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家づくりの知識

築古物件のリノベーション:失敗しないための4つのポイント

一般的に、住宅は築年数が経過するほど価値が下がるため、築古物件は新築に比べて手軽に購入できるのが魅力です。築古物件をリノベーションして生まれ変わらせれば、リーズナブルに理想の住まいを実現できる可能性があるでしょう。

しかし、築年数が経過しているがゆえに、気を付けるべき注意点があります。今回は、築古リノベーションで失敗しないために、意識したい4つのポイントを解説していきます。

築古物件のリフォームにおける注意点は、こちらの記事で紹介していますので併せてご覧ください。
築古物件のリフォームってどこに注意すればいい?

ポイント1:耐震基準を満たしている物件を選ぶ

築古物件で特に気を付けなければならないのが、耐震基準を満たしているかどうかという点です。耐震補強が必要となれば、大きなコストがかかってしまいます。耐震基準関連で意識すべき内容を詳しく見ていきましょう。

旧耐震基準、新耐震基準、2000年基準

1981年5月以前に建築確認を受けた住宅は、旧耐震基準に則って建築されています。旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも倒壊しない強度を基準としているのが特徴です。一方、1981年6月以降の建築確認では、震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しない強度を要する、新耐震基準が適用されています。

築古物件を選ぶ際には、1981年6月以降に建てられた新耐震基準を満たす住宅を選んだ方が安全でしょう。1981年5月以前の住宅でも、新耐震基準を満たす旨の耐震診断が行われている物件がよいでしょう。

加えて、木造住宅については2000年6月以降、さらに耐震基準が見直されています。これは一般的に「2000年基準」と呼ばれます。木造の中古戸建てを検討する際には、2000年基準を満たしているかどうかも確認するのがおすすめです。

大きな費用がかかる耐震補強

耐震基準を満たす住宅を選ぶべき一番の理由は、耐震補強をしなければならない場合、大きなコストがかかってしまうからです。

耐震診断だけでも10〜40万円程度、耐震補強までフルで実施すれば200〜300万円以上かかる場合もあります。
(参考:リショップナビ)

築古物件は、物件価格が安いとはいえ、耐震補強が必要になれば価格の優位性も小さくなってしまいます。表面的な価格の安さだけでなく、耐震基準を満たしているかしっかりと確認したうえで判断するのが良いでしょう

ポイント2:見えない部分の老朽化や不具合に注意する

築年数が経過すると目に見える内外装や設備のみならず、目に見えない部分の老朽化も進んでいる可能性があります。築古物件を選ぶ際には、目に見えない部分の状況にも注意する必要があるのです。

建物構造や配管の老朽化も要チェック

戸建ての場合、建物構造が老朽化していて雨漏りが発生していることがあります。室内への雨漏りは、天井や壁のシミを見れば確認できますが、屋根裏や外壁を伝っての雨漏りを目視で発見するのは、なかなか難しいでしょう。

床が凹んでいたり柔らかくなっていたりする箇所がある住宅は、床下の基礎がシロアリの食害に遭っているケースもあります。内見時には、床下や天井裏もチェックしておくのがおすすめです。

戸建て・マンションとも、築年数が経過すると給排水管の老朽化も見られます。古くなった配管を放置すると漏水の危険もあるため、交換を要する配管がないかもチェックしたいところです。

不安ならホームインスペクションがおすすめ

「目に見えない部分もチェックを」といわれても、素人が現場を見て判断するのは難しい場面があるかもしれません。そのため、築古物件の購入を具体的に検討する段階になったら、ホームインスペクションを活用するのも有効です。

ホームインスペクションとは、規定の講習を修了したプロである、インスペクターによって行われる「住宅の健康診断」のこと。プロによる目視の調査で、基礎部分をはじめとした判断の難しい箇所に不具合がないか確認してくれます。

費用相場は5〜6万円程度ですが、不具合を後から補修するとなれば、莫大な費用がかかることもあります。不安であれば、費用をかけてでもホームインスペクションを検討しましょう。
(参考:相続会議)

ポイント3:断熱性・気密性の向上を費用に見込む

築古物件は新築に比べて住宅性能が劣ります。今の時代に合った快適な暮らしを送るには、断熱性や気密性を向上しなければなりません。物件価格が安くても、こうした性能向上のための費用を別に見込まなければならないのです。

断熱性・気密性の低下は冷暖房効率低下の原因

特に木造の築古物件は、経年劣化によって気密性が低下しやすく、窓や床の隙間から室内に風が入り込んでしまいます。

断熱性や気密性が低下すると、外気温の影響を受けやすくなるため、夏は暑く冬は寒い家になるでしょう。夏は冷房、冬は暖房を使い続けなければならず、高い光熱費を支払わなければなりません。

冷暖房効率を向上して長く快適に暮らせる住宅にするため、断熱性や気密性の確保は不可欠です。

築古物件では逃れられない性能向上工事

繰り返しになりますが、築古物件は経年劣化により住宅性能が下がっています。新築時の技術の範囲内で建築されているので、当然、現在の最新技術と比べれば性能基準も低いでしょう。

リノベーションというと、外壁を塗り替える・内装を綺麗にする・間取りを変更するといった内外装の見直しばかりに目がいきます。断熱材を入れる・高断熱の窓に交換するなど、住宅性能を向上する工事は忘れがちですが、快適な住まいづくりにおいては、大切な要素です。

築古物件は物件価格が安い分、こうした性能向上工事にかかる費用を、当初から見込んでおきましょう。

ポイント4:希望する間取りを実現できるか確認する

築古物件のリノベーションでは、ほとんどの場合、間取り変更が必要になります。建物構造によっては実現できる間取りに制限が出てくることもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

現在のライフスタイルに合わない築古物件の間取り

時代の移り変わりとともに、間取りのトレンドは変化しています。築古物件の多くは、間取りが現代のライフスタイルに合っていません。快適な住まいを実現するには、ライフスタイルに合った間取りに見直す必要があります。 例えば、和室を洋室化する、リビング隣の個室をなくしてリビングを広くする、キッチンを対面式にするなどの変更です。間取り変更のイメージを持ちながら物件選びをすると、より満足のいくリノベーションを実現しやすくなります。

建物構造で決まる間取り変更の自由度

築古物件を間取り変更するにあたって、気を付けたいのが建物構造です。建物構造によっては、変更できる内容に制限がかかり、希望する間取りを実現できない可能性があります。

戸建てでは、木造軸組工法(在来工法)で建てられた住宅は間取り変更の自由度が高め。柱・梁・筋交いで構成されているので、部屋間の壁を抜いて、大きな一部屋を作るのもやりやすいのです。築古の住宅は木造軸組工法が多いですが、ツーバイフォー工法や鉄骨造の物件は、間取り変更がしづらい場合もあるので注意しましょう。

マンションの場合、柱と梁からなる枠で建物を支えるラーメン構造の物件は、間取り変更の自由度が高いとされます。対して、団地などに多い壁式構造は、壁で建物を支える仕組み。取り払えない壁があるために、間取りの自由度は低くなります。

まとめ

築古物件は物件価格が安いのが魅力。リノベーションすれば、新築よりもリーズナブルに理想の住まいを実現できます。ただし、築年数が経過している分、耐震や断熱といった性能面での問題、構造や設備の老朽化・不具合があることを忘れてはいけません。こうした課題を解決できれば、自由度高く希望を叶えられるでしょう。

築古物件のリノベーションは高い専門性が必要であるため、経験豊富な建築会社やリノベーション会社に依頼したいところです。

MyDesign/株式会社Izumidaは、東京都多摩地域においてリノベーションを数多く手がけています。周辺エリアで築古物件のリノベーションを検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。