昨今のマイホームの取得の方法として、中古住宅を一旦購入してリノベーションをして使う方法が広がっています。その方がコスト的なメリットがあり、しかも快適な生活が可能だからです。
しかし、単にリノベーションと言っても、設備や工事の状況によって品質が異なります。ですから、リノベーション物件によって生活の質まで変わり得るのです。
それではリノベーションは、どの様にすれば住み心地がより良くなるのでしょうか。
そこで、ここでは最近のリノベーションをどの様にするのがおすすめかについて、住宅の各部に分けて解説したいと思います。
間取り
まずは間取りについて取り上げてみましょう。
昔の物件と今の物件では間取りの取り方がずいぶんと違っています。そのため、工事の内容としては間仕切り壁の撤去や移動などが基本です。ただし、リノベーションの内容によっては単なる壁の移動に留まらないプランもあります。
ここでは代表的とも思われる例について紹介しますが、条件の許す限り、間取りにおいても「アイデア次第」であることも、覚えて欲しく思います。
リビングスペースの拡充・キッチンの工夫
昔の住宅の家族の集まる場所は「居間」あるいは「茶の間」と呼ばれる部屋でした。その部屋は基本的には畳敷きとなっており、多くの場合は6畳間、或いは8畳間でした。
しかし、今は生活もすっかり変わり、家族の集まる場所はLDKが一般化しています。LDKは昔の茶の間よりも広く取ってあり、しかもキッチンに続いています。
そして、特に今のキッチンは対面式や、アイランド型など、昔の建築様式では見られなかった様態を取っています。
その様な背景もあるため、リノベーションにおいてもリビングスペースの拡充が求められ、キッチンとの組み合わせのプランニングが重要となります。
ワーキングスペースの確保
昨今の新型コロナ感染症の騒動から、各企業がテレワークをスタートしていますが、ワークライフバランスを念頭に置いた住環境整備の意味においても、この動きに合わせて行く必要があります。
この課題に対しては、LDKの一部にワーキングスペースを造るのがベターです。と言うのも、書斎として独立させるよりも、「ちょっとした休息」が容易に取れる様になるからです。
仕事の合間の美味しいコーヒーは、頭を休めるのにもちょうど良く、気軽にコーヒーを入れられる環境は仕事の能率を上げることでしょう。
キッズスペースの設置
新型コロナウィルス感染症の影響は未だ衰えが見えていません。そのため、仮に感染者数が増えると、再び外出自粛の必要も出て来るかも知れません。そのため、小さい子供を外で遊ばせるのも難しくなる可能性もあり得ます。
そこで必要となるのが室内のキッズスペースです。そして、特に小さい子供のいる世帯では、子供を見守ることの出来る場所…つまりLDKにキッズスペースを設置するのがおすすめです。
スキップフロアを造る
LDKに敢えて段差を設けてスキップフロアにすると、LDKに縦の広がりを造ることが出来て、空間を大きく見せることが出来ます。また、スキップフロアのメリットは広い床下収納部分を造りやすい点もあります。収納部分を多く造ることが可能で、ファッショナブルなLDKに出来るので、デザインの幅も広がることでしょう。
ただし、段差を敢えて作る部屋であるため、小さい子供やお年寄りのいる世帯には向きません。
ロフトを造るのもアリ
ロフトは居室として扱うことは出来ませんが、ユーティリティースペースとして使うことは十分に可能です。また、LDKに設置すれば、空間が上に伸びるため、広さを感じる空間にすることが出来ます。
当然、ロフトには様々な使い道があります。物置として使うだけで無く、趣味のスペースとして使うなど、アイデア次第で活用の幅は大きく広がります。
内装
内装の変更は居住空間の雰囲気を変えるので、リノベーションの中でも重要な位置を占めます。特に古い部屋の場合には、単に老朽化しているだけでなく、素材まで違うケースも見られます。
そこで、ここでは内装のリノベーションの代表例を取り上げてみましょう。
天然木フロア材
昔の部屋は畳敷きの部屋が多くありましたが、今の部屋はフローリングの物が多く、リノベーションにおいてもフロア材が使用されます。
そして、部屋の雰囲気をより良くするためには、合板ベースのフロア材では無く、天然木ベースのフロア材がおすすめです。木は柔らかい雰囲気を醸し出す素材であるため、部屋の雰囲気も落ち着きます。
ただし、天然木のフロア材はメンテナンスフリーではありません。定期的に手入れをする必要がありますし、ケースによっては修繕しなければなりません。そのため、設置に当たっては手入れと修繕の方法をあらかじめ知っておく必要があります。
機能性内装材
壁クロスやクッションフロアの中には様々な機能を持たせた物があります。例えば、抗菌、防臭、表面強化、汚れが着きにくいなど様々です。
そのため、例えば小さな子供のいる世帯に向いたLDKも造ることが出来ます。小さい子供はとかくイタズラをする物ですが、内装材に付加機能を持たせてやれば、イタズラ対策にも有効だからです。
また、仮にペットなどを飼育する場合も、部屋を汚され難くなります。
床暖房
リノベーションの際に床暖房を設置すると快適性がアップします。
一般のファンヒーターの場合は置き場所が必要ですが、床暖房は床そのものが暖房器具となるため、機械を置く必要がありません。そのためスペースを広く使える様になります。
漆喰や珪藻土の壁
壁の最もポピュラーな素材はビニールクロスです。今ではビニールクロスも高品質となっているため、決して悪い選択では無いのですが、一枚上手のLDKリノベを狙うのであれば、漆喰や珪藻土を使った壁がおすすめです。
これらの素材は湿度をコントロールしたり、空気をきれいにしたりする機能もあるため、部屋を快適にする効果もあります。
ただし、漆喰や珪藻土も天然素材であるため、メンテナンスの方法や修繕の方法について、あらかじめ確認しておくことが大切です。
断熱
断熱リノベと聞くと、外壁を剥がして壁の内部の断熱材を交換して…といった様な大掛かりの工事を連想するかも知れませんが、必ずしもそれだけではありません。既存の壁に断熱素材をカバーすることにより、壁の断熱性をアップさせる方法もあるからです。
特に、LDKを広くすると部屋の空間全体が大きくなってしまうため、冷暖房のコストが上がってしまいます。しかし、断熱材でLDKを囲めば熱の出入りを小さくするため、光熱費を抑えることが可能となります。
また、カバーでの断熱材設置は工事費用も比較的安く、手軽に施工が可能となります。
防音
防音もリノベーションで対応が可能です。静かなLDKを造るだけでなく、音楽鑑賞や楽器演奏を趣味とする人におすすめのリノベーションと言えます。
防音の主な手段としては吸音材の設置や、窓サッシの二重窓化などが挙げられます。
窓の二重化
窓の二重化は防音だけが効果ではありません。例えば、断熱や防犯の効果が期待出来ます。
断熱効果の向上は冷暖房費用が抑えられる効果があります。また、窓の二重化は侵入犯が窓を破りにくくします。その結果、住生活の安全性の向上が見込めるのです。
収納
LDKで過ごす時間が長くなると、それだけLDKで使うアイテムも多くなります。そのため、LDKでも収納を増やす必要性が出て来ます。収納の工夫もリノベーションでは可能で、アイデア次第で可能性は広がります。
ここでは、リノベーションでの収納の工夫の例を取り上げてみます。
棚
棚の設置目的は「物を乗せる」ことではありますが、LDKの雰囲気を造るためには意外に重要なアイテムとなります。例えば天然木をオイルで仕上げた材料で棚を造れば、空間全体がレトロに仕上がりますし、スチール素材をベースに使えばモダンな雰囲気になります。
ちなみに、棚は壁面に付けるだけでは無く、本棚の様に大きく取り、パーテーションの様に使うことが可能です。大型の家具を部屋のデザインに組み込むと、部屋全体の雰囲気を更に良くすることが出来ます。より良い空間創造の点で、大いに勧められるリノベーションです。
食器棚
イメージ通りの家具を探すことは意外に難しいことと思います。特に、部屋をアンティークにして、内装材まで凝った場合には一層難しいことでしょう。
しかし、食器棚をLDKに造り付けるのであれば話は違って来ます。と言うのも、壁材や床材などと合わせたイメージの物を作りやすいからです。
特に木製の場合は、家具の素材や表面にまでこだわることが可能なため、部屋に溶け込ませることもデザインのアクセントとすることも自在です。
クローゼット
収納の代表格のクローゼットですが、LDKに造り付ける場合にも独自の仕様とするメリットがあります。
クローゼットは様々な使い道がありますが、建売住宅の様な既存の仕様では上手に使うことが少々困難な場合もあります。しかし、オリジナルのクローゼットとするならば、家族に合わせた物とすることが出来るので、非常に使い勝手の良い物が作れます。
床下収納
今の住宅は床下収納がポピュラーですが、昔の建物の場合には必ずしも設置されているとは限りません。そのためリノベーションの際に設置するのがおすすめのアイテムです。
さて、床下収納をリノベーションでの設置には、実はメリットがあります。リノベーションで作る場合には、設置する家具に合わせた配置が可能となるからです。
例えば、建売住宅に床下収納が設置されている場合、その部分を避けて家財を配置しなければなりません。冷蔵庫の扉の可動範囲に床下収納があると非常に使いにくいです。
しかし、リノベーションの際に家財の配置を考えながら設置するのであれば、最適な位置に床下収納を設けることが可能で、便利になるのです。
まとめ
LDKのリノベーションについて取り上げてみましたが、様々なバリエーションや工夫があることが分かったことと思います。
リノベーションはアイデア次第で可能性は大きく広がります。ぜひとも良い計画を練り、より良いリノベーション、更には快適な家造りを楽しんでください。