マイホームの購入を検討するにあたって、新築物件と中古物件どちらがよいのか、迷っている方もいるのではないでしょうか。新築と中古の違いは、築年数の違いだけに留まりません。2つの違いを理解し、自分や家族のライフスタイルや考え方に合った選択をしましょう。
この記事では、新築物件と中古物件の違いを「費用・資産面」「設備・構造面」「立地・環境面」「税制面」の4つの側面から詳しく解説します。
新築物件と中古物件の違い【費用・資産面】
最初に、費用や資産の面から新築物件と中古物件の違いを解説しましょう。
購入費用は中古物件に軍配
両者で大きく異なるのが、物件の購入費用です。一般的に住宅は、新築時の価値が最も高く、築年数を経るごとに価格は下落していきます。「新築プレミアム」といわれるように、住宅は新築でなくなった瞬間に、価格が1〜2割程度下がるともいわれています。
こうしたことから、新築物件に比べて中古物件は、割安で購入可能です。とりあえず初期費用を抑えたいのであれば、中古物件の購入の検討をおすすめします。
リフォームやメンテナンス費用がかかる中古物件
初期費用では、中古物件に軍配が上がるものの、購入後の維持費に関しては、新築物件が有利でしょう。中古物件は築年数が経過しており、建物や住宅設備が新築住宅よりも早く老朽化します。築古物件では、購入時点で修繕が必要なケースも多いでしょう。
中古物件は、リフォームやメンテナンスの必要度が高く、メンテナンスコストが大きくかかる傾向にあります。反対に新築物件は、初期費用がかかる反面、建物や設備が新しいため、しばらく大きなメンテナンスコストはかかりません。マイホームを検討する際は、初期費用と維持費のトータルコストで判断しましょう。
資産価値が下がりやすいのは新築物件
先述のとおり、新築物件には「新築プレミアム」と呼ばれる上乗せ価格が存在するといわれており、築2〜3年の築浅中古物件と比べても価格が割高です。購入時から資産価値が下がりやすいのは新築物件といえるでしょう。
ただし、中古物件でも築年数を経て資産価値が下落することに変わりはありません。東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」によると、新規登録された中古戸建て住宅のうち、築0〜5年の築浅物件の平均価格は5,564万円。築6〜10年では5,358万円、築21〜25年だと4,638万円、築31年以上では3,005万円まで下落しています。
築年数帯によって面積が異なるため、一概にはいえませんが、築年数が古くなるほど価値が下がるというのは明らかでしょう。
参考:[新築×中古] 徹底比較
参考:家とお金の基礎知識
参考:新築VS中古 住宅を買うときの「お金」はどう違う?
新築物件と中古物件の違い【設備・構造面】
次に、設備と構造の面から、新築物件と中古物件の違いを見ていきます。設備と構造に関しては、最新のものが揃う新築物件が全般的に有利です。
最新設備が魅力の新築物件
新築物件は、最新設備や最新技術を取り入れた、安心性の高い構造が魅力です。耐震性や耐久性の高さはもちろんのこと、断熱性と気密性に優れているのも大きなポイント。室内が外気の影響を受けにくくなるため、夏場は涼しく、冬場は温かい状態を保つことができます。冷暖房効率も高くなるので、空調にかかる電気代の節約にもつながるでしょう。
中古物件でもフルリノベーションや設備改修を行えば、新築と遜色ない機能性を実現できます。ただ、その分コストを見込まなければならないため注意が必要です。
築年数によっては耐震性に要注意な中古物件
上述のとおり、中古物件でも必要な改修を実施すれば、新築と変わらない機能性を持たせられます。しかし、耐震性が不足している住宅では、耐震補強工事が必要となり、リノベーション費用が膨らんでしまうケースがあります。
中古戸建て住宅の耐震性を見極めるうえで、気をつけたいのが築年数です。現在の建築確認で適用される「新耐震基準」は、1981年6月以降に建築確認を受けた建物に適用されています。それ以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」に基づいているため、現行の法律で求められる耐震基準を満たしていない可能性があるのです。
加えて、戸建て住宅の耐震基準は、2000年6月の建築基準法改正でも大きく見直されています。1995年1月の阪神・淡路大震災において、木造住宅で被害が拡大したことを踏まえ、建築時の地盤調査の実質義務化など、木造戸建て住宅の基準が厳しくなりました。
中古物件を購入する際は、新耐震基準や2000年基準を満たしているか確認するとともに、必要に応じて耐震診断を検討するとよいでしょう。
参考:耐震基準とは?新耐震と旧耐震はどう違う?2000年基準についても紹介
新築物件と中古物件の違い【立地・環境面】
立地や環境の面においても、新築物件と中古物件には違いがあります。物件にもよりますが、一般的に中古物件の方が、立地が良い傾向にあり、環境も事前に確認できることから有利といえます。
好立地の物件が見つかりやすい中古物件
国土交通省の「建築着工統計調査 – 住宅着工統計調査」によると、2022年度の新築一戸建て住宅の着工数は、全国で40万件弱でした。これに対し、国土交通省のまとめでは、住宅ストック全体に占める一戸建ての割合は、50.4%で約2,701万戸にも上るといいます。
日本は、「新築信仰」といわれるほど新築人気が高く、供給数の面では新築が多くなっています。しかし、これだけのストックがあるということは、中古のほうが選択肢は幅広いと考えられるでしょう。
新築物件は、新規開発エリアや分譲住宅地など、同じような立地でまとめて供給されるケースが多くなります。一方、中古物件はどういった立地であっても売りに出される可能性があるため、好立地の物件が見つかりやすいのも魅力です。
出典:国土交通省「建築着工統計調査」
出典:国土交通省「住宅ストックの姿(総計)」
近所付き合いなどを事前に確認しづらい新築物件
中古は、もともと周辺が住宅地である場合が多いため、住民コミュニティが形成されており、物件の検討段階で、近隣住民の様子や管理の状況を確認できます。
これに対し、分譲地に建設される新築一戸建てでは、近隣住民も同時に引っ越してくるため、誰が近隣に住むのかお互いに確認ができません。近所付き合いの様子を事前に確認しづらいのは、新築物件のデメリットといえるでしょう。
新築物件と中古物件の違い【税制面】
最後に紹介するのは、税制面における新築物件と中古物件の違いです。家計に大きく関わる分野のため、以下の内容を参考に十分比較検討しましょう。
住宅ローン控除の内容の違い
返済期間10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入する際、年末時点のローン残高の0.7%を所得税から控除する「住宅ローン控除」が適用されます。新築だけでなく中古も対象となりますが、1982年以降に建築確認を受けた住宅(新耐震基準が適用)であることが要件です。それ以前に建てられた中古住宅では、耐震基準を満たしている旨を証明するなどの対応が求められます。
住宅ローン控除における新築と中古の違いを確認しましょう。
出典:国土交通省「住宅ローン減税の概要について(令和4年税制改正後)
2024年以降に建築確認を受ける新築物件については、省エネ基準を満たしていないと、住宅ローン控除の適用外となる点に注意が必要です。要件を満たす住宅であれば、新築の方が控除による節税効果が大きいといえるでしょう。
中古物件に比べて税制優遇が手厚い新築物件
住宅ローン控除以外でも、新築物件は中古物件に税制優遇措置が手厚くなっています。おもなものは次のとおりです。(記載の情報は2023年8月時点のもの)
出典:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」
出典:国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
出典:国税庁「特定の住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
出典:東京都主税局「不動産取得税」
まとめ
今回は、新築物件と中古物件の違いを4つの側面から解説してきました。両者は築年数以外にもさまざまな違いがあり、それぞれメリット・デメリット両面があります。また、中古物件のデメリットを解消し快適性を高める手法として、リノベーションするのも有効です。
東京都多摩地域において中古物件の購入を検討しているなら、中古リノベーションの実績が豊富な「MyDesign/株式会社Izumida」へお気軽にご相談ください。中古リノベーションにより理想のマイホームをぜひ実現しましょう。