憧れのマイホーム取得…しかもリーズナブルな価格の庭付き一戸建て…と聞くと、特に首都圏の人は身を乗り出す様に話に乗るかも知れません。
と言うのも、東京をはじめとした大都市圏ではその様な住宅を見つけることは難しいからです。
そして、その様な住宅は必ずしも問題が無いとは限りません。私道の問題もその内の1つです。
仮に、購入予定地が私道に面している場合には、土地を下手に使うと「こっちの土地を使うな!」などとクレームが入る様にも思えてしまいます。
さて、私道に絡む問題には、更に厄介と思われる難問があります。
…私道にライフラインを通さなければならない場合です。この様な場合は、どの様な対処方法があるのでしょうか。
生活にはライフラインが不可欠
住宅は生活する場所…であることは言うまでも無いことですが、快適な生活をする上では良い設備が無ければなりません。
浴室にしろキッチンにしろ、その様な設備が仮に十分な状態で無い限りは、快適な生活は望めるはずもありません。
しかし、その設備を使うためには設備を設置するだけでは片手落ちです。
水道や電気、そしてガスなどが通ってなければ、それらの設備は無意味だからです。
…ライフラインは生活において、無くてはならない物なのです。
ライフラインについて
ここで、ライフラインについて復習してみましょう。
先にも挙げた様に、設備を使うためには水道や電気、そしてガスなどが不可欠です。
水道が無いならば井戸を掘ればいい…という訳には当然のことながら行きませんし、電気が無ければ太陽電池を設置すれば…とも行く物ではありません。やはり基本となるライフラインは必要なのです。
さて、ライフラインの代表的な物は電気、ガス、水道などが思いつくかも知れませんが、実はこれだけではありません。このほかにも通信に関する物と交通に関する物があります。
ライフラインを敷くには大工事が必要
それでは、ライフラインは簡単に通せるのでしょうか。
実は意外に簡単ではありません。地中を這わせたり、電柱を経由させる必要があるからです。
ライフライン工事として地中を這わせる代表例が水道管ですが、この工事は大掛かりです。
道路の場合だとアスファルト舗装面を切り出し、その上で地面を掘削する必要があります。
時折この工事を街中で見ることがありますが、時によっては通行を一旦止めることが必要にもなる工事です。
その様子から、いかに大変かを伺い知ることが出来ます。
また、通信や送電なども大変です。
と言うのも電柱の工事が必要となるからです。
電柱は単なる電線を吊っている柱に思えるかも知れませんが、実は大きな設備です。
台風などの強風でも倒れてはいけないので、基礎部分も非常に深く取ってあるのです。
ライフラインは簡単に通せるか
この様に、ライフラインは簡単に通せる訳ではありません。
大きな工事が必要となるからです。
しかし、ライフラインを通す場合は単に工事だけを問題にするのでは片手落ちです。
と言うのも、「どこの土地を通すか」が意外な程に大きな問題にもなり得るからです。
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私道には所有者がいる
住宅用の土地は道路に面していますが、それが一般の道路であるとは限りません。
道路には様々な物がありますが、その道路が特異な物である場合もあるのです。
「私道」も特異な道路の1つと言うことが出来るでしょう。
と言うのも、その道路の所有権を握られているからです。
さて、マイホーム取得のために買った土地が私道に面しているというケースは意外にあるものです。
その場合、土地の購入者は面食らうことも多いです。
と言うのも、その私道に水道などのライフラインを敷くことが出来るかが疑問に思えるからです。
更に言うならば、その私道の持ち主が近所でも評判のガンコ者である場合など、挨拶に行くのすら怖くなってしまいます。
怖いところに挨拶に行くことは、誰であっても嫌な物だからです。
私道の場合は土地所有者の承諾が必要
私道の扱いに苦労する人は多いと思います。
と言うのも、私物を壊した場合には弁償しなければならないからです。
特に所有者の大切にしている物、あるいは高価な物であれば、対応には非常に神経を使う物と思います。
謝罪をどうするか、何か贈る物があるかなど、色々と考えることでしょう。
当然ながら、これは土地においても当てはまります。
土地は公共性があるかも知れませんが、所有権は認められていて、その所有者の意図を無視して何かをすることは出来ません。
私道に関しても同じことが言え、仮に承諾無しで何かの工事などをすると、大きな問題にもなり得ます。
それでは、土地が私道に面していて、ライフラインが私道を通る場合には、どうすれば良いのでしょうか。
…その場合には、土地所有者の承諾が必要です。
仮に、土地所有者の承諾が無いにも関わらず、ライフラインの工事をした場合にはどうでしょうか。
非常に良くない事態となるのは明らかです。
通行掘削承諾書とは
さて、私道は所有権は認められています。
所有権と聞くと非常に強力な権利に聞こえるとも思います。
私有財産は認められなければならない権利だからです。
しかし、ライフラインを敷くためには、地主からの許可が必要です。
そして、私有地である限り勝手に使うことも出来ません。
ですから、私道を使わせてもらうためには、所有者の承諾が必要なのです。
私道所有者からの承諾書
さて、承諾は口約束だけで良いのでしょうか。
確かに法律を調べるならば、口約束も立派な契約に数えられるかも知れません。
しかし、口約束だけは危険過ぎます。
例えば、私有地使用の承諾をもらうために行って、出て来た人が、その後も約束を覚えているとも限りません。
やはり忘れるリスクはあるのです。
しかも、ライフラインを敷くための使用承諾は、工事や通行も認める承諾であるので、口約束で済ませるべきではありません。承諾してもらった事実を記録しておく必要があるのです。
通行掘削承諾書は、その内の私道掘削の承諾ですが、これも口約束でとどめるならば、やはり危険です。
書面として、両者が合意したことを残しておくために作るのです。
ケースによっては取れないことも
ところで、承諾は確実に取れるとは限りません。取れないケースもあり得るのです。
例えば、目の前の私道が細かく分かれている場合、ライフラインを通すためには承諾を通すためには挨拶まわりをする必要が発生します。そして、中には良くない対応をする人もいることでしょう。
そのため、場合によっては承諾を取れないこともあります。その理由は、聞いてみると答えてくれないかも知れないし、理不尽な内容かも知れません。
しかし、所有者がOKを出さない限り、勝手に使うことは出来ないのです。
その場合は、せっかく土地を入手したとしても家を建てることは実質的に難しくなります。
…仮に建物が建ったとしても、水道、ガス、電気が使えない家は意味すらも疑わしく思えます。
裁判所を通せばライフラインは通せる
それでは、承諾書を取れない場合には、マイホームの建設を完全に諦めるしか無いのでしょうか。
実は諦める必要はありません。ライフラインを通す手段が他にもあるからです。
では、どの様なアクションでライフラインは通せる様になるのでしょうか。
…実は意外に難しい話ではありません。
裁判所の許可決定を取ればOK
道路の使用権は所有者が持っています。確かにこれは前提条件です。
しかし、ケースによっては、これがひっくり変えるケースも無い訳ではありません。
裁判所が使用許可を出した場合には、ライフラインを敷くことが可能となります。
「裁判所」と聞くと非常に大きな事件の様に思えるかも知れません。
実際に「裁判沙汰」という言葉には非常に重く、近寄りがたい雰囲気さえ感じる人も多いことでしょう。
しかし、裁判所は確かに被告人として行く場所としては恐ろしいかと思えるかも知れませんが、一般人として行くには、別に特別な場所では無いのです。
そして、裁判所に申請すれば、仮に通行掘削承諾書が取れない場合であったとしても、私道にライフラインを敷くことが可能となります。
そして、その土地には家を建てられる様になるのです。
許可を取るのは一般的手続き
裁判所に行くことは、一般的にはあまり無いことだと思います。
それこそ裁判沙汰になるまでのアクシデントは、普通の生活をしているならば、ほとんど無いことでしょう。
そのため、裁判所は近寄り難い雰囲気を感じる人も多いことと思います。
実際、裁判所の建物は威厳すら感じられます。
それでは、実際の裁判所の中はどうなっているかと言うと…実はそれほど怖いところではありません。
一般の役所とあまり違いは無いのです。
ですから、掘削に関する申請も「裁判で争う」といった様に構える必要は全く無く、他の役所に手続きに行くのと同じ感覚で申請が出来るのです。
費用について
ライフラインを通すために裁判所に行くことが、実はそれほどハードルの高い物では無いことが分かったことと思います。
しかし、仮にその申請が事務手続きに似ていると言ったとしても、やはり及び腰になるケースも多いと思います。
と言うのは、費用が高額になるのでは無いか…という懸念があるからです。
実際に、この手続きは弁護士を使って進めることになりますので、やはり費用は掛かります。
物件にもよりますが、通常の一戸建ての場合、大体の目安となるのが40~50万円くらいです。(例外もあることも覚えておきましょう)
この金額は確かに安い物ではありませんが、この費用を投じることによって、より良い家の購入が可能となります。
経費と考えて、得られるメリットと比較して考えるならば、高い投資金額ではありません。
まとめ
ライフラインを通すための手段について見て来ました。私道が絡むと、ライフラインの確保に意外に手間が掛かります。
しかし、仮に承諾が得られなかったとしても、裁判所を通すなどすれば問題無く良い家を建てることが出来るので、安心して大丈夫です。
ところで、この様な案件は信頼出来る業者があってこその話です。信頼のおける良い不動産業者を見つけることが大切になるでしょう。