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家づくりの知識

リビングの広さ横幅3.6mはよく考えられた十分な広さ

リビングの広さ3.6m

今の住宅は品質が高いため、非常に長い期間使うことが可能です。マンションなどを見るならば50年レベルの物も見られます。そして、それだけの年月を超えたとしても現役を終えるとは限りません。手入れをすれば、それ以上の期間を使うことも可能なのです。

さて、昔と今の生活スタイルには、様々な点で違いが認められます。例えば、古いテレビドラマを見てみると家族が集まる部屋は茶の間であり、今の様なリビングではありません。また、冬などはこたつを囲んでいた生活から、ソファーでくつろぐ様になった…などの変化もあることでしょう。

ところで、今はリノベーションで間取りを変えることが可能で、リビングを広くすることも十分に可能です。しかし、マンションなどの場合は躯体の表面までしか改装することが出来ないので、自ずと部屋の大きさの制限は発生してしまいます。そして、部屋の広さはモジュールの関係から3.6mが1つの制限になっていることが多いです。
それでは、この3.6mという寸法は適切なのでしょうか。それとも、そのモジュールで部屋を造るなら、狭くなってしまうのでしょうか。
ここでは、この3.6mのモジュールとリビングについて考えてみたいと思います。

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そもそも3.6mとはどんな数字か

さて、冒頭に取り上げた数字…3.6mという値は建物について勉強するならば、結構な頻度で出て来ます。そして、これは確かに専門的な数値であるかも知れませんが、家造り・部屋造りにおいて覚えておいて方が良い数値です。
ここでは、その3.6mという数値について解説します。

尺貫法のモジュール

これは日本の歴史の話になるのですが、昔の長さの単位はメートルでは表されませんでした。メートルは意外に近世になってから普及した単位なのです。そして、昔は尺貫法の利用が一般的でした。
尺貫法は生活の様々な場面に現れますが、建築においては長さの単位が良く使われました。頻繁に出るのは「尺(約30cm)」と「間(約1.8m)」という単位です。そして、この単位は今も建築の場面では様々なところに出て来ています。
良い例としては、畳の大きさが挙げられます。畳の大きさは長さが1間(約1.8m)、幅が3尺(約90cm)です。
尚、1尺と1間ですが、6尺で繰り上がって1間になります。1尺×6=1間(30cm×6=180cm)のイメージです。ですから、3尺を半間とも表現されます。

間取りの基本的な寸法

さて、昔の家屋の場合、部屋は畳の組合せで構成されます。例えば6畳間は畳を6枚組み合わせた部屋、8畳間は8枚組み合わせた部屋です。そして、畳の並べ方も決まっていますので、部屋の広さも自ずと決まります。
6畳間の例で言えば、縦が畳2畳分の長さで2間、3.6mとなり、幅が1間半で2.7mです。また、8畳間であれば縦と横が畳2畳分となるので、2間、つまり3.6m四方となります。

昔の間取りについて再考してみる

ここで、日本の昔からの住宅の間取りについて検証してみたいと思います。と言うのも、昔の住宅を観察することによって、今の住宅が分かることがあるからです。

昔の住宅の間取り

まずは昔の住宅の間取りですが、一般的な家は尺貫法のモジュールで造られていて、基本的には4畳半、6畳間、8畳間の組合せで構成されています。また、廊下や階段幅なども、このモジュールが基本です。
そして、昔の住宅はこの間取りを1つの単位として組み合わされて造られます。これは、住宅の間取り図を見てみるとよく分かると思います。

マンションなどの集合住宅の場合

これは昔の団地やマンションに関しても当てはまります。例えば、マンションなどの間取り図を見てみると、畳の数で部屋の広さを表している場合が多くあります。
特に、築年数を経た昔の物件の資料を見てみると、この傾向は強いです。
尚、昔の不動産屋の店先に貼られているアパートなどの広さは、間取り図の掲載では無く、部屋数とその部屋の畳数で表されていたケースも多かったものでした。

リビングの広さは十分な広さか

さて、前述の様に、昔の住宅は尺貫法が基本であり、それを元にした部屋で間取りが構成されていました。しかし、今では設計に関する技術も高度になり、従来の間取りに縛られることの無い構成で作ることも可能となっています。そのため、リノベーションにおいても畳の数に縛られることが無くなり、自由な設計が可能となりました。
ところで、昨今のマンションの流通を見てみると、古いマンションの間取りをリノベーションで変えて生活するケースが目立ちます。例えば、6畳間を2つ繋げて12畳にする…と言った具合です。
これによって、間取りは自由に変えられるのですが、制限はやはりあります。と言うのも、マンションのリノベーションの可能な範囲は専有部分に限定され、コンクリート躯体はいじれないからです。ですから、部屋を広くするにしても制限がどうしても発生してしまいます。例えばリビングの広さは2間が最大…のケースも出て来るのです。
そこで問題なのですが、「リビングの広さは2間、つまり3.6mで十分か」が疑問になって来ます。果たしてどうなのでしょうか。

テレビとソファーの配置を考えると

リビングの基本…と言うと、人それぞれになるのかも知れませんが、1つの例として、「テレビとソファーの配置」を考えてみましょう。これは、家族でテレビを見ることからの想定です。
さて、テレビとソファーの配置…つまりテレビを見るのにちょうど良い距離は1.2~2.6mと言われています。確かに今は巨大なテレビもあるので、この数値はすべてに当てはまる訳ではありませんが、一般家庭を想定するならば、2.6m程度離れた地点にソファーがあれば、くつろぎの空間を作り出せることになります。
ちなみに、これを更に離すならば距離的に遠くなってしまい、テレビの映像の良さが伝わって来ない場合もあります。「広ければ広い方が良い」と言うことでは無いのです。

家具の配置を考えてもちょうど良い

さて、ここで家具の配置についても考えてみましょう。
家具は基本的には部屋にピッタリと納まる様に出来ています。昔の家を見てみると、タンスなどが上手に納めてあるのを見ますが、これは家具の寸法が部屋に合っているからです。
ですから、仮に部屋を大きくするならば、場合によってはデッドスペースが大きくなる可能性もあります。
このことを考えてみると、部屋のモジュール…つまり3.6mは、やはりちょうど良い長さであり、無駄も無いのです。

家族との距離もちょうど良くなる

家は家族のためにある物であり、家族が家のために居るのではありません。しかし、家が家族を良い状態に保つ役目があることは確かです。家は屋外の寒さや暑さから家族を守りますし、防犯性を持つことによって、家族に安心を与えます。
さて、家の間取りは家族の状態を保つのに役立ちます…部屋の広さが家族間の距離をちょうど良い物にして、家族みんながくつろげる空間にするのです。
人間関係には「距離」が非常に重要で、それは家族間であっても例外ではありません。家の間取り…つまり尺貫法をベースにした2間の間取りは、家族間の距離を保ち、円満な家を造るのに有用なのです。

狭くしない工夫もある

ところで、部屋が3.6mを基本とした寸法で構成され、「ちょうど良い」間取りとなっていても、例えば物が溢れてしまっていては、ちょうど良い状態が崩れてしまい、狭さと圧迫感を感じる様になることもあり得ます。そのため、部屋の空間を守りながら、上手に使うことが非常に大切となります。
そのためには、収納をどうするかが大きなポイントとなります。大きな家具を使うと発生する圧迫感も、工夫次第で空間を広く見せることが可能だからです。
では、部屋を狭くしない工夫にはどの様な物があるのでしょうか。

家具を造作にする

まず挙げられるのが、家具を造作にすることです。家具は大きさのバリエーションがありますが、必ずしも家族構成に合っているとは限りません。仮に家族に対して大きい場合、その分がスペースの無駄使いになってしまい、部屋を狭くしてしまうのです。
更に言うならば、家具の配置を間違ってしまうと、3.6mの数値が崩れてしまい、どこか居心地の良く無いリビングになってしまいます。
しかし、最初の段階…例えばリノベーションの段階で、壁に家具をちょうど良い形で造り付けてしまうのならば、家具で空間の雰囲気を壊すことが無くなります。
また、家具を造り付けるならば、部屋のトータルデザインもしやすくなり、より心地の良いリビングを造ることが出来ます。

背の低い家具を使う

人の視線は一定の高さにあり、そこに迫って来る物に対して圧迫感を強く感じがちです。そのため、背の高い家具を置きすぎると部屋が狭くなってしまうだけでなく、息苦しさまで覚える場合も出て来ます。
しかし、背の低い家具を使うならば、その様な状況にはなりにくいです。例えばローボードなどを使うのであれば、仮にソファーに寝転がったとしても、視線の位置までには高くはなりにくいです。そのため、圧迫感は発生しにくくなり、快適な広さを保つことが出来る様になります。

キッチンの工夫

今のキッチンは昔の「炊事場」「流し場」という表現から、相当にかけ離れるほどにスタイリッシュになりました。以前であれば流し台とガス台が付いていた程度の物から、今ではシステムキッチンが当たり前となり、更にはカウンターを備えた物、あるいはペニンシュラ型やアイランド型の様に開放的な物も登場しています。
さて、キッチンですが、LDKを作る時は中心部分になるため、重点的に検討がされるべきです。しかし、あまりにも重点を置きすぎるとリビングの方にまで張り出してしまい、せっかくのLDKを狭くしてしまうこともあり得ます。
確かにLDKは家族が食事を共にする場所でもあるので、重要視すべきですが、バランスを忘れてはいけません。
キッチンの使い勝手だけでなく、気分良くテレビを見るためにも、仕様と配置に気を付けて配置を考えましょう。

まとめ

家の間取りについて考えて来ましたが、昔からのモジュールの「3.6m」という数字が「ちょうど良い」ことが分かったことと思います。テレビを見るのにも、家族で集まるにも、この数値は重要な意味を持つのです。
さて、この距離は新たに家造りをする人にとっても参考になると思います。部屋を「ちょうど良くする」のに、この数値は有用です。家造りを計画する際、基本のモジュールにすることをおすすめします。テレビとソファーとの距離は3.6mで十分な広さです。

MyDesign/株式会社Izumida