なのです。
天然木はセルロースが多く含まれていますが、この物質は水が多いと取り込み、少ないと手放す特徴があります。
室内の湿度は、この特性によって調整されるのです。

ただし、天然木フローリングにはコストやメンテナンスに手間が掛かるマイナス要因もあります。
ですから付き合い方をあらかじめ確認しておくのが望まれる材料とも言えます。

まとめ

湿度についての話、加湿のし過ぎのマズさ、そして調湿機能のある建材の代表例を紹介して来ました。
湿度に関するイメージが、もしかしたら変わったかも知れませんが、室内の空気環境の改善のためには、この知識は有用です。

家造りは快適性を追求するべきですが、湿度も快適性に非常に深く関係しています。
ですから、これから家造りをする場合には、調湿機能のある建材を検討し、より気持ちの良い家としてはいかがでしょうか。