大切なお住まいのご売却を考え、複数の不動産会社に査定を依頼したところ、会社によって500万円、時には1,000万円以上も違う価格が提示され、混乱してしまった…。
これは、私たちがお客様から非常によくお伺いするお話です。 多くの方が、「一番高く評価してくれた会社が、一番良い会社に違いない」と思いがちです。しかし、本当にそうでしょうか?
私たちMyDesign/株式会社Izumidaは、「査定価格の根拠と、その価格を実現するための戦略」こそが、価格そのものよりも重要だと考えています。今回は、なぜ査定額に大きな差が生まれるのか、そしてその裏側にある、お客様が知っておくべき業界のカラクリについて、正直にお話ししたいと思います。
【1.「高い査定額」の裏側にある、業界のカラクリ】
なぜ、一部の不動産会社は市場の相場からかけ離れた、非常に高い査定額を提示することがあるのでしょうか。 その多くは、「高値預かり(たかねあずかり)」と呼ばれる、業界の営業手法の一つです。
これは、まず売主様の関心を引くために、意図的に高い査定価格を提示し、何としても「媒介契約(売却の依頼)」を獲得することを最優先する戦略です。
媒介契約さえ結んでしまえば、その物件は自社の広告媒体として、他の購入希望者を集めるための「客寄せパンダ」にすることができます。つまり、極端な話、あなたの物件が売れなくても、会社としては他の物件で利益を上げるチャンスが生まれるのです。
その結果、売主様に何が起こるか。
- 数ヶ月間、全く問い合わせがない。
- 内覧があっても、真剣な交渉に進まない。
- 最終的に、担当者から「市場の反応が悪いので、大幅な値下げをしましょう」と説得される。
貴重な時間と、売却の好機を失い、精神的にも疲弊してしまう…。これが、「高値預かり」がもたらす、最も不幸な結末です。
【2.私たちが感じる「違和感」の正体 ~売主様の本当のパートナーとは~】
私たちは、このような手法に強い「違和感」を覚えます。 なぜなら、不動産仲介の仕事は、第一に「売主様の最高の代理人」であるべきだからです。
売主様には「高く売ります」と良い顔をし、いざ買主様が現れると、今度はその買主様のために「なんとか安く買えるように」と売主様に値下げを迫る。このような、矛盾した仕事の進め方を、私たちは決して正しいとは思いません。
私たちの仕事は、正直な査定価格に基づき、その物件が持つ本来の価値を正しく理解してくださる「最高の買主様」を、市場から見つけ出すことです。そして、その価値を最大化するための具体的な戦略を実行し、最終的に売主様にご満足いただくこと。その一点に、全ての力を注ぐべきなのです。
【3.私たちの査定額の考え方:「価格」と「戦略」はワンセットです】
私たちがご提示する査定価格は、単なる数字ではありません。それは、「この価格で売るための、具体的な戦略」と常に一体です。
- データに基づく現実的な価格分析: まず、周辺で「実際に売れた価格(成約事例)」を徹底的に分析し、客観的な事実に基づいた価格の土台を固めます。
- 付加価値を創造する戦略: 次に、リフォームや建築のプロである「作り手の視点」から、その物件のポテンシャルを最大限に引き出すための具体的なプラン(例:3Dパースによるリノベーション提案など)を考えます。
- 戦略的価格帯のご提示: この2つを掛け合わせ、「堅実な売却ライン」と、私たちの戦略を実行できた場合の「目標価格」として、幅を持たせた価格帯をご提示します。
これは、「これだけのことを徹底して行えば、この上限価格も目指せます。一緒に頑張りましょう」という、お客様との約束の証です。
【まとめ】
不動産会社を選ぶとき、査定額の高さだけで判断するのは危険です。 ぜひ、「なぜその価格なのですか?」「その価格で売るために、具体的に何をしてくれるのですか?」と、一歩踏み込んで質問してみてください。
その答えに、その会社の誠実さが表れます。 一番大切なのは、売却活動の末に、あなたが心から納得し、満足できる結果を手にすることです。
もし、複数の査定額に混乱したり、高すぎる価格に少しでも不安を感じたりしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。なぜ私たちがその価格をご提示するのか、その理由と戦略を、誠心誠意ご説明させていただきます。
執筆 MyDesign 株式会社Izumida 代表取締役 泉田啓一