不動産投資は、不労所得による資産運用方法の代表格として注目をされ続けています。
特に、低金利政策を続けている日本経済において、不動産投資への資金流入は目立っているといえるでしょう。
しかし、不動産投資には、資産運用の他に税金対策として利用できる側面もあるのです。
不動産投資には節税効果があり、税金対策として利用されていることは、多くの投資家が知るところですが、詳しい内容や仕組みまでを把握している人はあまり多くありません。
税金対策として、どのような内容の経費が、有効に活用されるのでしょうか?
また、税金対策を行うメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、不動産投資を税金対策として利用する方法にスポットを当てて詳しく解説していきます。
税金対策の経費にはどのような種類がある?
不動産投資を行うにあたり税金対策となるのは、いかに経費を活用するのかといった点にあります。
経費をたくさん利用して、利益を目減りさせることで、税金を軽減するのです。
不動産投資が税金対策として効果があるといわれる理由のひとつに、経費に入れ込むことができる費用の種類が多いことが挙げられます。
経費の仕組みを理解して、うまく利用することで、税金を安く抑えるのです。
ここからは、経費として入れ込むことができる費用を項目ごとに説明します。
経費に組み込むことができる税金は?
まずは、経費として組み込むことができる税金について解説していきましょう。
経費に計上できる税金は主にこの5つです。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 個人事業税
- 印紙税
これらの税金においては、発生した場合、経費として入れ込むことが可能です。
確定申告時に、経費として差し引くことができますので、所得税の軽減が可能となります。
固定資産税
毎年1月1日時点の所有者に税金がかかります。
所有する不動産評価額の1.4%を1年間4回に分けて支払う税金です。
<h4>都市計画税</h4>
毎年1月1日時点の所有者に税金がかかります。
所有する不動産評価額の0.3%を1年間4回に分けて支払う税金です。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を購入した時にかかる費用です。
基本的には、評価額の4%ですが、軽減措置なども利用できます。
購入時のみにかかる税金ですが経費として計上することが可能です。
<h4>個人事業税</h4>
不動産事業の規模が大きくなってくると、住民税の他に個人事業税がかかります。
計算方法は、
(所得税の不動産所得+青色申告特別控除-290万円)×5%
です。
自治体により、事業規模の内容が変わります。
しかし、経費の計上できますので、自分の不動産投資規模が個人事業税の対象にあてはまるかどうかをしっかりと確認しておく必要があるでしょう。
印紙税
不動産を購入した時に契約書に貼る印紙代は、印紙税として経費に計上できます。
印紙税は、売買金額によって印紙代が変わります。
印紙税も購入時のみにかかる経費ですが、忘れずに計上しておきたいですね。
減価償却費
次に減価償却について説明していきましょう。
じつは、不動産投資において、もっとも節税効果が見込まれる理由のひとつが、この減価償却費用の計上にあります。
減価償却とは、時間が経過するとともに劣化や価値が目減りする資産において、価格が目減りしていく分を経費として計上できるのです。
物件の構造により、耐用年数が異なります。
木造住宅でも22年、鉄筋コンクリートならば47年間も減価償却費用として経費計上できますので、税金対策には非常に大きな割合を占めています。
減価償却は、あくまでも建物に対してかかる経費なので、土地部分にはかからない経費です。
経費なのに、支出を行わない点も減価償却の大きな特徴といえます。
例えば賃貸物件などを購入したさい、土地の価格よりも建物価格の割合が多ければ、減価償却の額が高くなりますので、節税に大きな効果が見込める物件といえるでしょう。
返済利息
一般的に、不動産投資は、最初に大きな資金がかかることから多くの人は金融機関からお金を借入して不動産を購入します。
そして、家賃収入などから借入金を支払いながら運用していきますが、毎月の返済において、利息となる部分は、経費として計上することが可能です。
ここで注意する点は、元金部分は経費として計上できないという点ですね。
あくまでも利息部分だけですので、シッカリと理解しておきましょう。
また、借り入れには、「元金均等」と「元利均等」があります。
元利均等の場合は、当初に支払う利息が大きいので、経費として計上できる部分も多いです。
自分がどちらのタイプで借入したのかをしっかりと理解して、正しく経費計上する必要がありますね。
修繕費用
不動産投資においては、毎月の家賃収入だけではなく、突発的な出費が出る場合があります。
突発的な出費の代表が修繕費です。
部屋の設備が破損したり、共用部分の設備を交換しなければいけなくなったりと、さまざま修繕費を考えておかなければいけません。
しかし、不動産投資においては、修繕費は、経費として計上することが可能です。
例えば、お部屋の退去があった場合、次の入居に備えて原状回復工事を行いますが、原状回復工事は経費に計上できるのでしょうか?
原状回復工事は、経費として計上することが可能です。
ただし、リノベーションなどにより、設備を使いするようなグレードアップ工事は経費として認められませんので注意しておきましょう。
税金対策のメリットとは
ここまでは、経費として計上できる項目について説明してきました。
では、経費として計上して、税金対策を行うのはどのようなメリットがあって税金対策を行うのでしょうか。
漠然と税金対策ということで、経費計上するよりも、きちんと理解して行う必要があります。
それは、不動産投資で税金対策を行うときに、きちんと理解して行わなければデメリットを受ける可能性もあるからです。
税金対策を行うメリットはいくつか挙げることができます。
ここからは税金対策を行うメリットについて3点を詳しく解説していきましょう。
税金を抑え、キャッシュを増やす
不動産投資において、得ることができる収益に対して、所得税が課税されます。
しかし、経費計上して、収益を下げることができれば、所得が減る、所得税の課税額が減るので、キャッシュを増やすことが可能になるのです。
不動産投資は、経費できる項目が多いので、節税対策として他の投資と比較して利用されやすいといえるでしょう。
たとえば、株式投資や投資信託などは、大きく利益を挙げたとしても、経費として計上できる項目が非常に少ないため、節税効果を狙った投資として効果はありません。
数ある投資手法の中でも、最も効果があるといえるほど、不動産投資には節税効果が見込めます。
払っていないお金を経費にできる
不動産投資において、もっとも節税効果が見込める点が、前述しましたが払っていないお金が経費にできる点です。
減価償却は、実際に払う必要がない経費ですが、資産の目減りを経費として計上することができます。
しかも、経費として計上できる割合も非常の大きく、期間も鉄筋コンクリートならば47年間も計上できるので、大きい効果が長期に渡って見込めますよね。
経費として計上しながら実際はキャッシュとして減価償却分の費用は残るので、帳簿よりも大きなキャッシュを得ることができます。
不動産投資で赤字が出ても利用できる
不動産投資は、「損益通算」が利用できる点も、節税効果の大きなメリットです。
不動産投資を行う人が、いわゆるサラリーマン投資家だった場合、もしも不動産投資で赤字が出たと仮定しましょう。
すると、不動産投資の赤字部分を、給与所得から差し引くことができるのです。
給与所得から赤字を差し引いて給与所得分の所得税を下げることができます。
最近は、副業として、不動産投資を行うサラリーマン投資家が非常に増えており、他に給与所得を得ている人には、大きな効果をもたらします。
やりすぎに注意? 税金対策の注意点
不動産投資における節税にはメリットも大きいのですが、注意しておかなければデメリットを生じる可能性も低くはありません。
節税対策におけるデメリットをしっかり理解することで、事前の対策を取ることが可能となります。
ではどのような場合に、節税におけるデメリットを受けるのでしょうか。
ここからは、不動産投資における節税効果のデメリット2点を挙げて解説していきましょう。
キャッシュフローが悪化してしまう
不動産投資における節税は、とにかく、収益を下げて所得税や住民税の額を減らすことに大きな意味があります。
つまり、それなり支出があって、効果が見込めるのです。
しかし、やりすぎてしまうと、不動産投資の本来の目的である収益部分に大きな影響を与えてしまいます。
例えば、
- 修繕にお金をかけすぎてしまい、節税はできたけども、キャッシュも全く得ることができなかった。
- 赤字になってしまい「損益通算」では、節税が見込めたが、実際は全く儲かっていない
などが考えられます。
不動産投資の最大の目的である、収益を上げるという点から外れることがありますので、ほどほどの節税を考える必要があるでしょう。
減価償却終了後の対応
不動産投資において、節税効果が見込める最も大きなポイントは減価償却です。
減価償却は、実際に費用を払わないで経費計上ができ、経費部分の割合も大きいので、節税には大きな効果が見込めます。
逆に減価償却できる期間が終了した後には、収益が非常に大きくなってしまい、減価償却が計上できなくなった年から、一気に税金が上がります。
よく年数が経過して、ローンも払い終わると、不動産投資は、儲かるばかりといわれますが、実際は、借入利息や減価償却が経緯費計上できないので、支払う税金が大きくなります。
減価償却ができなくなった後の節税について考えておく必要があるでしょう。
まとめ
不動産投資には、収益を上げるほかにも節税としても運用が期待できます。
しかし、やりすぎてしまうと本来の目的から外れてしまい、思った収益を上げることができなくなる可能性も秘めています。
対策としては、しっかり勉強しておくことの他に、税理士や不動産会社といった、不動産投資における租税公課に詳しい専門家との連携を取っておく必要があるでしょう。
特に、不動産投資初心者においては、専門家のアドバイスが非常に重要です。
このようなパートナーと連携して不動産投資を行うことも成功への近道となるでしょう。