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家づくりの知識

屋根の形で決まる太陽光の発電量 切妻は◎ 寄棟・片流れは△又は×

太陽光発電に適した屋根は?

環境問題対策の必要性は増し、世界中の多くの場所で様々な施策が行われていることは良く知られていることだと思います。ある風の強い地域では風力発電が行われていますし、少し変わったところでは、波の力や地熱の利用なども研究されています。太陽光の利用も以前から行われていますが、近年になってますます盛んになり、一般の住宅の屋根にも設置される様になりました。

ところで、その太陽光発電ですが、設置する住宅の屋根によって発電効率が違って来るのはご存知でしょうか。
実は、設置する屋根の形によって太陽光パネルの発電量は違うのです。
そこで、ここでは太陽光発電の必要性からはじめて、屋根による発電効率の違い、そして太陽光発電パネルを設置する上での注意点などについて解説します。

太陽光発電の必要性

太陽光発電の効率の解説の前に、太陽光発電の必要性について復習してみましょう。
太陽光発電にはいくつかのメリットがあります。代表的な物としては、環境問題対策、経済的なメリット、そしてオール電化との相性の点です。

環境問題対策

太陽光発電は環境問題対策に有効な手段です。
冒頭にも挙げた様に、環境問題の対策は急務であり、風力発電をはじめとする試みが世界の様々な地域で行われています。
さて、住宅の屋根に設置する太陽光発電も非常に大きな意味を持っています。確かに住宅の使う電気エネルギーの全部をまかなうレベルには達しないかも知れませんが、それでも多くのエネルギーを生産し、日常生活に役立っています。

また、この動きが大きくなり、家一軒だけでなく街全体で行われるならば、ちょっとした発電所のレベルにまでなるかも知れません。それだけこの動きは貴重なのです。

経済的メリット

太陽光発電は経済的にもメリットがあります。
メリットの1つとしては光熱費の削減です。例えば、夏場のエアコンに掛かる電気代を見て驚いた人は多いと思います。エアコンは技術の発展と共に省エネ化がずいぶん進みましたが、それでも使用量が多いこともあり、電気代が非常に掛かってしまいます。
しかし、この電気エネルギーを自前で補うことが出来れば、経済的にメリットが発生します。また、そのメリットは大きいです。
メリットの2つ目として挙げられるのは売電です。これは太陽光発電で発電した電力の内、自宅分を使って余った電力を買い取ってもらうシステムです。余った部分を買ってもらえるので、家計的にも嬉しいシステムと言えるでしょう。

オール電化との相性

オール電化との相性が良い点も嬉しい点です。
電気料金は昼間と夜では価格設定が異なります。そのため、オール電化にすると昼間の電気料金が高くなる様に見えます。しかし、このデメリットを太陽光発電が補うので、効率良くエネルギーを使うことが出来るのです。
ちなみに、電力が昼と夜で値段が違うのは、昼は工場や商業施設が稼働しているため電力の消費量が多く、夜はその様な産業活動が低下しているからです。

屋根の形で太陽光の発電量は決まる

それでは、なぜ太陽光発電は屋根の形で決まるのでしょうか。切妻が良い理由と寄棟や片流れが劣る理由を解説して行きましょう。

切妻の場合

切妻の屋根は二方向に向いているので、屋根の両方向に太陽光パネルを広く設置することが可能です。
そして、屋根が上手く太陽の動きに合わせて向いているのであれば、設置した太陽光パネルが午前と午後の日射から発電してくれるので効率的になります。
イメージとしては、東側に向いた面が午前中の間に発電し、もう片方が午後の時間に発電をする格好となります。

切妻屋根(きりづまやね)
切妻屋根(きりづまやね)

寄棟の場合

寄棟の場合は屋根が4方向に向いているので、太陽の軌跡に全部の面が向き合う様にはなりません。そのため、太陽と向かう面が減ってしまうために発電効率が落ちてしまいます。
太陽光パネルは太陽光の入射角度によっても発電効率が変わりますが、寄棟の場合には太陽と向き合わない面は光の入射が良くありません。そのために発電効率が落ちてしまうのです。

寄棟屋根(よせむねやね)
寄棟屋根(よせむねやね)

片流れの場合

片流れの屋根は、その名の通り屋根全体が1方向に向いて傾いている屋根です。この屋根に太陽光パネルを付けるのであれば、1日の半分にはなるでしょうが、片面とは言え効率良く発電出来そうに思えます。
しかし、実際にはその様に上手くは行きません。

これは、片流れの屋根は北を向いて傾いている場合が多く、太陽に向けてパネルを設置することが難しいからです。
ちなみに、北方向に向かって傾いている理由は、隣家の日射を良くするためです。屋根が北に向かって流れると、隣の家の南に向く部分が多くなり、日当たりが良くなるのです。

片流れ屋根(かたながれやね)
片流れ屋根(かたながれやね)

発電量が決まる要因

ここでは発電量が決まる要因について解説します。
太陽光パネルの発電効率を決めるのは、「日光の強さ」「面積」「方角」「角度」が関係しています。

日光の強さ

太陽電池は日光の持つエネルギーを直接電気に変化する装置です。太陽電池の中には半導体が組み込まれていて、ここに日光が当たると発電します。
そして、この発電する量は日光の強さによって決まります。日光が強ければ強いほどに電気を起こすことが可能で、日光が弱くなってしまうと、それだけ発電出来なくなってしまうのです。

そのため、例えば日光の強く当たる地域や時間によっても発電量が変わります。ですから、太陽が動く軌跡に合わせて太陽光パネルが設置されている場合には発電効率が良くなるのです。この条件に近いのが切妻で、午前は東側が多く発電し、午後は西側の発電量が多くなり、1日のトータル発電量が多くなるのです。

太陽光パネルの面積

太陽光パネルは機種ごとの変換効率の差はありますが、基本的には面積が大きければ大きい程発電量が多くなります。
ですから、屋根の面積も設置可能なパネルが大きければそれだけ発電に有利なのです。
さて、これに関しても切妻は有利です。切妻は2方向に屋根が流れるだけなので、大きなパネルの設置がしやすいのです。逆に、寄棟の場合には、屋根の形状から太陽光パネルを張れる面積が狭くなってしまいます。このため、発電の点で不利になってしまうのです。

屋根の角度によっても発電効率は違って来る

太陽光パネルは屋根の角度によっても発電量が変わります。理想的なのが30度の勾配と言われています。これが、20度、或いは40度になると、適切な角度から外れてしまい、発電量は落ちてしまいます。
そのため、仮に切妻ではあっても、屋根角度が適切で無い場合には発電量が落ちてしまうこともあります。

方角によって発電効率が違う

太陽光発電は方角によっても発電量が異なります。最も良いのが南向きの家で、北向きの家は不利になります。
これは屋根に設置する太陽光パネルと太陽の位置関係による物です。家が北向きになると、日光の入る角度の条件が悪くなるのが原因です。

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太陽光発電を設置する際の注意点

さて、太陽光パネルはエネルギーの面から考えると非常に魅力的です。しかし、闇雲に設置するべきでは無く、確認しながら検討することが大切です。
ここでは、太陽光パネル設置における注意点について紹介します。

屋根の強度について

太陽光パネルは屋根の上に設置する構造物のため、設置すると屋根に大きな力が掛かります。そのため、特に古い住宅に設置するためには、状況に応じて屋根の補強が必要です。
また、特に雪の多い地方では注意が必要です。と言うのも、屋根に雪の重みが掛かる場合には、屋根全体に均一の力が加わるのですが、太陽光パネルを取り付ける場合には、接合部分に力が集中するため、荷重を分散させる必要があるのです。地域や屋根の状況により、荷重の分散と強度の確保をしましょう。

日陰にならないかの確認もしておく

太陽光発電は日射があっての発電手段と言えます。ですから、日射を邪魔する要因がある場合には、それだけ発電に不利となってしまいます。
さて、建物は周囲の状況によって日陰が発生する場合があります。特に周囲に高い建築物がある場合には注意が必要です。
建物を建てる際には、その土地の状況によって斜線制限などが設けられているため、一定の日射量は期待出来ます。しかし、それでも発電量が落ちてしまう可能性が高いので、設置にあたっては確認が必要です。

高さや斜線の制限

建築物を建てる際には、様々な法的な制限をクリアしなければなりません。例えば地震が発生した時のための耐震性や、火災が発生した際のための防火性などがあるでしょう。
さて、建物は高さの制限や、接道などによる斜線制限が加えられているケースがあります。つまり、屋根の高さや角度の制限もあるのです。そして、仮に太陽光パネルであっても、この制限は守らなくてはなりません。ですから、設置に当たっては十分な確認が必要となります。
尚、特に北国の日射のあまり多く無い地域においては、北側の斜線制限がシビアである傾向があります。と言うのも、北側の斜線制限は隣家の日射にダイレクトに影響するからです。隣家の日射を妨げるのは良くありません。設置を検討する前に、十分な確認が必要です。

補助金なども確認しておきたい

太陽光発電はエネルギー確保の上で非常に有用な手段であり、高熱費削減においても非常に有意義な物と言えます。しかし、太陽光発電の設備は簡易な物では無く、大掛かりな設備と言えます。そのため、設置にも費用が多く掛かってしまいます。
そこで確認しておきたいのが設置にあたっての補助金です。
太陽光発電においては、様々な補助金がありますので、設置の際には十分に確認し、利用出来る制度はフルに活用しましょう。

まとめ

太陽光発電に関して述べて来ました。屋根の形によって発電量が違うことや、発電量が決まる理由などについてもイメージ出来た物と思います。
ですから、仮にこれから注文住宅を造る場合、そして屋根に太陽光パネルを設置する場合には、効率良く発電出来る条件も分かったことと思います。
太陽光発電は上手にするならば、環境問題の対策だけでは無くて、経済的なメリットを得ることも可能です。家造りにおいては非常に有意義ともなりますので、検討をおすすめします。